チェンライの市場から

「市場に並べられた商品からその国の生活がわかる」と言われます。当ブログを通じてチェンライに暮らす人々の生活を知って頂きたいと思います。 チェンライに来たのは2009年から、介護ロングステイは2018年8月母の死去で終わりとなり、一人で新しい生活を始めました。

麻薬と民度

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麻薬と民度

■法整備と遵法精神
前号でラオスでは麻薬が自由に手に入るような書き方をしてしまった。しかし、それは事実であり、また事実とは異なる。というのは日本と違って、東南アジアは「なんでもあり」の不可思議な世界なのだ。

たとえば飲酒運転はいけないことだし、交通法規もそう定めている。でもタイではトラック運転手と助手が昼食時にコップで焼酎を飲んでいたし、何の障害物もないところでバイクが転倒する。どうしてと眺めていると運転手がバイクを起こせないほど泥酔している。両方とも自分が実際にこの目で見た。飲酒運転はタイ人にとって当たり前のことである。だからと言って飲酒運転が公認されているかと言うとそうでもない。時には警察が飲酒運転の取締りをやっていて違反者は1万バーツの罰金を課される。

要するに法整備はできているし、そのための組織もあるが、それをしっかり施行するか、また一般人が法を遵守するかどうかは別問題ということだ。

大麻の例
麻薬がらみの犯罪はタイでは死刑であるし、ラオスでも厳しく取り締まっているが、麻薬事犯は決して減少していない。麻薬の生産はタイでは激減しているが、周りのミャンマーラオスカンボジアからいくらでも流入してくる。何と言っても麻薬は金になる。

以下は5月2日のタイニュースから。
タイ東部で乾燥大麻180キロ押収 マレーシア向けか

タイ警察は2日、タイ東部チョンブリ県の路上検問で、麻薬取締法違反容疑のタイ人男2人(29、26)を逮捕し、乾燥大麻182キロ、ピックアップトラック2台などを押収したと発表した。大麻ラオスからタイ経由でマレーシアに密輸されるところだったとみられている。
 容疑者は取り調べに対し、メコン川ラオスの対岸のタイ東北部ノンカイ県で大麻を1キロ7000バーツで仕入れ、タイ南部ソンクラー県に輸送するところだったと供述した。乾燥大麻のマレーシアでの末端価格は1キロ3万―4万バーツになるという。

乾燥大麻のタイでの仕入れ価格は1キロ7000バーツとなっているが、ラオスであったら1キロ2000バーツ以下だろう。でも米を作っても売値はせいぜい1キロ20バーツだ。換金農作物として大麻を選ぶ農民が出てくるのは仕方ない。それに大麻の栽培はいいことづくめなのだ。

大麻草は麻の布・製紙原料を作る目的と食料を得る目的で第二次世界大戦前までは、日本でも栽培されていた。
大麻草は、手間のかからない作物で栽培しやすい。病気や害虫に強く、それほど肥料も必要としない。ヨーロッパでは、荒れ地に適した作物と言われている。大麻草は約110日で成長して収穫される。だから大麻草の3毛作も可能だ。

大麻草は収穫期に入ると葉は枯れて落ち落ちた葉は腐葉土となり土地を肥やす。大麻の根は地中深く張っているので、土地を柔らかくしてくれ土中に空気が通りやすくなり細菌が繁殖しやすくなる。 収穫後の根は、すぐに腐ってしまい有機肥料になる。
大麻草は3m~5mに成長するため、太陽が根本にあたらず、その為雑草が生えない。当然除草剤など必要としない。むしろ大麻が除草剤の役目をしている。 大麻草を輪作すると害虫や病気の発生が少なくなると共に地力が上がり収穫量も増えると言われている。

■需給と価格だけの問題か
上記ニュースによれば、乾燥大麻の価格はタイではグラム換算21円、マレーシアでは100円前後だ。日本ではグラム6000円と言う。大麻を合法化している国はオランダ、スペイン、ポルトガルチェコ、英国など少なくない。米国でもコロラド州ワシントン州では大麻が解禁された。価格は品質にもよるがグラム600円から1000円というところである。

ピュー研究所が2013年3月に行った調査によると、米国での大麻の合法化を支持する人の数は2010年に比べて11ポイントも上昇し、52%となった。米国には禁酒法があったし、昨今の禁煙運動など、妙に潔癖なところがある半面、大麻には寛容である。クリントン元大統領はじめ、大麻経験者は国民の42%という。欧州の大麻経験者の割合は平均30%。

わが国では大麻取締法で検挙された人員は平成23年度で1759人である。国民全体の大麻経験者の占める割合は約1%と欧米に比べ桁違いに低い。

安く仕入れて、高く売る。これがビジネスの基本だ。需要があればそれに応じて供給もある。しかし禁制品となれば話は別だ。経済学の理論通りにはいかない。大麻に手を出す人が少ないのは、当局の取締りだけではなく、日本人が法をしっかり遵守するからだろう。インドシナ、欧米諸国の人と日本人の大麻に対する態度の差は民度の差と言っていいのではないか。


写真上から、「押収された180キロの大麻」「大麻草」「ラオスの国道」