チェンライの市場から

「市場に並べられた商品からその国の生活がわかる」と言われます。当ブログを通じてチェンライに暮らす人々の生活を知って頂きたいと思います。 チェンライに来たのは2009年から、介護ロングステイは2018年8月母の死去で終わりとなり、一人で新しい生活を始めました。

煙害と水掛け祭り

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煙害と水掛け祭り

■煙害の季節終わる
ソンクランの季節になれば煙害が収まる、と言われている。確かに4月半ばになって道路や山が煙で霞むことがなくなった。気温は高いが視界がいいと気分は壮快である。

煙害は野焼き、山焼きによって引き起こされると言われている。チェンライやチェンマイの盆地である。この時期、風が吹かないから野焼きの煙ばかりでなく、近年増えた車の排気ガスも盆地に溜まって動かない。健康に影響があるというPM10値120を越える日が続くのは、野焼きだけが原因とは言えない。また中国の大気汚染シミュレーションを見ると、タイ、ベトナムミャンマーへも中国の汚染大気が流れてくるらしい。

北タイの名物、煙害には野焼き、排気ガス、中国大気の3つの原因があるようだ。

しかし、野焼きが大きな比重を占めるのは間違いない。野焼きは貧者の復讐といわれる。貧しい農民や山岳民族は焼く以外に草を刈る手立てがない。昔から焼畑農業をやって来たので、何をいまさらという気持ちもある。それに野焼きははタイだけではなくミャンマーラオスでも盛んに行われ、その煙が流れてくるから防ぎようがないという人もいる。

■野焼きの取締り
タイ当局は、国民に野焼きをしないよう呼びかけるほか、自分の所有地以外で野焼きを行った場合は法律に従い処罰する方針、というニュースがあった。有罪の場合は懲役5年以下、罰金5万バーツ以下、もしくは双方が科される。また野焼きがあった地区の村長が罰金を科されるという法律もある。

今年は取締りが強化され、煙が上がると軍のヘリコプターが飛んできて、責任者は逮捕されるという話があったが、結局、野焼きの自粛は起らなかった。
3月に日本人会の遠足でチェンライの高峰、ドイ・チャーンに行ったが、場所によっては道路の両側まで野焼きの火が迫っていた。窓を閉めていても輻射熱で車内が熱くなった。あわててアクセルを吹かして通り過ぎる。展望台からは山のあちこちから煙が上がっているのが望見できた。

日本では春の訪れを告げる「阿蘇の野焼き」見物ツアーがあるそうだ。チェンライでも火の饗宴、野焼き見物ができるが、阿蘇の野焼きよりもスリリング、且つ、時には生命の危険を伴うことと思う。


そうこうしているうちに4月に入り、雨が降り出して、野焼きはできなくなる。風も出てきて溜まった煙ををどこかへ持って行ってくれる。呼吸器系の病気を持っている人にはつらい季節が終わる。このところチェンライの週間天気予報は「晴れ、一時雨」であるが、まだ、スコールらしいスールが来ていない。ひと雨ごとに山の緑が鮮やかになってくる。常夏の国と云うものの、季節の移ろいは確実に感じられる。

■水掛け祭りの取締り
野焼きは法律で禁止されているが、実際はその法律は守られていない。法律は遵守すべきであるし、法の番人である警察も法に従って粛々と取締るものだと、日本人である自分は考える。でも4年以上タイに暮らしていると、考えがいくらかタイ化、あるいはタイ文化に馴染んできたというべきところが出てくる。

水掛け禁止の通達を聞いたとき、兄は今年は水掛けはできない、と思ったようだが、自分は「そんなことがタイで通るわけがない」と思った。
例年であると子供たちがソンクラン数日前から、水掛けを始めるのだが、今年は出足が遅かった。でも13日のソンクラン初日は、サンコンノイ通りを始め市内の主だった通りにはトラックがひしめいて、道から、車から、水が飛んでくる。若者が大きなボリュームの音楽をかけ、ビールを飲みながら、踊りの合間に道路から氷入りの水を浴びせてくる。トラックでもびしょぬれになりながら酒を飲んでいる。
例年と変わらぬ盛り上がりだ。

1日目はジアップ先生のご厚意で13時半から18時過ぎまで、トラックから水掛け合戦を行った。
14日、15日の午後はテニス仲間のオップさんの店の前から水掛け。道路から浴びせる水は5キロ150Bの氷を浮かべた強力兵器、日本勢は走る車への放水タイミングが合わず、無駄玉を撃ってトラックからバカにされた。オップさんやその友人は子供の時からの訓練の賜物だろう、バケツの水の放物線が走ってきたトラックの荷台にドンピシャのタイミングで落ちる。荷台から「オーイ」という歓声が上がる。

自分は道路にしつらえたテーブルでビールやウィスキーを飲みながら、水掛け見物、オップさんの話ではソンクラン期間中、酒酔い運転のトラックが何台も検挙されたとのこと。法があれば、時には行使されることもある。言い訳は効かない。いつも以上の慎重運転で帰宅した。


写真一番上が「煙害で霞む道路」他は、水掛け祭りのスナップ