チェンライの市場から

「市場に並べられた商品からその国の生活がわかる」と言われます。当ブログを通じてチェンライに暮らす人々の生活を知って頂きたいと思います。 チェンライに来たのは2009年から、介護ロングステイは2018年8月母の死去で終わりとなり、一人で新しい生活を始めました。

エメラルド仏

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エメラルド仏

バンコクのお寺
バンコクの観光旅行で外せない寺院はどこだろうか。まずは巨大な寝釈迦仏(涅槃仏)のあるワット・ポーか。ここの涅槃仏は長さ46m、高さ15m、足の長さが5mもある。ガイドブックの表紙になっていることが多い。またこの寺はタイ・マッサージの総本山として知られていて、今でもマッサージ学校を併設している。日本からの留学生も少なくない。

三島由紀夫の小説、「暁の寺」で有名になったワット・アルンも趣がある。チャオプラヤ川を挟んでワット・ポーの対岸に4つの仏塔を従えた、ワット・アルンの大きな仏塔が見える。ヒンズー教の影響を受けたエキゾチックな仏塔で、暁に染まる姿がなんとも美しいと言われる。
10バーツ硬貨の表はプミポン国王肖像画、裏はこのワット・アルンの5つの仏塔が彫りこまれている。今度10バーツ硬貨を手にしたらじっくり眺めて頂きたい。

そして忘れてはならない観光スポットが、エメラルド寺院として知られるワット・プラケーオだ。ラーマ1世から5世まで5代の王様が暮らしていた王宮の敷地内にあって、ワット・ポーからも歩いて行ける。
ワット・プラケーオは、1782年、ラマ1世が現在の王朝であるチャクリー王朝を開いたときに護国寺として建てた格式の高い寺院である。敷地内の黄金の仏塔には仏舎利仏陀の遺骨)が納められている。
エメラルド寺院と呼ばれるのは、この寺の本尊がエメラルド仏であるからだ。高さ66センチ、膝幅48センチというからそれほど大きな仏像ではない。高い祭壇に祭られているため、よく見えないが、金色の袈裟をまとっておられる。この黄金の袈裟は年に3回、国王によって取り換えられるという。

■エメラルド仏の由来
ワットは寺、プラケーオはエメラルドを意味する。エメラルドはもともとサンスクリット語で「緑色の石」を意味する「スマラカタ」からきているという。エメラルド寺院はタイ人の感覚では「緑寺」といった感じか。また寺院の名の由来となったエメラルド仏は全身エメラルドでできているわけではなく、濃い緑色の翡翠でできている。

このエメラルド仏はランサーン王国の首都であったビエンチャンのワット・ホープラケーオに王国の守護仏として200年にわたって安置されていた。18世紀にラーマ一世がランサーン王国を攻めて、その時戦利品としてタイに持ち帰ったという。

実はこのエメラルド仏、1436年にチェンライで発見されたと伝えられている。もともとチェンライの古寺、15世紀の創建になる(チェンライの)ワット・プラケーオの本尊だった。この仏像はその後、チェンライからチェンマイへ、そしてランサーン王国の首都、ラオスのルアンプラバンへ、王国の遷都にともなって16世紀にはビエンチャンへといった流浪の旅を経て、ラーマ1世が、前述のように18世紀にバンコクのワット・プラケーオに安置した。

色々な変遷を経たエメラルド仏であるが、ランナー人(北タイ人)にしてみれば、本来はウチのご本尊やったのにナー、と悔しい思いをしていたに違いない。1991年にチェンライの篤志家が本物と違わぬエメラルド仏を当地のワット・プラケーオに寄進した。これはカナダ産の翡翠で作られている。

■チェンライのエメラルド仏拝観
チェンライの市場をメーコック川方向に抜けると、左に大きな病院がある。オーバーブルック病院である。この病院の西側に道路を隔ててワット・プラケーオがある。

寺の門を入ってまっすぐ進むとエメラルド仏が安置された本堂がある。まず、参道右側に娑羅双樹の棚がある。平家物語の冒頭、娑羅双樹の花の色で有名な木だ。気候の関係で日本では育たない木であるから、実物をじっくり見たい。本堂手前に小さな池がある。橋の上から池を見るとタンブンで放された亀が数十匹、甲羅干しをしている。グロテスクなものが好きな人は必見。 

ご本尊は間近に拝観することができる。バンコクのエメラルド仏は撮影禁止だし、高いところに祭り上げられていてよく見えない。チェンライでは1mに近付いて写真をとることができる。

ご本尊を拝んだ後は、寺の博物館見学をお勧めしたい。2階建ての館内には仏像や仏具、大理石造りのガネーシャ(象の形をしたヒンズー神)などが所狭しと並べられている。

バンコクのワット・プラケーオは奈良、京都の寺院並みに拝観料(400B)が必要だが、チェンライは静かな境内をゆっくり散策できるうえ、本堂、博物館、すべて無料というのが嬉しい。エメラルド仏もどことなく愛らしくて好感が持てる。


写真上から「沙羅双樹」「池の亀」「エメラルド仏」「博物館入り口」