チェンライの市場から

「市場に並べられた商品からその国の生活がわかる」と言われます。当ブログを通じてチェンライに暮らす人々の生活を知って頂きたいと思います。 チェンライに来たのは2009年から、介護ロングステイは2018年8月母の死去で終わりとなり、一人で新しい生活を始めました。

ラオス、アカ族の村を訪ねる 10

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ラオス、アカ族の村を訪ねる(10)

■ジョンジェン村続き
村長は40過ぎの落ち着いた風貌の人だ。こんな天候の時によくムンからバイクで来たと感心している。感心というより無謀じゃないかと思っているようだ。

一応、雨は上がっているが、ムン方面の空の色は今一つだ。もしまた雨が降りだしたら、さらに道が荒れるだろう。自分としては2回も転倒したし、無事に戻る自信がなかった。
この際、金は問題ではない。村長に、トラックを出してバイク2台と我々3人をムンまで送ってもらえないか、と頼んでみたが、もうトラックが走れる道路状況ではない、と断られた。

村長宅にあるトラックは中国製の年代物だ。4WDのトラックを持っている村人はいないのだろう。以前チェンライのアカ村、パナセリから街へ戻る時、4WDのピックアップが泥道で立ち往生しているのを見たことがある。あの時と同じ道路状況だ。

今日はこの村に泊って、天候の回復を待ってムンへ戻るという手もある。今朝、ムンの食堂に夕飯にペッヤーン(アヒルの炙り焼き)を特注しておいたのが気になるが、金を払えば済むことだ。

3時に遅い昼食が始まった。村長夫妻と我々3人、無言で食卓を囲む。菜っ葉の辛いスープ、おひたし、牛モツの油炒め、川魚の塩焼き、川魚は12,3センチのウグイやナマズ、その辺で捕ってきたものだろう、魚を毟って粳米と一緒に食べる。もう一品、さやに入った小豆が出た。さやは枯れているので食べられない。さやを開くと、さやの左右に小豆の粒が顔を出す。それを唇で拾うように食べる。本来であれば空腹のはずであるが、衣服が濡れているし、これまでの緊張と疲労で食欲がない。それでも無理してご飯の塊を口に押し込んだ。

アランが明るくなってきたからムンへ戻ろう、という。無理だよ、川だって増水していて渡れないかもしれない。でもリー君もアランに同調して帰ろうという。村長の意見はどうか、リー君に聞いてもらった。「戻るも残るもみなさんの決断次第です」。

リー君と村長が携帯の番号を交換し合っている。「事故にあったら必ず助けに来てくださいね」と言うと村長は真剣な顔で頷いてくれた。村を出たのは15時25分だった。ムンに着くころには日が暮れるだろう。

■ワイドショーの種になったかも
熟年者は時間と多少のお金があるから旅に出る。旅行者数が増えているから事故に遭遇する人も増えている。万里の長城ツアーで凍死した熟年もいた。
日本のテレビは嫉妬とやっかみの塊だから、海外旅行を楽しむ熟年者を揶揄するような番組を作るかもしれない。

題して「海外で迷惑をかける熟年旅行者」。

司会者:次にご紹介するケースは雨季の北ラオスでバイクごと谷底に落ちたNさんの例です。Nさんは悪路走行の経験がないにもかかわらず、軽装で山岳コースを走り、スリップ、転倒、そのまま谷底に滑落、全身打撲で亡くなりました。事故が発生したのはラオスの辺境ですので遺体収容には当局、山岳民族の方々も大変苦労された、と伺っています。

お笑い芸人: 死者に鞭打つわけやあらへんけど、この人、山を甘く見てたんとちゃいますか。同行していたオーストラリア人は防水アノラック、登山靴なのに、NさんはTシャツ一枚、それにサンダル履き。そのサンダルも底が蛇腹みたいにはがれてボロボロ、これではバイクが転倒するのは当たり前や。ノーヘルやし、トシも考えんと人に迷惑かけてアホやがな。

司会者:本人に責任の一端はあるということですね。レポーターのPさんが現地取材をしてきましたので事故に至る経過を聞いてみましょう。

レポーターP:Nさんは、最後に訪れたアカ村の村長や同行者の忠告を無視し、雨の中をどうしても街に戻ってペッヤーンを食べると言って聞かなかったそうです。ただ、バイクが日本製ではなく(絶対中国製とは言わない)、馬力が出ず、時にはエンストを起こす欠陥品だったという話もあります。道路状況の悪い雨季にアカ村を訪れる外人観光客は4駆のランドクルーザーを借り上げてくるのが普通ということです。旅費を安く上げようという安易な気持ちが、命という高い代償を支払うことに繋がったのではないでしょうか。

評論家:海外で事故にあうと、日本大使館の邦人保護担当官が現地に赴くことになります。北ラオス交通機関は車に限られますから、時間と手間がかかる。本人の不注意でも結局、皆さんが納めた貴重な税金が使われるんですね。在外公館の予算は先の「仕分け」で相当削られています。それでなくても熟年者は年金を食いつぶしておるわけですから、せめて海外ではお国に迷惑をかけるな、と声を大にして訴えたいですね。(続く)

写真上から「村長」「アカの家と塀」「アカ族のブランコ」