チェンライの市場から

「市場に並べられた商品からその国の生活がわかる」と言われます。当ブログを通じてチェンライに暮らす人々の生活を知って頂きたいと思います。 チェンライに来たのは2009年から、介護ロングステイは2018年8月母の死去で終わりとなり、一人で新しい生活を始めました。

テニスも授業も暫くお預け

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テニスも授業も暫くお預け

■転んで骨折
13日の木曜日、いつものようにメーコック川の近くにあるコートに行った。乾季にしては珍しく、前の晩に雷雨があった。コートの一部に水が溜まっていたので、プレー前に仲間と水切りをやった。曇天で水の乾きは遅い。いつものように4ゲーム先取の試合を始める。2試合目の第2セット、深く上がったロブを追っかけている時、事故が起こった。コートはコンクリートコートなのだが、フェンスの近くはいつも日陰で、コケが生えている。その湿ったコケで滑って転倒した。左足に激痛が走った。滑る時、足が内側に曲がれば、単なる転倒か、せいぜい捻挫ですんだかもしれない。ところが足が僅かに外側に滑った。走ってきたスピードと共に体重が曲がった足にもろにかかった。足の裏が90度外側を向いている。普通ではありえない奇妙な捻じれ方だ。

イテテテ、あー、折れちゃったよ、これじゃしばらくテニスができねーじゃねーか、と反省してももう遅い。立ち上がれず、イテテと大騒ぎしている自分の周りに仲間が駆け寄ってきた。こりゃただ事でないと思ったのであろう、タイ人のテニス仲間がシルブリン病院の救急車を呼んでくれた。

幸い、骨が皮膚を突き破ってはいなかったが、豚足でおなじみの直径3,4センチの骨が足首内側の皮膚を押し上げている。キューピー人形ではあるまいし、90度外を向いた足首はグロテスクだ。自分で足を引っ張りながら骨を押すと、コリコリと音がして正常な形になった。これは脱臼くらいですぐ直るかも、とその時は期待した。

救急車は5分ほどで到着し、L字型の板に足を固定した。この時も激痛が走り、大いに騒いだ。

■緊急手術
シルブリンの救急治療室は、母の入院の時、何度か経験しているが、いたってのんびりしている。医者は状況を聞いた後、今朝、朝飯は何時頃、何を食べたか、などと質問する。これは後でわかったのだが、手術前に行う下半身麻酔(腰椎麻酔)の場合、消化器官も動かなくなってしまうので、胃が空っぽのほうがいいということだった。
レントゲン検査の結果、「やっぱり折れているね、手術が必要、お昼から始めるから」と言い渡された。手術といえば足を切るからその外傷が治癒するだけでも1月掛かる。こりゃ長期戦だなと、少し落ち込んだ。

腰椎麻酔は痛いと聞いたことがあり、ちょっと怖かったが、一瞬、右足がビリッとしただけで、5分もしないうちに足先から太もも、おへその下まで感覚がなくなってくる。触っても何も感じない。アメリカでは盲腸の手術でも腰椎麻酔が一般的という。12時過ぎに手術室に運ばれた。下半身麻酔であるから意識ははっきりしている。看護師とミヤノイ(お妾)はいるの、フェーン(愛人)だっていないよ、などと言っているうちに、先生が来て手術が始まった。腰の上にカーテンが掛けられ、施術の様子は見えないのであるが、無影灯のアームがピカピカなので少しゆがむが自分の黒い足の周りをゴム手袋の手が4本活発に動いているのが見える。ここ2月以上、シャワーばかりで風呂に入っていない。消毒した看護師さんはなんて汚い足だろう、と思ったのではないかと恥ずかしくなる。メスが入り、出血する。血をガーゼでさっと拭う。何か料理ショーを見ている感じだ。手術前に注射された鎮静剤のせいで眠くなってくる。気がつくと大きなハサミで糸をパチン、パチンと切っているところだった。腕時計を見ると手術開始から2時間近くたっていた。

■賑やかな病室
個室に入院したのだがテレビ、冷蔵庫、ソファ、洗面台、トイレ、シャワーが完備され、日本のワンルームマンションよりずっと広い。テニス仲間や友人たちが次々の見舞いに来てくれた。一時は病室に7.8人のタイ人、日本人が入って、これでビールとつまみがあれば、立派なパーティとなるところだった。多くの方に心配していただき、病人冥利に尽きる。

気になる治療期間だが、ギプスが外れるのが1月後、リハビリを開始して、普通に歩けるようになるのが2月後、テニスは3ヶ月後に再開できるとのことだ。

さすがに手術当夜は痛みでよく眠れなかった。2日目には痛みは少なくなったがドレンから血が流れ続けて気が滅入った。老母は紙パンツ、弟は尿瓶の入院生活、兄はこの先どうなることか、と思ったのではないか。3日目にドレンを抜いて、即、松葉杖での歩行訓練、これで一人でトイレに行けるようになった。それで、4日目の日曜には退院の運び。保険でカバーされるし、2週間くらい入院するのかと思ったが、松葉杖が使えれば確かに入院の必要はない。

これでテニスも授業もしばらくお休みだ。カウチポテト族となって、まずは総選挙の結果を眺めている。

写真は上から「病院の個室」「足と松葉杖」「病院の食事」