チェンライの市場から

「市場に並べられた商品からその国の生活がわかる」と言われます。当ブログを通じてチェンライに暮らす人々の生活を知って頂きたいと思います。 チェンライに来たのは2009年から、介護ロングステイは2018年8月母の死去で終わりとなり、一人で新しい生活を始めました。

介護ロングステイ3年7カ月

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介護ロングステイ3年7カ月

■脳の委縮と認知症
認知症はこれまで脳卒中などによる「脳血管性」が多いとされてきたが、実際は脳の萎縮を伴う「アルツハイマー型」が半数以上を占め、次いで、「レビー小体型」が多く、脳血管性は3番目になるそうだ。

認知症とは関係なく、年を取れば誰でも脳が委縮していく。またダイエットで栄養不足になれば脳は委縮する。二日酔いになると脱水症状で脳が委縮する。二日酔いになるほど飲まなくても飲酒と脳の委縮は因果関係があるらしい。
マサチューセッツ州ウェルズリー大学の研究チームの発表によると、日本酒で1日2合ほどの酒を飲み続けると飲まない人より10年は早く脳が委縮するという。ビールを2本飲む日もあるので心配だ。逆にフラボノイドを含むワインを飲むと認知症になるのを遅らせるという研究もある。晩酌をワインに代えるか。でも脳が委縮しても精神的に快活で活発な人はいるし、脳卒中で脳にダメージを受けた人でもリハビリで回復する。脳のことはまだ現代医学でもよくわかっていない。

緑茶に含まれるエピガロカテキンガレートを、人工的なアルツハイマー病マウスに投与したところ、アルツハイマー病の原因とされるベータアミロイド蛋白の生成を抑制したことから、積極的に緑茶を飲むことは認知症の予防につながるという報告もある。

母は昔からお茶をよく飲み、EPAを含む小魚をよく食べ、70代になるまで飲酒の習慣はなかった。認知症に限らず、同じような食生活、生活習慣を送っていても病気にかかる人はかかるし、かからない人はかからない。事故に遭う人もいれば遭わない人もいるのと同じ。
交通事故が怖いからと言って外出しないという人はいないだろう。心配してもなるようにしかならない。パウロ新約聖書の中で「思い煩うことなかれ」と言っている。

■イクセロン
思い煩わなくても母は認知症にかかり、現在にいたっている。
アリセプトという認知症薬は1年程度認知症の進行を遅らせることができるという。母もアリセプトを服用し続けた。でも発症して10年近くたつと、薬が効いたのか効かなかったのかわからない。飲んでいなかったら、もっと病状が早く進んでいたのです、と言われれば、そうかなあ、と思う程度だ。

医者の勧めで2か月前からイクセロンというパッチ型の薬に代えた。イクセロンは脳内の神経伝達物質であるアセチルコリンの分解酵素の働きを抑えることにより脳内アセチルコリン量を増加させ、神経の情報伝達を促進することで、アルツハイマー認知症の症状の進行抑制に用いられる。アリセプトと同じくアセチルコリンを増加させる薬であるが、新薬で値段も高い。

一日に一回、ぺたりと背中にパッチを貼るだけ。飲ませる必要がないので、むせる心配もない。イクセロンにしてから、母の病状に変化が現れた。以前は呼びかけに「ハイ」、「そうなの」くらいしか答えなかったのだが、口調がしっかりしてきて、言う単語の数や長さに変化が出てきた。
前は兄を呼ぶ声も弱弱しかったが、大きな声ではっきりと呼ぶようになった。こちらに来てから少しづつ弱っていく姿しか見ていなかったから、これは画期的な出来事だ。入れ歯を入れていないので、言うことがはっきりしないが、何やらいろいろと話す。最後にぱちんとこっちを叩くのは、思い通りにならないことの苛立ちだろうか。イテテ、などと言いながらも少し元気なってくれて本当によかったと思う。

■毎日理学療法
母の病状が持ち直したのは薬の変更もさることながら、1日1時間の理学療法のお陰と思う。1月ほど前、整形外科の医師に相談して、自宅での整体治療を始めた。左足が曲がって伸びないし、歩くことはもちろん、介助を受けても自分で立てないし、長椅子に座らせても体が傾いてしまう。寝たきりで筋力が弱っているのだ。2年前、2週間入院したあと、このような状態であったが、自宅での理学療法で体がしっかりしたことがある。

シルブリン病院の理学療法士ジェニさんは30歳位の女性、毎日4時半に、時には助手の女の子を連れて来て、母の足を伸ばし、立つ練習をさせる。来て貰うようになって1月半ほどたった。残念ながら自力歩行はできないが、姿勢がしっかりしてきて介助すれば立つことができるようになった。日本であったら87歳のリハビリは「お年ですから」と認めてくれないだろう。ジェニさんはあと1月位通ってくれるらしい。

8月は来客も多く、母にとっても刺激の多い月だった。日本の施設にいたら1日中、ほとんど一人で過ごしていたに違いない。話しかける人が多いことは脳の活発化に寄与していると信じたい。


写真はピマーイ国立博物館の展示品です