チェンライの市場から

「市場に並べられた商品からその国の生活がわかる」と言われます。当ブログを通じてチェンライに暮らす人々の生活を知って頂きたいと思います。 チェンライに来たのは2009年から、介護ロングステイは2018年8月母の死去で終わりとなり、一人で新しい生活を始めました。

コラートのクメール遺跡 3

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コラートのクメール遺跡(3)

国立博物館
博物館の入館料は外国人50B、タイ人10B、高校生以下および制服を着た大学生、僧侶は無料となっている。但し、外人でもタイの運転免許証を見せるとほとんどの場合、タイ人価格となる。今回の旅行では博物館、遺跡の入場料は免許証を提示したおかげですべてタイ人価格となった。それほど大きな金額ではないのだが、例えば遺跡の入場料が外人100Bのところ20Bとなると、これはトクした、夜は豪遊しようかと幸せな気分になる。

あとで博物館のパンフレットを見てわかったのだが、展示品の写真撮影は禁止だった。そうとは知らないものだからパチパチ写真を撮りまくってしまった。自由に写真を取ることができたのは、係員が展示室にはいなかったからと思う。
きちんとした規則はあるが、守るのは個人の気持次第というタイ特有の緩やかさがこんなところにも表れているのではないか。

パンフには「タイ文化遺産の保護―コラートなど南東北地方で古代遺品を発見した場合、国の考古学と歴史学の研究のために、美術局国立博物館の地方事務所までその旨と現物を届けて下さい」と印刷されている。仏像でも出土したら、即、売り飛ばされてしまうのかもしれない。

博物館はサクワン池という四角い池のほとりに建っている。この池は寺院内の飲料水供給のために掘られたもので、この池も遺跡の一つだそうだ。

■ピマーイ遺跡公園
博物館から南西方向に300mほど離れたところにピマーイ遺跡公園がある。厚い石の塀に囲まれた広大な公園だ。白色砂岩で作られた28mの中央祠堂は11世紀から12世紀に建てられた。須弥山をイメージした3本の塔であるが左右の塔はこれぞ遺跡、という形に崩れかけている。この3本塔の形式はアンコールワットと共通である。

それもそのはず、ある研究によるとピマーイの寺院はクメール王朝の精華、アンコールワットに先立って建設され、アンコールワットはその後ピマーイの建築を模して造られたという。アンコールワットより早く造営されながら、今では「タイのアンコールワット」と呼ばれることにピマーイは不満かもしれない。こちらが元祖、アンコールワットは「カンボジアのピマーイ」だ。とはいえ、風情は劣らないもののピマーイはアンコールワットに比べ、少し規模が小さい。

クメールの宗教施設は東向きに造営されることが多いが、ピマーイ遺跡はアンコールの首都、ヤショダラプラに正面を向けるため南東向きに建てられている。首都はピマーイから200数十キロ離れている。往時のクメール王朝の隆盛振りが想像できる。

アンコールワットと同じく、もともとはヒンズー教の寺院として造営されたが、仏教王ジャヤバルマン7世が12世紀後半に仏教寺院に改装した。だから塔や回廊の門の上部にはラーマヤナ伝説やシヴァ神ヴィシュヌ神と共にクメール風の顔立ちの仏様や仏教説話ジャータカの場面が彫り込まれている。

■隠れ世界遺産
タイの世界遺産といえばスコタイとアユタヤがすぐに思い浮かぶが、この1000年の歴史を持つピマーイ遺跡はまだ世界遺産に登録されていない。遺跡の風格、歴史、美しさからいえばピマーイはスコタイ、アユタヤを凌駕すると思う。しかしタイ政府にしてみれば、しょせんはクメールの遺跡、タイ人のものではないという引っかかりがあるのだろう、タイ観光庁もピマーイの積極的なPRをしていないように思う。

雨季の晴れ間というのだろうか、雲の間から容赦ない太陽光が降り注ぐ。相当修復されているというが遺跡であるから50センチほどの高さがあるラテライトや砂岩の礎石や階段を上り下りする。日頃、テニスをしているので筋力は落ちていないのではないかと思っていたが、段差と飛んだり跳ねたりするのは使う筋肉が違うのかかなり消耗する。10年後であったら、遺跡巡りは体力的に無理になるのではないか。

■ビールが旨い
博物館から遺跡公園と2時間以上飲まず食わずで歩き回り、すっかり喉が渇いた。遺跡公園を出てすぐの店で缶ビールを買った。まだ日が高いのだが口うるさい女中もいない。このくらいの贅沢は許されるだろう。遺跡彷徨のあとのビール一気飲み、こんなにおいしいビールを飲んだのは久しぶりだ。こうなったら止まらない。

公園からピーマイホテルまでは300mほどの距離だった。タイの中級ホテルのロビーでは清涼飲料水やビールを売っている。ロビーでシンハビールを買って部屋で更に一本。夜行バスで着いたその日の朝から精励恪勤、今日はまだ終わってないが、お疲れ様、そのままベッドで眠り込んでしまった。(続く)


「博物館と池」の写った写真以外はピマーイ遺跡公園の神殿跡です。