尖閣諸島再び(1)
■毀日政党
日本の友人から「ところで、日本はどうなってしまうんだろうって感じですよ」というメールが来た。
タイにいても、インターネットで内外のニュースには目を通している。「国民の生活が第一」という政党ができたが、如何にも国民をばかにしているネーミングだ。自分達の生活が第一、次の選挙が第一としか考えていないことを国民は分かっているのだろう、報道各社の世論調査では8割以上の人が小沢新党に期待していないし、政党支持率は3.7%にとどまっている。
小沢代表の新党結成の声明を聞きに新華社の記者まで集まったが、日中最大懸案である尖閣諸島のことは一言も口にせず、日本と中国は2千年を越える関係があり、これからも…といった抽象的な言い方に終始した。国家観も政治理念も語らず、消費税反対、原発反対だけで、選挙に勝てると思っているのだろうか。
3年前、140人の国会議員を連れて中国詣でをし、胡錦濤国家主席との会見では「私は人民解放軍で言えば野戦の軍司令官として頑張っている」と媚びて見せた。また、慣例を無視し、習近平副主席を天皇陛下に拝謁させるという不敬を犯している。
その分、彼は中国に評判がいいらしく、小沢さんに期待する、というブログの書き手は見事に媚中派と重なっている。日本語の上手な中国人が組織的に書き込んでいるのではないかと思うほどだ。
■尖閣諸島をめぐって
1970年代に尖閣諸島周辺に膨大な資源があることが判明してから、中国がその領有権を主張し始めた。さすがにすぐに実力行使はまずいと思ったのか、「領土問題は棚上げしよう、後世の人がよい知恵をだすでしょう」と時間稼ぎをした。
70年代に日本の古書店を謎の人物が中国の古地図を買い占めて回った。また、国会図書館を始め、各地の図書館に所蔵されている中国古地図の尖閣諸島の頁が切り取られた。中国が着々と工作を進める間、自民党政権も、民主党政権も、「中国を刺激してはならない」と口癖のようにいって、日本国民どころか、土地を管轄する石垣市職員にも、尖閣諸島に上陸することを禁じてきた。
こういった日本の配慮も空しく、中国は尖閣諸島をチベットやウイグル自治区と同じく中国の核心的利益と言い始め、領土的野心を露わにした。何が後世の人のよい知恵だ。
今年の3月には人民解放軍のシンクタンク、軍事科学院世界軍事研究部副部長だった羅援少将がテレビ番組で「「釣魚島(尖閣諸島の中国名)が、われらの島礁であるからには主権を行使する」と宣言。さらに、「われらの軍用機、軍艦は適切なタイミングで魚釣島附近へ到着する必要がある」「日本がもし釣魚島に強行上陸をするなら中国は強行軍事手段を採ることができる」と続け、「釣魚島附近で軍事演習を行う必要がある」と語っている。
また、中国共産党機関紙、人民日報は13日付のコラムで、日本政府の国有化方針など沖縄・尖閣諸島(中国名・釣魚島)をめぐる日本の行動を非難し、武力衝突の可能性をちらつかせて挑発した。
同紙は、2010年の中国漁船衝突事件で中国人船長が拘束された一件や、離島の命名や購入計画、視察や周辺海域での釣りなどを列挙して「茶番」と呼び、「短絡的な戦略だ。(中国を)挑発することで自分に陶酔している」と断じた。
そして、「国と国との関係は子供の遊びではない」として、「(挑発が)度を越せば、釣魚島問題を制御できなくなる危険性がある」と強調。「日本の政治家たちはその覚悟があるのか」と詰め寄った。
同紙は今年に入ってから度々、尖閣諸島を「核心的利益」と表現しており、今回も「国の核心的利益について、中国は半歩でも退くことはない」と強硬な論調を展開。武力行使もいとわないことを示す言葉を使うことで、日本側の動きを牽(けん)制(せい)する意図がうかがえる。
■口先だけか
以上は強硬派軍人のガス抜きという見方がマスコミでは一般的だが果たしてそうだろうか。
歴史家が何を言おうと、政治家が何を言おうと、力の強いものが必要な領土を我がものにするのが当然という考え方が中国にはある。考え方どころかそれを実践したのが南シナ海の領有権問題だ。
フィリピンが主権を宣言する南シナ海の中沙諸島スカボロー礁の領有権を主張する中国は最近、艦艇を送ってフィリピン側を撃退した。この環礁はフィリピンの主島ルソンから250キロだが、中国本土からは1350キロの海上にある。
ベトナムは実効統治してきた西沙諸島から1974年1月に中国海軍の奇襲で撃退された。当時の南ベトナムの政権が米軍の離脱で最も弱くなった時期だった。(続く)
写真はラチャパット大学の七夕祭りの餅つきの様子です。