チェンライの市場から

「市場に並べられた商品からその国の生活がわかる」と言われます。当ブログを通じてチェンライに暮らす人々の生活を知って頂きたいと思います。 チェンライに来たのは2009年から、介護ロングステイは2018年8月母の死去で終わりとなり、一人で新しい生活を始めました。

塩の井戸 4

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塩の井戸(4)

■ボークルアのミネラル塩
漬物屋をやるわけでもないのに、塩を6キロも買ってどーするんだよ、という気もしないではなかったが、貰ってくれる人はいるだろうし、また賞味期限があるものではない。無駄にはならない。

それでボークルアに塩の味はどうか、と聞かれると「ほんのりとした甘みと旨みがあり、まさに食材の美味しさをいっそう引き立てる塩です」と答えたいところだが、塩であるからしょっぱい、甘みがあるかどうかわからない。ただ、味に丸みを感じるのは塩の結晶が少し大きめで、口の中で溶解するのに精製塩より時間がかかるからと思われる。わずかに黄色く着色しているように見えるは鍋の鉄分が出たのだろうか。

とはいえ、三億年前の化石塩水をじっくりと薪で煮詰めた天然塩、そんじょそこらの輸入精製塩とは有難味が違う。大体、山道を3時間、喘ぎながら登ってきたのだ。この塩を手に入れるには汗と涙、手間とコストがかかっている。いや、塩は塩、ま、普通の塩ですよ、とは意地でも言いたくない。

■塩の味は銘柄で異なるか
肉料理には岩塩が、海産物には海塩が合うと一般的には言われている。人によっては海塩でも天日塩(非加熱塩)は丸みがあって、汁物煮物向き、煎ごう塩(鍋などで煮詰めた加熱塩)は少し苦めで焼魚に合うという。一口に塩と言っても、日本で売られている塩の数は100g当たり数円の並塩から100g210円の皇帝塩まで1000種類以上ある。

栃木生活消費センターで、ミネラル塩として売られている塩に含まれるカリウムマグネシウム、カルシウムなどのミネラル分を調べてみたところ、その含有量はごく微量であり、家庭で使う食塩から摂取できるミネラルの量は1日の必要量のわずか2%に過ぎないことが分かった。1日数百グラムの塩を摂らないと必要なミネラルは得られない。

また、一般消費者150人を対象に、 塩に関するアンケート調査を実施。 調理用に塩を使い分けているか聞いたところ、 使い分けている人が53%と、 過半数の人が使い分けているという結果。 使い分けていると回答した人に使い分けている理由を聞いたところ、 「味の違い」 とした人が32人と最も多く、 次いで 「健康」 とした人が23人だった。

しかしながら、センターで実施した官能試験では、 一部の銘柄ではテスト方法によっては違いを判別できるものもあったが、 多くは味の違いを判別することは困難であり、塩の銘柄による味の違いは使用法によってはわずかである、という結果がでた。料理の達人ならば違いが分かるのかもしれないが、一般の人にとっては高い塩も安い塩も味は同じであると思われる。

■ブランド塩へ
日本では「塩分濃度を高くした海水を、薪を使った窯で煮詰めて造り上げられた天然の海塩」という特別の塩が100グラム210円で販売されている。ポリ袋入りだが商品名と製造法が書かれたラベルが貼ってある。見るからに美味しそうで体にも良さそう。薪を使って、というのも手作りイメージで大変いい。
このようなキャッチフレーズがどうしてボークルアの塩にはないのだろうか。同じ製法のボークルアの塩なら210円で8キロは買えるが、利点は安いだけです、というのでは悲しすぎる。

村の土産物店で売られている塩は申し合わせたように2キロ入りポリ袋だけで、全くバリエーションといったものがない。見た目は砂糖だか塩だか分りやしない。これがボークルアの塩です、と人に差し上げるとき、2キロ入りポリ袋をよっこらしょと渡すのでは有難味がない。500グラムや1キロ入りの袋、また100グラムの卓上瓶もあっていい。

ミネラルの含有量や製法、市販塩との違いの説明書が欲しい。少なくとも「三億年前の古代塩」といったラベルは付けるべきだろう。

ボークルアは山間地で日中の気温差が激しいことから、甘みのある美味しい野菜が取れるという。この野菜と塩を使った「三億年大根」、「太古塩の高菜漬け」などは土産物としてどうだろう。

ボークルアにはナーン市を流れるナーン川の源流がある。この清流に住む川魚を利用した「ボークルア一夜干し」、「ボークルア渓流魚塩麹漬」などもおいしそうだ。

村の食堂で食事をしたが、メニューにあったのは何処のレストランにでもある焼き飯やクイッティオの類ばかりだった。ここはボークルアの塩を使ったボークルアうどん、ボークルア塩ラーメンなどを出して欲しい。

タイ料理の達人を動員してブランド力を高め、「当店ではボークルアの塩を使用しています」という看板を掲げた店が全国に出ないものか・・・

観光資源を生かしきれていない所はまだタイに沢山あるに違いない。