チェンライの市場から

「市場に並べられた商品からその国の生活がわかる」と言われます。当ブログを通じてチェンライに暮らす人々の生活を知って頂きたいと思います。 チェンライに来たのは2009年から、介護ロングステイは2018年8月母の死去で終わりとなり、一人で新しい生活を始めました。

塩の井戸 2

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塩の井戸(2)

■ナーンからボークルアへ
3月のある日、授業を終えてからチェンライを出発し、夕方にナーンに到着した。走行距離は約250キロ、カリビアンは問題なく走る。
ナーン空港に近いクム・ケー・タウオン・ホテルをネット予約してあった。1泊朝食付きで500B、新築で清潔なホテルだ。隣室で寝ていた兄の鼾が聞こえるほど壁が薄いが、それを除けば言うことはない。

地球の歩き方」に3ページだけだがナーンの紹介がある。レストランはわずか1軒、スアン・イサーンという北タイ料理の店が掲載されている。ホテルはこのレストランに隣接していて、朝食はこの店の賄い料理を食べることになっていた。外人客に媚びない激辛スープ、白飯に少しずつかけ、汗を拭きながら食べる。朝食を摂るだけでかなりのエネルギーを消費してしまう。

朝9時にホテルを出発、まずナーンから1080号線を北に50キロほど走ってタ・ワン・パまで上がり、そこから東へ1256号線に折れ、プアを経由してボークルアへと向かう。距離にして100キロというところか。この日はナビゲータが隣に乗っているし、道はL字型に行けばいいだけなので迷う心配はない。チェンライにしてもナーンにしても複数の道路が並行して走っているということは稀なので、よっぽどの方向音痴でなければ、目的地に辿りつける。

タ・ワン・パまでは平坦な道が続き、快調に飛ばす。左右には水田が広がるが、田植えが済んでいるところは少ない。雨季だけ稲作がおこなわれるのだろう。

■緊張する山道走行
1256号線に入ると急カーブの続く山道になった。日本であったらカーブの半径の長さとか道路勾配の数値は、安全性を考慮して法律で決められていると思うが、タイでは一切そういった配慮はない。急カーブを登り終えてみたら2階から地面を見下ろすくらいの勾配で、肝を冷やすといった道の連続だ。山の地形に合わせて道を作っただけと思う。ローギアに落としているのに、厳しいカーブと急坂のため、何度かエンジンがストップしてしまった。

日光いろは坂のカーブの数はいろは48ではなく実際は27という。チェンマイからメーホーソンまでのいわゆる白骨街道、1095号線の4千を越えるカーブを上り下りした経験を持つ自分にとっても、この1256号線は厳しいものだった。ナーンからボークルアまで100キロ程度の道に3時間かかるというわけは、せいぜい時速20キロ位しか出せないからだ。

山道の代わりにトンネルを通したら、どんなに便利なことかと思うが、北タイでトンネルを見たことがない。庶民の難儀を見兼ね、耶馬渓に21年の歳月をかけて青の洞門を開削したという了海のような坊さんはタイには出ないのか・・・。

■とうとうボークルアの塩井戸へ
1256号線は2車線であるが、時折、片側1車線分の道路が崖側に滑り落ちている個所がある。がけ崩れで埋まっていたが、何とか1車線だけ通れるようにしましたという個所もある。この道は過去にバスが崖下に転落したり、雨季に交通止めになったりと新聞やテレビによく出てくる。雨が降れば道が滑り落ちるし、崖崩れが当然起こるという前提で作られている道路のような気がする。一応舗装されているが、途中に穴ぼこだらけの悪路があり、カリビアンで来たのは正解だった。

ボークルアに行く途中にドイ・プーカ―国立公園がある。この様な難儀な道を通って公園に来る人がいるのかと思うが、この辺り、太古の昔は海の底で、石灰岩でできた山には多数の鍾乳洞や美しい滝があるという。標高2千メートル近い高地にあり、ドイ・プーカ―の空気という缶詰が1缶30Bで売られていて、かなりの人気とか。残念ながら3月初め、北タイは煙害に襲われている時期で、山の空気を胸一杯吸い込む気分にはなれない。

昼ごろにボークルアに到着した。プアから来て右側に小さな村がある。英語で「塩の井戸」と書いてある。この標識を見落とすとそのまま通り過ぎてしまいそうな場所だった。村に入ると両側に並ぶ土産物店の店先にはポリ袋入りの白いものが置いてある。塩に間違いない。

井戸があるはずだが、と村の一本道を進むと舗装が途切れて畑になり、牛が草を食んでいる。道を100mほど戻ると右側に役場があり、役場前の小さな広場にツルベ井戸があった。これが塩の井戸らしい。適当な場所に車を停めて、井戸に駆け寄る。

四川省の「塩都」自貢市には塩業歴史博物館があり、入場料は30元、採塩井戸を見るだけでも20元かかる。しかしボークルアは、駐車料金はもちろん、塩の井戸を間近に見てもタダである。(続く)

写真は旅行中のスナップと中古タイヤに変えたカリビア