チェンライの市場から

「市場に並べられた商品からその国の生活がわかる」と言われます。当ブログを通じてチェンライに暮らす人々の生活を知って頂きたいと思います。 チェンライに来たのは2009年から、介護ロングステイは2018年8月母の死去で終わりとなり、一人で新しい生活を始めました。

介護ロングステイ  3年1カ月

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介護ロングステイ 3年1カ月

■今年はタイも寒い
この冬、日本に相次いで寒波が襲い、各地で大雪を降らせている。例年なら梅便りが聞かれる頃だが、今年は梅の開花も遅れているようだ。

チェンライも寒い。でも自分の体がタイ化しただけでもないらしい。タイ語のジアップ先生によると、彼女がチェンライに住んで10年以上になるが、こんなに寒い乾季は初めてという。政府からタイ各地に防寒具や毛布が無償で配られている。寒さは世界的ということだろうか。

チェンライは日中の寒暖差が激しい。太陽が出れば日中の気温は30度を超えるが、朝の最低気温は15度を下回る。朝は冬、午前中に春になって、日中は夏、夕方になって秋の空気を感じる。寒暖差が激しいので、気温に応じ、こまめに衣替えをしないと風邪をひく。鼻水、咳、微熱という症状に悩まされたという友人も少なくない。

南国とはいえ、母が低体温症にならないよう、また日中は汗をかかないよう、服装や寝具には結構気を使わないといけない。

■やっと羽根布団を
タイで買った毛布はかなり重い。女中さんが暖かいようにと何枚も毛布や布団を掛ける。母は寝具の重さで身動きできないのでは、と心配になる。母は日本では羽毛布団を使っていた。羽毛布団は軽いし、蒸れないし、暖かい。チェンライで羽毛布団を探したが、市場でもロビンソンという大きなデパートの寝具売り場にも売っていない。チェンマイの高級寝具店にも行ったが、見つけることができなかった。

羽毛布団とはダウンが50%以上入った布団を言うらしい。それ以下は羽根布団という。ダウンは鳥の胸毛で軽くて保温性が高く、吸、排湿性に優れている。2月に兄が日本から羽毛布団を持ち帰った。85%以上のダウン入りであれば高級品であるが、今回持ち帰ったものは93%ダウンで、店の人がバブルの頃には20万円で売られていたものです、と言っていたとか。真空ポンプでひかれた袋にペチャンコになって入っていたが、取り出すとふっくらの布団に戻った。
軽くて、動きやすいのか布団の中で母がもぞもぞしているのが分かる。これで布団の問題は解決した。羽毛布団の寿命は30年というから、多分この1枚で足りるだろう。

白内障
白内障は眼球の中の水晶体が濁ることによっておこる。まぶしく感じたり、視力が低下したり、眼がかすむなどの症状が現れる。白内障は主として加齢によっておこる自然現象で、60歳代で70%、70歳代で90%、80歳代でほぼ100%の人に白内障による視力低下が認められるという。

母は2年ほど前から、左目の視力が落ちてきて、今では本人も「見えない」という。白内障ではないかと思ったが、この年で手術もどうか、チャンと医師に目の状況を説明できるかどうか、また手術後の安静時に目をこすったりしないか、などという心配があって、そのままになっていた。

当初、シルブリン病院に行ったが、医師は、目は悪くないという。見えなくなっているのに悪くないとは何だ、と思ったが痛がる様子もないので、点眼薬が切れた後はそのままになっていた。

テニスコートでOさんが、お母さん片目見えないの?、あのボレーやってる人、眼医者で1日10人くらい白内障の手術をしてるというから見てもらったら、と紹介してくれた。話を聞いたドクターは白内障かもしれないので、明日病院に来なさい、という。

翌日、地図を頼りに眼科クリニックに行った。ブアさんも同行したが、シブリンの眼医者がママさんの目は悪くないと言っていた、となんだか不満そうである。
テニスのコネで一番最初に診察を受けた。目を調べたドクターは、これは白内障ではない、という。認知症のため、眼と脳を結ぶ神経がうまくつながっていない。手術できないし、治りませんとのご託宣。白内障で手術さえすれば目が見えるようになると期待していたのだが、どうやらシルブリンの眼科医やブアさんの言うように「目は悪くない」というのは本当だったようだ。

■日本酒を少し
全日空とタイ航空乗り継ぎで東京からチェンライに来る場合、エコノミーでも46キロの携行荷物が認められる。
兄は羽毛布団の他に、日本酒や食材を大量に持ってきた。日本は大したものだと思うのは、歯のない老人用のレトルトパウチ食品があることだ。煮込みハンバーグ、厚揚げと根菜の含め煮、鯛の和風野菜あんかけなど種類も豊富だ。これで母の食卓のレパートリーが一気に広がった。

「お母さんの目、治らないんだって。ごめんね」。
塩ウニを少し口へ、そして、日本酒が少し入った小さなグラスを持たせる。形だけでも口をつけてくれると嬉しい。チェンライの生活も4年目に入った。

写真はメーファールンの王母さまの庭園(ドイ・トゥン・パレス)です。