チェンライの市場から

「市場に並べられた商品からその国の生活がわかる」と言われます。当ブログを通じてチェンライに暮らす人々の生活を知って頂きたいと思います。 チェンライに来たのは2009年から、介護ロングステイは2018年8月母の死去で終わりとなり、一人で新しい生活を始めました。

この道はいつか来た道

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この道はいつか来た道

■相も変わらず・・・
元旦の新聞の社説を読み比べてみた。朝日、毎日、読売、日経である。激動の年、転換点に来た世界などいつも通りの単語が並んでいる。進まぬ震災復興、TPP、金融不安、消費税など不安要素を抱える問題を列挙して、先行きは暗い、現状打破のため政治の決断を、といった、あまり変わり映えのしない論調。

経済週刊誌の目次を30年分ほど読んだことがあるが、いつの時代も「日本経済は曲がり角に来ており、行く手には奈落の大不況が待っている」、といったおどろおどろしいものだった。
それほどお先真っ暗だったのであれば、どうして日本はこれだけ発展し、男女平均で83歳と世界一の長寿国になっているのだろう。不老不死は無理にしても長寿は秦の始皇帝の時代から、人々が追い求めてやまなかったものだ。その長寿を最大限に実現した国に生まれて何が不満なものか。タイに住んでいるが、日本人だからという理由で差別されることもない。10万を越える日本将兵が駐在していた時期もあるが、それをタイの人がなじることを聞いたことはない。お金を持っているから面と向かって言わないのだ、という人もいる。でも収入は「吾唯足知(我、ただ足るを知る)」ほどの年金のみ。それで日々平穏に暮らすことができる。こういった国を作ってくれた先人に感謝するほかはない。

■水銀マグロ
1970年代初めに「水銀マグロ騒ぎ」というものがあった。食物連鎖の最上位に立つマグロには水銀が蓄積され、それを食べると水俣病になる恐れがあると、マスコミは人々の不安をあおった。キンメダイ、クロムツ、ハタ、それにズワイガニにも水銀は検出されるのだが、マグロだけが狙われた。

風評被害でマグロの値段が暴落した。こういう時しか旨いマグロは喰えない、と自分は築地市場に走り、生マグロを1キロ500円で買ったものだ。今なら1万円はする。店員のお兄ちゃんが「もう商売にならないよー」とぼやいていた。「ナニ、すぐみんな忘れて買うようになるよ」と慰めたが、内心、複雑な気持だった。というのは当時勤めていた会社で、水銀法によりソーダ(Na)と塩素(Cl)を生産していたからだ。水銀法による環境汚染はなかったのであるが、マスコミの魔女狩りともいえる指弾にあい、三木政権により1973年に生産中止に追い込まれる。無茶苦茶な話だ。

マグロ漁船の船員は我々の何十倍ものマグロを何年にもわたって食べているが、水銀により健康に被害を受けたという人はいない。トロを食べて足がふらつく人はいない。足がふらつくのは一緒に飲んだ酒のせいだ。

但し、金属水銀やメチル水銀の毒性は低いが、有機水銀の毒性は高い。秦の始皇帝有機水銀を長寿薬として摂取したため、命を縮めたといわれる。

ダイオキシン
「発ガン性・催奇形性・内分泌攪乱作用などあらゆる毒性を併せ持ち、12kgあれば日本人全員を殺せる史上最強の毒物」と人々の不安を煽った化合物だ。アトピーやいわゆる「キレる子供」の原因という嫌疑も掛けられた。多摩川の鯉には雌が多い、とか東大生の精液の調べてみたら精子の数が少なかった、これはダイオキシンのせいだという報道を覚えている。世の中の女性化が進んだのはこのせいか、精子が少なくなっては少子化が進むのではないかと心配したものだ。

塩分を燃やすと猛毒のダイオキシンが生成されるという噂も広がった。世田谷の自宅でゴミを燃やしていたら保健所に通報されたことがある。落ち葉や紙を焼却した時発生するダイオキシンの量は微々たるもので、車の方がよっぽどダイオキシンを撒き散らす。家でゴミを燃やすのが悪いならなぜ車など持っている。

日常生活におけるダイオキシン類の総摂取量のほとんどは経口摂取によると報告されている。アジ、アナゴ、サバ、さらに輸入マグロにも多く含まれている。魚の摂取によりガン患者や奇形児が増えたなどの報告はない。ベトナム戦争に使われた枯れ葉剤、カネミ油症事件などの中毒例はあるが慢性的毒性については議論が分かれているのが実情だ。

放射能
水銀マグロ、ダイオキシン騒ぎでは、学者や市民活動家が脅したような事態は起こらなかった。福島原発放射能汚染でも今のところ、死者はもちろん健康被害続出という状況ではない。汚染土壌の処理も新しい問題ではない。当時、ダイオキシンに汚染された土壌の処理は大問題だった。

自分は、放射能汚染の騒ぎも水銀マグロ、ダイオキシンと同じ経過をたどるだろうと思っている。マスコミや科学者をそれほど信用していないからだが、理由を書き始めると長くなるのでここでやめる。


写真は田植えの風景。