チェンライの市場から

「市場に並べられた商品からその国の生活がわかる」と言われます。当ブログを通じてチェンライに暮らす人々の生活を知って頂きたいと思います。 チェンライに来たのは2009年から、介護ロングステイは2018年8月母の死去で終わりとなり、一人で新しい生活を始めました。

バンコクの洪水とチェンライ

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バンコクの洪水とチェンライ

バンコクも冠水
タイは平たい国であるから川の流れはゆったりしている。アユタヤからバンコクまで100キロほどの距離がある。その間のチャオプラヤ川の高低差はわずか3.5センチだという。バンコクはもともと川が海に注ぎ込むデルタ地帯で、縦横に運河が走っていたが、都市化により埋立てられ、そこに高層ビルが建った。地盤沈下が激しい。海抜0メートル以下の場所も多い。満潮時、川を遡る水は2メートルの高さ、防潮堤の高さは2.5メートル。ここに北部、中部で大量に降った雨が大量に流れ込んできた。バンコク50区のうち30区が冠水した。日本に置き換えれば東京23区のうち14区が冠水、といったところだ。

アユタヤ辺りで洪水になれば、何日か後にバンコクが水にのまれる。誰もが分かっていながら、国や都の対策は土嚢を積むだけ。土嚢の内側にたまった水を排水すると、周りの地区の水が増える。
10月16日の新聞記事では、「バンコクチャオプラヤ川など中部の河川では、官民の船1000隻以上を固定してスクリューで水を海へ押し流す作戦が本格化し、インラク首相が開始式典を行った」と報じられていたが、どれだけ効果があったことか。

■落ち着いている被災民
洪水は7月から北部で始まった。その水が今バンコクで溢れている。水が引くまでには2,3カ月かかるといわれている。防災担当者が復旧までいつまでかかるかわからないし、対策の取りようがないと、お手上げ状態である。

首相やバンコク都知事を非難する記事もないではないが、まあ自然現象なんだから仕方ないよね、というような受け止め方が一般のような気がする。
日本の台風などの災害報道は切迫した緊張感がある。しかし、こう言っては悪いのだがタイの被災民にあまり切実さが感じられない。ゆっくりとした増水であるし、今に始まったことではないからだろうか。
舟に乗ったテレビ記者が、肩まで水に浸かっている被災者にマイクを向けている。水に浸かったおじさんは平然と記者の質問に答えていたが、やおら、水の中を歩くとズボッと頭まで水に沈み、手をひらひらさせた。ここは俺の背よりも高く水が出ているんだ、と言っているようだった。

■タイ以外の被災国
チェンライに降った雨はチャオプラヤーではなく、メコン川に流れる。メコンチベット高原にその源流を発し、中国、ビルマラオスカンボジアベトナムを経て南シナ海に注ぐ。今年は雨が多かったからメコンも氾濫した。
カンボジアでは250人近い死者を出し、27万世帯が被災している。フン・セン首相によると、緊急救援物資は今のところ、7万6千世帯にしか届いておらず、食糧と水が不足している。首相は年中行事の11月に祝う「水祭り」を中止し、「その分の予算を被害の復旧に振り向ける」と表明した。
 死者十数人とされるベトナムでは、6万戸以上が浸水。ラオスでは20数人が死亡し、6万ヘクタールを超える水田が損害を受けている。いずれも農作物への被害が甚大だ。以上は10月中旬の情報であるが被害はさらに広がっているだろう。
貧しい国の零細農民は逃れようにも車もバイクない。煮沸する燃料もなく、生水をそのまま飲用するため、皮膚疾患、寄生虫、下痢に悩まされている。カンボジアでは水田の10%が被害に遭い、種モミさえ水に浸かってしまったという。日本政府は5万ドルの緊急援助物資を送るとしているが、国にその物資を被災者のもとへ届けるだけのインフラがあるのかどうか。
日本では洪水を日本進出企業の被災、日本経済への影響といった視点でとらえがちであるが、貧しい人に洪水被害のしわ寄せがいっていることも心に留めておきたい。

■チェンライにも影響が
友人から頂いた洪水お見舞いに対し、チェンライは乾季に入り、被害は全くありませんと返事を出してきた。ところが10月下旬になって、市内一の高級スーパーから、ミルクやインスタントラーメンなどが姿を消し、商品棚はガラガラになった。ネットによると全国で飲料水や乾麺、缶詰の買い占めが起こっている。飲料水や乾麺は救援物資優先でチェンライまで回ってこないのだろうか。

チェンライで観光客がよく集まるナイトバザールのフードコート、あるいはレストランでは生ビールが飲めなくなった。入荷がないそうだ。洪水により物流に悪影響が出ているのだろう

ただし、庶民の利用する市場には生鮮食料品が溢れ、いつもと同じような活気を呈している。タイは庶民と同じ生活水準で暮らすならば、天災の影響を殆ど受けないで暮らせる。経済2重構造の国と言っていいかもしれない。


写真一番上は「泰然自若としたタイ人と紹介された有名な写真」、「ビッグCのミルク売り場」、「地元の報道写真から」