チェンライの市場から

「市場に並べられた商品からその国の生活がわかる」と言われます。当ブログを通じてチェンライに暮らす人々の生活を知って頂きたいと思います。 チェンライに来たのは2009年から、介護ロングステイは2018年8月母の死去で終わりとなり、一人で新しい生活を始めました。

アカ族の葬式 2

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アカ族の葬式(2)

■部屋の中で豚を屠殺
舟形棺が部屋の隅に安置されると、赤いバラや霞草の生け花がいくつも飾られた。この花籠は村の女性達が活けたものだ。葬式に赤いバラは珍しい。

舟形棺を囲むように飾られた花を見ていたら、なんだか辺りが騒がしくなってきた。男達が前足と後ろ足を縄で縛った豚を棒にぶら下げて、部屋の中に担ぎ込んできたのだ。豚と言っても可愛い子ブタでなく3、40キロはあろうかという大黒豚だ。毛が一杯生えていて豚というより猪に近い。棺が安置された部屋の片隅にビニールのシートが敷いてあったのでなんでこんなものが、と思っていたのだが、男たちはそこに豚を横たえると、縄を解き始めた。豚はピーピー大騒ぎして暴れるが6,7人もの男が寄ってたかって押さえつける。豚も殺されるのではないかと死にもの狂いだ。一度は豚が男を一人跳ね飛ばし、室内に緊張が走ったが、その瞬間、さらに男たちが飛びかかって豚は身動きできない状態になった。

ピマがやってきて何やら呪文を唱えると、やおら山刀を豚の喉元に突き刺した。豚の悲鳴と共に傷口から血がドボドボと吹き出した。素早く洗面器を喉元に当てる。あっという間に洗面器が血で一杯になった。階下の台所からもう一つ洗面器が来るまで傷口を抑えていたが、少し血がビニールの上にこぼれた。豚はぐったりと動かなくなった。この間1分にも満たなかっただろう。豚の頭を抑えていた男が開きっぱなしの目をグリグリ指で触っている。何故そんなことをしているのかわからない。豚がこと切れているのを確認するためだろうか。

豚は生贄として神に奉げられたものだ。豚は隣の部屋に運ばれていった。その部屋にはピマが2人いて豚の前に米や塩、霊草の置かれた大きな笊を置き、神と先祖に祝詞をあげ始めた。

アカ族の葬儀では期間中、毎日のように豚や水牛が生贄にされる。葬儀期間中、遺族は集まる村人に食事を振る舞う。かなりの資力がないと立派な葬式が出せない。葬儀に金がかからないからとキリスト教に改宗するアカもいると聞いた。

■アカの食事
夜の食事は三々五々、7時過ぎから始まった。庭のテントの下に10卓ほどテーブルがあって、料理を配り終えた順に食べ始める。
自分はアカ協会で働いているタイ人のサキ君とアトゥの姪、ピヤさんと一緒に家の中の台所に一角で食卓を囲んだ。サキ君は英語を話すし、ピヤさんはアメリカに住んでいて、葬儀のために帰国したという。当然のことながら英語を話す。
アトゥは外人参列者の自分に気を使ってくれたが、彼は喪主であるし、忙しい彼に不躾な質問をして時間を取らせるのは心苦しい。葬儀の流れや儀式のいわれについてはこの二人に教えてもらったことが多い。英語を話す二人を自分に付けてくれたのはもちろんアトゥの心遣いと思う。

食事は豚肉づくし、煮物、肉入りスープ、アカというか北タイ特有のラープという料理も出た。ラープは新鮮な肉を山刀で根気よく叩いてひき肉にする。そのひき肉に時折、血と唐辛子、塩を入れてさらに叩く。ちょっと冷たい生肉は何も臭みがなく美味しいものだが、時折唐辛子に遭遇すると口の中で小型爆弾が破裂したようになる。
飲み物はもちろんラオカオ(泡盛)だ。食前酒というわけではなく食前、食中、食後にも飲む。火を近づければ青い炎をあげて燃えるほど強い酒だ。
小さなグラスだが「ドジ、ドジ(アカ語で乾杯の意味」を繰り返していたらすっかりいい気持になってしまった。

■賭場のご開帳
食事を終えて庭に出てみると100人を越える老若男女で沸き立っていた。仮設蛍光灯の下で賭博をやっている。賭場は全部で7,8か所はあっただろう。「亡父追善供養大賭博開帳」と言ったところか。
大きな紙にサイコロの目が書いてあり、大人は20B,子供は5Bや10Bを考えながらサイコロの目に置く。盆の中にサイコロが三つ入っていて、それにざるを被せ、一度激しく振る。ゆっくりとざるが持ち上げられると歓声とため息が漏れる。

目の代わりに馬やウサギ、虎など6種類の動物が描かれたサイコロもあった。一辺が10センチもある。傾斜を付けたトランクの蓋の途中にゴム紐が張られ、客がその紐を引っ張ると3つの動物サイコロがトランクの中に落っこちてくる。動物の絵が描かれた紙にそれぞれお金を賭ける。ぞろ目で、例えば馬の目が2つ出ると馬に張ったお金は4倍になって返ってくる。

儲けるつもりはなかったが、自分も適当な目に賭けてみた。やはり掛け金が倍になって返ってくると興奮する。「楽しゅう遊ばせてもらいましたわ、おおきに」と大坂の大旦那風に呟いてみたがすったお金は200Bにも満たなかった。


写真はアカ族の葬儀の様子。一番下が「サキ君とピヤさん」