チェンライの市場から

「市場に並べられた商品からその国の生活がわかる」と言われます。当ブログを通じてチェンライに暮らす人々の生活を知って頂きたいと思います。 チェンライに来たのは2009年から、介護ロングステイは2018年8月母の死去で終わりとなり、一人で新しい生活を始めました。

介護ロングステイ2年半

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介護ロングステイ2年半

■食欲旺盛
タイに来て2年半が過ぎようとしている。ここ2,3カ月、母の健康状態は安定している。病院でブアが先生に「ここ1月健康でした」と嬉しそうに告げている。2年前は自分で歩き回っていたが、今は自分一人では立てないし、介助がなければ歩けない。以前に比べれば確実に衰えているのだが、食欲はあるから女中さんは安心しているのだろう。食事はミキサーで細かくした果物、お粥などを匙で口に入れてもらっている。入院していた時は鼻から食道に突っ込まれたチューブに大きな注射器で流動食を注入されていた。これに比べれば曲がりなりにも味は楽しめるわけでより人間的と言えるだろう。ドリアンや兄の作ったジャガイモスープなども好物だ。一回の食事量は小どんぶり2杯ほどだ。具合が悪い時は目の前に匙を出しても口を開かなかったり、舌で匙を押し出していた。とにかく毎食、機嫌よく完食してくれれば健康だ、と思えて嬉しい。

■病院通訳、勇気子さん
病院に日本語通訳の勇気子(ゆきこ)さんが配属されて以来、病院での各種手続きがとても楽になった。到着してから病院を出るまでずっと彼女が付き添ってくれる。医師や薬剤師に質問があるときでも国保請求書類の記入依頼でも下手な英語を使わないで済む。
彼女は北タイの女性の例にもれず、大変やる気がある。病院に勤務する傍ら、保険を取り扱っている。入院や手術で高額の医療費がかかる場合があるから、日本の国民健康保険に入っていない邦人はこちらの私的健康保険に入るのが一般的だ。自分も傷害保険、健康保険の2つに入っている。病気や交通事故でけがをしたときの治療費がカバーされる。こちらの保険は単なる通院で薬を貰うだけでは保険は使えない。入院が医療費支払いの条件だ。

勇気子さんを通じて保険に入ると、ちょっと腰が痛い時でも先生に頼んで1,2日入院させてもらえるという。医療費と共に、入院1日につき1,000Bから3000Bのお見舞い金が出る。必要がないのに入院するつもりはないが、タイらしいおおらかさではある。
彼女は日本家具専門店も経営している。日本の化粧品も扱いたいのでどこか代理店を紹介してもらえないかと頼まれた。更に店の2階が空いているので、日本語学校を開校したい、その時は教師で働かないか、と勧誘された。タイに来てまで働く気はないが、タイ女性のエネルギーには脱帽する。

■新しい女中サオさん
1年ほどブアと共に母の面倒を見てくれていたオイさんが4月にやめた。20歳位の娘さんには介護はなかなか大変だと思っていたので仕方がない。オイさんのあとに知人の紹介でサオさんという40歳の女性が来てくれた。タイ女性には珍しく、165センチの長身、がっちりした体型だ。相撲を取ったら多分負けるだろう。力があるので母の両腕を取って「1,2,3」と立ったり座ったりのリハビリや、腰を支えての歩行介助も見ていて安心感がある。
長椅子に母と並んで座って食事をさせるのだが、何かと大声を出す母を宥めながら匙を口に運ぶ。母は食事中でも疲れてくると、体が傾いて来てサオさんに寄りかかってしまう。サオさんは、食事を中断して母を抱き寄せて話しかける。タイ語で、疲れましたか、大丈夫ですよ・・・
嫁さんがいてもあんなに親身に世話してくれないよな、と兄弟共々感謝している。

明るくてきっぷのいいサオさんであるが、心配なことが一つある。それは彼女が金持ということだ。うちに来る直前にご主人を亡くしたのだが、家では豚を数十頭飼っている。今、豚肉は高騰しているのでいい商売である。仕事で使うピックアップは家に置き、彼女は日産ティーダの新車に乗っている。1800奸我々のホンダシティ1500佞茲螢錺鵐薀鵐上の高級車だ。タイ語の先生も邦人も女中が新車に乗っている話など聞いたことがない、と驚いている。

刑事ドラマ「相棒」シリーズに登場する杉下右京であれば、「お金に不自由しないのにどうして女中奉公をするのでしょう。妙ではありませんか?」というところだろう。ここはタイである。彼女がご主人の後釜として我々兄弟を狙っているのではないか、と考えるのは決して突飛な邪推でも、自惚れでもない。

彼女が来てはや4ヶ月、楽しそうに働いてくれているが、いつ「一緒になってくれないなら辞めます」と言い出すかわからない。母の介護の傍ら、豚の生育を楽しみに暮らす生活も悪くないような気もするが、そこまで自己犠牲を払う必要もないだろう。

写真上からサオさんと母、サオさんの高級車、以下は田植えの模様。