チェンライの市場から

「市場に並べられた商品からその国の生活がわかる」と言われます。当ブログを通じてチェンライに暮らす人々の生活を知って頂きたいと思います。 チェンライに来たのは2009年から、介護ロングステイは2018年8月母の死去で終わりとなり、一人で新しい生活を始めました。

介護ロングステイ2年5カ月

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介護ロングステイ2年5カ月

■診断までの流れ
月に一度の通院日である。前月に渡された予約カードには9時から14時までの間に来るように、とある。これを予約カードというべきかどうか。母がゆっくりと食事を済ませた後、10時過ぎに病院に着いた。入り口には「ウェーン・ペー」と呼ばれる介護補助者の男性が何人かいて、母を車から病院の車椅子へと移してくれる。屈強なウェーン・ペーだと母をお姫様抱っこで車椅子へ運んでくれる。こちらでは当たり前のサービスであるが歩行の覚束ない患者、その家族にとっては大変ありがたい。

診察カードをホール中央の受付に提出して手続きに入るのであるが、この春からこの受付に強力なヘルパーが現れた。パッタナン・チャイネットさん、日本名「勇気子(ユキコ)」さん。シルブリン病院のタイ・日通訳だ。以前より病院では日本人患者に対するサービス向上のために日本語の通訳を配置すると約束していたが、それが実現したのだ。彼女は20代後半、札幌の語学学校に2年いたという。彼女のお姉さんがこの病院の看護師という縁で通訳として勤務することになった。
勇気子さんが手続きを済ませ、診察室の前で一緒に待機してくれる。

診察室にはPCの乗った机がひとつ、警察の取り調べ室程度の小部屋で、診察用具はほとんどない。医師は背広かYシャツ姿で医師というより代書屋さんのような感じだ。その小部屋に、母と車椅子を押す准看護師、兄、ブア、勇気子さん、自分の6が入る。患者用の椅子は1つか2つしかないから、医師をぐるりと取り囲むよう皆立つ。医師は10秒ほど母を診た後、ブアの持ってきた薬袋を見ながら処方箋を書き始める。母の体調にそれほど変化はないから、診察は前と同じ薬を1月分出すための儀式のようにも思える。医師は処方箋を書き終わると、国保の還付申請用紙に読みやすい英語で記入してくれた。約5分、診察時間のほとんどはペンを走らせていたことになる。

■支払いと薬の受取り
処方箋、カルテを「ダン・ヤー」と呼ばれる女性職員が「勘定場」と書かれた支払窓口に持っていく。ダンは「歩く」、ヤーは「薬」という意味で文字通り薬やカルテを持って歩くといった医療雑務をする職員で、青い制服を着ていることが多い。診察待合室でお茶を配る人もダン・ヤーだ。人件費が安いのか、このほかにも准看護師、看護師がたくさんいて、フロアの半分くらいが病院関係者という感じがする。
領収書を支払い窓口の隣にある薬剤部に提出する。待つこと暫し、1月分の薬を受け取る。勇気子さんがずっと付き添ってくれたおかげで、スムーズに終わった

病院の駐車場は遠くはないが、病院玄関から駐車場までウェーン・ペーの運転する電気カートに乗せてもらう。もちろん無料サービス。日本では駐車料金を徴収する大病院があるが、チェンライではデパートを始め、駐車料金を取る施設はほとんどない。
病院玄関に車を横付けすると、ウェーン・ペーのお兄さん達が母を車に移してくれる。勇気子さんやウェーン・ペーのお兄さんに見送られて病院を後にする。到着してから病院を出るまで1時間足らず、それでも今日は長くかかったかな、という感じであった。

■母の日常
3月から4月にかけ軽い肺炎を起こし2週間ほど入院した。退院当初は体がグニャグニャで、これは本当の寝たきりになるか、と心配したが、幸い理学療法が効いて介助があれば歩けるようになったし、声も大きくなった。ただ入れ歯を使用していないので、何か大声で言っても意味不明である。
もう少し、低い声でゆっくり言ってもらわないと分からないよ、というと「そうなの」などと答える。兄の名を呼ぶことが多い。あまり兄の名前ばかり言うので、僕の名前はね、ヒデキ、ヒデキと言うんだよ、というと「わかっているよ」と答える。会話が長続きすることはなくなったが、こちらの言うことは理解しているようだ。

こちらに来た頃、母はシンハビールの晩酌をしていたが、最近は一口飲むと、冷たい、いらない、と顔をしかめる。日本にいた頃は500ml缶を空けていたし、たまたま置いてあった30年物のウィスキーを半分ほど飲んでしまっていたこともある。やはり酒量は年と共に落ちていくようだ。母をみていると、自分もそのうち飲めなくなる日が来るのだから、酒がおいしいと思う時に飲んでおかなければ、という気になる。テニスの後のビール、水割りはやはりうまい。飲みたい日は飲む、飲みたくなければそれもよし、それでいいんだよね、お母さん、と女中さんから注射器でミルクを飲ませてもらっている母に話しかける。こんな感じで1日が過ぎていく。


写真はチェンライの5つ星ホテルです。知人が泊りましたが、スィートで150ドルくらいでした。