チェンライの市場から

「市場に並べられた商品からその国の生活がわかる」と言われます。当ブログを通じてチェンライに暮らす人々の生活を知って頂きたいと思います。 チェンライに来たのは2009年から、介護ロングステイは2018年8月母の死去で終わりとなり、一人で新しい生活を始めました。

片雲の風にさそはれて 5

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片雲の風にさそはれて(5)

■天国と地獄
3月の中国旅行は景洪に3泊、昆明に3泊した。前半の景洪は地獄、後半昆明の旅は天国と言ってもよいほど落差があった。
それは景洪滞在中、全く言葉が通じず、隔靴掻痒、疑心暗鬼、五里霧中、疲労困憊の状態にあったからだ。ところが昆明では到着後すぐにここに長期滞在する友人、Fさんと連絡がついた。中国語が堪能なFさんのフルアテンドがあって、昆明滞在はすこぶる快適なものとなった。目の前の霧が一気に晴れ上がって視界が拓けたという感じ。先達はあらまほしきもの、持つべきは友である。突然連絡したにもかかわらず、Fさんは滞在中、ずっと通訳、ガイド役を務めてくれたばかりか、別れに当たっては昆明名物のうるち米のお餅まで持たせてくれた。兼好法師は「一にもの呉るる友」と言っているが、Fさんには本当に感謝の言葉もない。昆明にいるとき、東日本大震災の報に接し、二人でテレビニュースや途切れがちなインターネットで情報収集したことと相まって忘れがたい旅行となった。

■サービス精神はあるのか
タイと中国の違いの一つは人に「愛想」があるかないかだろう。レストランでもホテルでも若い女性もオジサンも笑ったらソンと思っているのか、無愛想でつっけんどんだ。賓館のフロントに松本伊代によく似た女の子が座っているのだが、こちらが何か言うと「ああ、ああ、」と嫌そうに答える。タイだったらまずは「サワディーカー」と言ってにっこりしてくれるところだ。
到着した日の夜、中華料理屋に入った。ビールを頼むと、何かまくし立てる。ビールの銘柄を指定しないといけないらしい。メニューが漢字で書いてあるのだがわかるようでわからない。もどかしい。ラベルに「Cool Beer」と書かれた瓶ビールが出てきた。生温くてウズのビールよりまずい。ビールは冷たいものという常識は日本だけで、世界標準ではビールは冷えていないのが普通とのことだが、こういうことがいちいち神経に障るのは疲れているせいか。
軽食をと思って、猪飯と豆腐湯を頼んだ。30分ほど待たされたあと、洗面器に入ったスープと一升炊き電気釜入り豚脂ご飯がドーンと出てきた。ウェイトレスが量が多いがいいのですか、と注文時に聞いてくれたのかもしれないが、それにしても・・・・頑張って食べたが7割ほど残してしまった。

■中華料理
日本人は隠れて食べる、中国人は人に見せつけて食べる、という。景洪の街を歩くとテーブル、イスを道路にまでせり出して食事をしている。歩行者からは丸見えだ。テーブルの上に大皿のトンローホーや回鍋肉が置かれ、数人が箸を伸ばしている。中華料理はこの様に多人数でいろいろな種類の料理を楽しむものだ。一人だと一品料理になってしまう。適当に注文したらウズベクでよく食べたラグマンによく似た焼きうどんが出てきた。量が異常に多い。食べ終わると蛇のようにしばらく動けなくなる。タイ人は時間を問わずちょこちょこ食事をする。タイそば、クイッテイオは日本の即席めんの半分ほどの量しかない。だから1日に何度も食事ができるわけだが、中国では朝、昼、晩と一時に大量に食べて間食はあまりしないらしい。
せっかく中国に来たのに中華料理らしい料理を食べることができない。路上レストランで、「多品種、少量」と紙に書いて3,4種の料理が食べられたのは景洪3日目の夜だった。

■中国の賓館
景洪にはホテルやゲストハウスが200くらいあるという。大飯店、大酒店という豪華大ホテルもある。フロントには料金表があり1泊1000元とか書いてある。工員の月給と同じ。だがこの料金表は単なる見せ掛けで決して信用してはいけない。実際はその半分から4分の1の価格で泊まれるらしい。

賓館クラスは60-80元、日本円で1000円以下だから、あまりネゴの余地はない。どのホテルでも1泊分の押金(ヤージン)、すなわち保証金を取る。領収書を取っておかないと保証金が帰ってこないこともあるという。
タイの観光地は男性天国としてつとに有名であるが、中国の賓館には風俗兼営のところがある。フロントに30名以上の若い女性がひしめいていて、というレポートを読んだことがある。
自分の泊まった賓館では毎晩夜11時になると電話が鳴った。最初の晩は要領を得ないものだから、部屋のドアをノックされた。暗い廊下に若い女性が立っていた。「プヤオ、プヤオ(不要)」。
女性を部屋に引き入れると、10分後に「公安」の人が臨検に現れてこってり絞られた揚句、相当の罰金支払いを余儀なくされる、というケースがあると聞く。もちろん公安が本物とは限らない。


写真一番上は「ジンホンの食事風景」、次は「焼きうどん」、「ジンホンの晩餐」、「ホテル」、「千円の賓館クラスの部屋」