チェンライの市場から

「市場に並べられた商品からその国の生活がわかる」と言われます。当ブログを通じてチェンライに暮らす人々の生活を知って頂きたいと思います。 チェンライに来たのは2009年から、介護ロングステイは2018年8月母の死去で終わりとなり、一人で新しい生活を始めました。

ラオス旅行 9

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ラオス旅行(9)

■予定変更
芭蕉に限らず人生を旅になぞらえる古人は多い。確かに人生と海外旅行は共通点がある。それは予定外のことがおこり、そしてそれが面白いのだ。

当初、ラオス旅行は世界遺産のルアンプラバンを見物したあと、ビエンチャンに出て、それから陸路、ベトナムへ回る予定だった。しかし、クレジットカードを忘れ、路銀不足の心配が出てきた。そこでビエンチャンからタイのウドンタニに入り、そこからバスでチェンライに戻る、という倹約コースに変更した。

ところが、タイ、ラオス国境の街フエサイで、偶然に出会ったオーストラリア人、アランから、その週末に北ラオス、ルアンナムターで「フルムーン・フェスティバル(満月祭り)」があることを聞かされた。北ラオスには20以上の少数山岳民族が住んでおり、アカ族もその祭りに参加するらしい。アカ族と聞けば取り敢えず行ってみなければならない。

ビエンチャン行きを取り止め、それまで地名さえ聞いたこともなかったルアンナムターを満月前夜に訪れることにした。しかしアランとはほとんど立ち話であったし、そんなにこちらの英語の聞き取り能力があるわけではない。祭りの会場はルアンナムターではなく結構離れた街、と言っていたような気もする、また今月の満月とはっきり言っていなかったような気もする。旅先のことで、裏も取れないあやふやな情報である。ただ、ルアンナムターは国境のフエサイに戻る途中にあるし、たとえお祭りがなくても、1、2日北ラオスの山中でゆっくり過ごすのも悪くはないだろう。


■ミニバスの中で
ラオスのルアンナムター県は中国雲南省ミャンマーと国境を接している。ミャンマーへはイミグレがないので行くことはできないが、中国へはルアンナムターから60キロほど離れた国境のボーテンから中国のモーハンに入ることができる。モーハンからモンラー、更に景洪、昆明にバスで行くことも可能。

ミニバスで隣り合わせた夫婦はオーストリアのウィーンから来た退職者、6週間の予定でアジアを回るのだという。趣味は山歩きで、北ラオスのトレッキングを楽しみにしている。夫婦ともゆっくりではあるがきれいな英語を話す。ハプスブルグ家とランサーン王家、ウィーンフィルなどに話が及ぶ。かなりのインテリだ。50代後半と見える奥さんも時折、二人の会話に加わるが、控えめで上品な人だ。話が途切れた時、奥さんが、山岳民族が印刷されたポストカードを本の間から出して、ご主人に見せている。北ラオスには多くの山岳民族が住んでいる。彼らもアカ族に興味を持っているのだろうか。

■着いてはみたが・・・
ミニバスはルアンナムターのバス停に6時過ぎに着いた。約8時間のバス旅行であった。バス停からルアンナムターの市内まではソンテウ、自分の荷物は着替えが入った小さなリュック一つ、ソンテウにはランニングシャツ1枚の若者が一人、木曜にベルリンを発って、今土曜の夕方にルアンナムターに着いた、これから2週間、山歩き出来るのがうれしくて仕方ない、などと云う。山を歩いているうちに中国領に迷いこんじゃいけないよ、などと雑談しているうちに 40キロは入ろうかという大きなリュックをソンテウの上に運ばせて、ミニバスで一緒だった人たちが遅れて乗り込んできた。みな山歩きが目的か。
バス停から約10キロ離れた市内へと向かう。市内中央、といっても寂しい大通りでソンテウは止まった。

もう薄暗く、明晩が満月という大きな月が空に掛っていた。
オーストリアのご亭主が、「荷物はそれだけですか」と声をかけてきた。彼らの巨大リュックに比べると自分の持ち物はあまりにも少ない。これでトレッキングに行くのかと訝しく思ったのだろう。いや実は、満月の祭りが明晩あるという情報を頼りにここへ来たのです。これからどこでどのような祭りがあるのか調べてからの話ですが、祭りにはアカ族はじめいくつかの山岳民族が集まるらしい・・・、手短に自分の来訪目的を話していると夫婦の眼が輝き始めた。

失礼とは存じますが、あなたの行こうとしている満月の祭りについてもう少しお話を聞かせて頂けないでしょうか、実は私共も山岳民族に興味を持っているのです。そうだ、チェックインのあと外でお食事を一緒にしましょう。

旅でおこる予定外の出来事は予定外の人との忘れがたい出会いをも演出する。ウィーンの元高裁判事、マンフレッドとその夫人、セイダとの1日はこうして始まった。

上二枚の画像はルアンナムター市街、下はツーリングメニュー