チェンライの市場から

「市場に並べられた商品からその国の生活がわかる」と言われます。当ブログを通じてチェンライに暮らす人々の生活を知って頂きたいと思います。 チェンライに来たのは2009年から、介護ロングステイは2018年8月母の死去で終わりとなり、一人で新しい生活を始めました。

ラオス旅行 8

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ラオス旅行(8)

■観光立国?
ラオスは小国である。ラオスGDPは55億ドル(4500億円)、鳥取県のほぼ4分の1の経済規模だ。2004年の輸出額は3億6千万ドル(約300億円)。国家予算は2000年半ばで4億ドル(340億円)ほど。年間340億円の予算規模というと下呂市宮古島市とほぼ同じ、千代田区でさえ500億円以上の予算を持つ。国家財政は慢性的赤字であるので、国家予算とほぼ同額を外国からの援助に頼っている。公共工事の50%以上が援助、国内1万4千キロの道路のうち、舗装されているのはわずか20%、バスの走る幹線道路がでこぼこ道であるのも仕方がない。
世界遺産のルアンプラバンを始め、国として観光客誘致に力を入れているというが、政府観光局のHP(日本語版)を見ても観光客を呼び込もうという熱意が感じられない。ラオス北部紹介は以下の通り。
ラオス北部は国道も未整備なところが多く、旅行するのは大変ですが、その分魅力的な観光ポイントが沢山あります。時間にたっぷりと余裕があれば是非訪れてみて下さい」。
ルアンナムターにはそれぞれの習俗を守る少数山岳民族が20部族以上居住している。800mから2000mの山岳地帯が8割を占め、欧米のトレッキング愛好家にはあこがれの場所である。それなのにHPには地名も行き方も書いていない。やる気があるのか?

■貧しいが豊かな国
外務省の「国別援助計画、対ラオス」という資料には、これからの援助はラオスの「当事者能力」を充分吟味しながら行う必要がある、と書いてある。例えば援助をしようにも開発計画を策定する人材がいない、官庁に財務管理能力がなく、援助がどう使われたか把握できない、といった基本的課題があるという。
あるフランス人が「ベトナム人は米を植える。カンボジア人は米の育つのを見ている。ラオス人は米の育つ音を聞いている」と言ったという。
国民一人当たりGDPが2009年で878ドルというLDC(後発後進国)でありながら、のんびりしているのは、労働人口の8割が農業に従事し、米、野菜を始め、食糧に恵まれているので餓死者が出る心配がない、つまり「貧しさの中の豊かさがある」からだろう。

■中国の援助
バスはルアンプラバンからルアンナムターまで山道を走り続ける。山には整然と木が植えられている。すべてゴムの木だ。一次産品の価格高騰を受けて、近年、中国資本によるゴムプランテーションが盛んになった。まだか細く、弱弱しい木が多いのはここ数年内に植林されたからだろう。

2009年にラオスで東南アジア体育大会が開催された。ラオスには大規模競技場の建設資金も技術もない、そこに目を付けたのが中国で、ラオスに1億ドルの陸上競技場を援助した。援助はひもつきではなかったのに中国政府はビエンチャン中心部にある広大な土地を50年の賃借権を得て、5万人規模の中華街を建設している。5万人といえばビエンチャンの人口の10%を占める。

07年8月1日にラオス初の大規模ショッピングモールが開業した。首都で華々しくオープンした大商業施設には300店舗がある。200はすでに中国人企業家が占め、残りがラオス人に割り当てられた。扱う製品の80%が中国産品だ。凄まじい勢いで増える中国の援助は3分の1が電力開発、ほかはカリウムやスズなど中国が必要とする鉱物資源を対象にしたものだ。日本やフランス、スウェーデン等、西側諸国は援助に際して民主主義、人権、自由への配慮を条件とするが、中国はラオス政府高官を抱き込み、中国の利益優先の開発を推し進める。この手法は対ラオスだけではないが。

■中国の浸透ぶり
ラオスの庶民の足はバイクである。チェンライのバイクはホンダ、ヤマハなどの日本製が圧倒的であるが、ラオスではホンダを真似した中国製バイクが主流である。ホンダの110ccバイクは日本円で15万円ほどするが、中国製は4万円ほどで買える。但し故障が多く、道端で石で叩いてバイクを直している光景をよく見かける。ラオスでバイクを借りたことのあるファランに聞けばホンダがいかに素晴らしいか、中国製の安物バイクでどんなにひどい目にあったか聞かせてくれるだろう。バイクに限らず、ラオスは安価な中国製品で溢れかえっている。

バスはラオスを北上し、中国国境に37キロという地点で南東へ下る。この辺りから道路は完全舗装され、快適なドライブとなる。もちろんこの道路は中国の援助によって作られたものだ。道路標識も街の看板も中国語が併記されている。
この国が中国にのみ込まれるのはそう遠くないのではないか。

写真はラオス、ルアンプラバンのお寺です。
金ぴかのレリーフはラーマヤナの物語のようです。