チェンライの市場から

「市場に並べられた商品からその国の生活がわかる」と言われます。当ブログを通じてチェンライに暮らす人々の生活を知って頂きたいと思います。 チェンライに来たのは2009年から、介護ロングステイは2018年8月母の死去で終わりとなり、一人で新しい生活を始めました。

プノンペン国立博物館

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プノンペン国立博物館

プノンペン到着
プノンペンクメール語で「ペンさんの丘」という意味だそうだ。昔、ペンという信心深いご婦人がメコン川を流れてきた朽木の中から仏像を発見した。彼女はその仏様を祭るために丘(プノン)の上に「ワット・プノン(プノン寺)」を建立した。品川は「下無し川」がなまって、渋谷は昔、渋谷氏という豪族がいたから、杉並は村の堺に杉並木があったから、という程度の由来である。
バスはプノンペン市内に入り、川沿いの旅行代理店の前で止まった。ベトナムへ行く人はここでバスを乗り換える。行き先を確かめる人や接続バスの呼び込みなど喧騒を極めている。トゥクトゥクの客引きも大勢いて、降りてきたお客に交渉を始める。前日までプノンペンに来るかどうか決めていなかったわけで、全くのおのぼりさんで何も分からない。トゥクトゥクの運転手に、近くのゲストハウス(GH)に連れて行ってくれるよう頼む。GHまで3ドルで手を打った。カンボジアではタイに比べて英語がよく通じるので助かる。

■この日も一泊15ドルのGH
トゥクトゥクは500メートルほど走って、旧市場の外れにある「ザ・キング・ゲスト・ハウス」の前で止まった。宿泊するときの儀式ではあるが、先ず部屋を見せてもらう。この建物は何に使われていたのだろうか、人間が1人、やっと通れるような狭い廊下と急勾配の階段を上って3階の部屋についた。日本であれば建築基準法違反、火事になったら先ず助からない。部屋はトイレ、温水シャワー、クーラー、テレビ、ミニ冷蔵庫付き、清潔である。これで一泊15ドルであれば満足すべきであろう。1階のフロント(といっても普通の机がひとつあるだけだが)で、宿帳の記入をする。通常、ホテルに泊まる場合、氏名、年齢、住所、勤務先などをこまごまと記入するカードを渡されるのであるが、シェムリアップでもここのGHでも、帳面を突き出され、そこに氏名、国籍、パスポート番号、職業を記入するだけでよい。職業欄にはリタイアド(無職)としっかり書く。

国立博物館へ行く
500メートル走って3ドルという美味しいお客だったせいか、トゥクトゥクの運転手が離れない。プノンペンでは行きたいところがあった。前日、アンコールワットを案内してくれたトゥクトゥクの運転手が、プノンペンに行くと聞いてすぐ「ああ、国立博物館に行くんだね」と言った。ということは行くべき場所なのだろう。
シャワーを浴びて博物館へ、往復3ドルと値切ったつもりであったが、車は1キロも走らないうちに博物館に着いた。どうやらプノンペンは大変コンパクトに出来た街らしい。
国立博物館1920年に建てられた。当時フランスの植民地であったせいかクメールと西洋建築のハイブリッド建築である。建物を仰ぎ見るように階段を上って入り口にたどり着く。この重厚な建築様式は西欧の美術館にはよくみられる。館内には中庭があり、庭を囲むように回廊があって、そこがギャラリーとなっている。先史時代からアンコール後期までカンボジアで出土した重要な美術品、クメールの至宝はすべてここに集められていると聞く。
ヒンズーの神々やクメール仏の数々をみると、カンボジアがいかに偉大な国家であったかが想像できる。それほど広い博物館ではないが、じっくり見ていると時間を忘れる。仏像に興味がある人ならば2,3時間は充分過ごせるであろう。芸術鑑賞に疲れたら中庭を臨むベンチで休むことができる。南国の花が咲き、鳥も囀っている。緑豊かな庭を渡る風が心地よい。シーズンオフであったせいか館内にはほとんど人がいなかった。

三島由紀夫ゆかりの坐像
中庭にひときわ目立つ片膝立ちの坐像がある。これはシェムリアップのアンコール・トムから運ばれた「癩(らい)王」の彫像である。
昔、悪蛇を退治した王が蛇の返り血を浴び、その祟りで癩病に罹ったという故事に基づく。この像が日本人に有名なのは、1965年に三島由紀夫アンコールワットを訪問したおり、この故事に心動かされ、「癩王のテラス」という戯曲を書いたからだ。この戯曲は1979年7月、東京・帝国劇場で劇団「雲」により上演された。キャストは、主役のジャヤバルマン王を北大路欣也、王太后山田五十鈴、 第一王妃に岸田今日子、第二王妃は村松英子、宰相には森雅之という豪華メンバーだったという。
実は「癩王のテラス」がどんなストーリーなのか知らない。読みたいと思うが今は異国の侘び住まい、帰国した時に図書館で三島由紀夫全集を紐解いてみたい。

画像上はキングゲストハウス、中は国立博物館、下はライ王。