チェンライの市場から

「市場に並べられた商品からその国の生活がわかる」と言われます。当ブログを通じてチェンライに暮らす人々の生活を知って頂きたいと思います。 チェンライに来たのは2009年から、介護ロングステイは2018年8月母の死去で終わりとなり、一人で新しい生活を始めました。

介護ロングステイ12ヶ月

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介護ロングステイ12ヶ月

比較的穏やかな1年であったが、最後に誤嚥による窒息、それに伴う肺炎発症により2週間の入院を余儀なくされた。一時は40度の高熱が出て心配したが、84歳という高齢にしては体力があったのだろう、徐々に熱が下がり、個室に移って10日目に退院の許可が下りた。

病院の個室は壁に2枚の油絵、テレビ、冷蔵庫、ソファセット、トイレ、シャワー室が付いており、その辺のビジネスホテルより、設備が充実している。母が個室に移されると、当然のように補助ベッドが運び込まれた。タイでは入院患者に患者の家族が泊り込みで付き添うのが普通だ。家族のいない人は女中か病院紹介の付添い婦が患者の世話をする。海外旅行にいくような大きなトランクを2つ3つ、それに毛布や枕をカートで病院に運び込んでいる人がいた。多分、入院患者に付き添う家族であろう。

病院では2,3日に一度、費用明細をくれる。それによると、補助ベッド代が900Bとなっていた。チェンライではちょっとしたホテルに1000バーツ前後で泊まれることを考えると、補助ベッド900はちと高いな、と思ったが、この金額は定額で10日間使用しても900Bのままだった。

個室に母がいる間、兄が夜、病室に泊り込んだ。他に女中が一人、応接セットの長椅子で寝る。朝、病院に行き、兄と泊り込みの女中の二人を連れ帰る、家にいた女中が交代して夜まで母に付きそう、といったシフトだった。昼間は兄弟で適当な時簡に母の様子を見にいく。病院は家から車で5分くらいのところにあるので、度々行くことができた。看護師さんや准看護師さんが1日に何度もやってきて、体を拭いたり、注射、投薬などを行なう。時には3,4人がかりでシャワーも浴びさせてくれる。皆、若くて美人、仕事ぶりがてきぱきしていて好感が持てる。

日本では余りないサービスと思うが、マッサージ師のお姉さんが巡回してきて、母の足や腰のツボを押してくれる。病院内にはマッサージルームがあり、患者だけではなく、付き添いの家族もマッサージが受けられる。タイマッサージは1時間200Bと少し高めの値段設定だった。

入院したとはいえ、快方に向かっていることが分かっていたので、気楽にしていたが、老人の肺炎は、死亡率が高く、一般的にはかなり危険といえる。老齢であると体力、抵抗力が弱っているため、あっという間に死に至ることがある。

下記は医師の書いたあるネット情報。

高齢者の入院で,留意いただきたいことがあります.それは若い人と違って,入院したら必ずしも良くなるとは限らないことです。
? 高齢者の多くは環境の変化に弱く,病気で入院した場合,それまでしっかりしていた人が夜間に興奮したり,徘徊したりして周囲を困らせたり転倒して骨折することがあります。また入院の原因となった病気が治っても,ほかの病気が出てくることもあります。一旦治った後に,肺炎を再発することがあります.寝たきりでいると褥創(床ずれ)ができて,治療するのに入院期間が長くなったりすることもあります。「お年寄りを入院させて,かえって病気が悪くなった」と言われることがあるのはこのためです。
また退院しても2,3週間は安静を保つように、良くなったようだと、草むしりなどしたら、肺炎が再発することがあります、などと書いてある。自分で食事が出来なくなれば、点滴、あるいは鼻や胃にチューブを繋いで栄養を摂らせることも出来ます、自発呼吸が出来なければ人工呼吸器をつけることで延命処置が取れますが、結局は患者を苦しめるだけに終ります。だから本人と家族で最終治療をどうするか、よく話し合って下さい・・・・

このように医師が予防線を張っているのは、病院に行けば病気は必ず治してもらえるということを前提に、医師を非難し、医師が無駄といっている治療を求める患者、家族がいるからだろう。友人の医師が、効く薬はアスピリンくらい、医師は病人の自然治癒力の手助けをするだけ、と言っていたことを思い出す。だから老化して免疫力、体力が落ちれば、というより年を取れば人は死ぬ、ということは当たり前のことである。

今回は幸いにも母に体力があったので、回復し、無事退院出来た。老人性肺炎は再発しやすいという。1年前に比べ声も小さく、足も弱ってきた母にも「その日」が来るのだろう。しかし、その日まで周りの人に感謝しながら穏やかに暮らしていきたいものだとしみじみ思う。