チェンライの市場から

「市場に並べられた商品からその国の生活がわかる」と言われます。当ブログを通じてチェンライに暮らす人々の生活を知って頂きたいと思います。 チェンライに来たのは2009年から、介護ロングステイは2018年8月母の死去で終わりとなり、一人で新しい生活を始めました。

介護ロングステイ9ヶ月

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介護ロングステイ9ヶ月

今日は母の通院日だと思って予約カードを確認したら、日にちを間違えていた。4日後の通院日はタイ語の学校に行く日でもある。診察予約時間は9時となっているが早めに行って、診察3分、薬の受け取りと支払い20分と見れば、10時からの授業には間に合うだろう。もし長引くようであれば病院から先生に電話してタイ語の授業を休みにしてもらえばいいや、と考えていた。通院日の前日に女中のブアさんが、明日は学校に行くのでしょう?病院に電話をして、ママサンの診察日を1日延ばして貰いました、という。1ヶ月前に決められた診察日は神聖で違えることはできない、とは思っていないが、簡単に変えてもらえるらしい。日本の病院では前日の診察日変更は難しいのではないか。

病院から7種類の薬を貰っているが、薬の管理、投薬は女中さん任せとなっている。袋に薬品名や食後に何粒とかがタイ語と英語で書いてある。米国のヤフーでどんな薬か調べてみたが、それ程副作用のある薬はない。精神安定剤睡眠薬が処方されているが、きつい薬ではないようだ。錠剤数を見てみると、ある薬は28日分、ある薬は30日分などと結構いい加減だ。病院にしてみても一回くらい飲んだり飲まなかったりしても病状には関係ないと思っているのだろう。

こちらに来て3ヶ月ほどの間に数人女中が代わり、そのうち数日間は女中不在という経験もしたが、最近5ヶ月は、女中さんはブアさん、インさんの2名体制で落ち着いている。トイレや着替え、シャワーなど二人が母の世話をしてくれる。母はまだ自分で箸を使って食事が摂れるのだが、時には卵焼きをポロリ落としたりする。最近はインさんが隣に座って匙で母に食べさせることが多くなった。夕食にはビールを1缶。「お母さん、ビール飲む?」と聞くと目が生き生きしてくる。ビールが飲めるうちは母も大丈夫だろう。もし、日本で施設や病院に入っていたらビールなど飲ましてもらえないに違いない。良かったなあと思う。

酒といえばサラリーマン時代は毎日のように飲んでいた。でもウズベク、またチェンライに暮らすようになって晩酌の習慣がなくなってしまった。ウズベクでは住んでいたのがイスラム街で、酒を買いに地下鉄やバスに乗っていくのが億劫、チェンライでは夕食後、テニスをするからに飲まない、という理由だがそれだけでもなさそうだ。現役時代、どうしてあんなに毎晩飲んでいたのか分からない。会社が終ったら友人と、また、帰宅するとすぐビールに手が伸びた。仕事が辛いということはなかったが、それでも宮仕えはかなり神経が疲れ、そのストレス解消のために心身がアルコールを欲していたのであろう。

テレビのニュースで「今日の東京は雨です」などと言う映像を見ると、どうしてあんなに雨が降っているときでも会社に行っていたのだろう、と不思議に思う。台風や交通ストのときでも会社に行っていた。そういう自分が今では信じられない。

ブアさん、インさんは、夜は母の隣のベッドで、また時には母と同じベッドで寝ている。夜中に興奮して騒ぐ母に軽食を食べさせたり、トイレに連れて行ったり、抱いてあやしたりしている。余りにも母が騒ぐ夜は、一人は2階、一人は母のベッドでと交代で睡眠をとっている。

ブアさんは一度クビになった1週間と安居明けの2日ほどお寺に参篭した他は、ずっと家に居て休暇を取ったことがない。インさんもここ3ヶ月休んでいない。こちらの労働基準法はどうなっているのだろうか。大体、月給のほかは何も労働条件を決めていない。24時間労働、公休なしの3K労働にもかかわらず、ママサン、ママサンと言ってやさしく母の世話をしてくれる。自分が居なくても母の介護は滞りないが、女中さんが居なくなったら大変なことになる。兄と小旅行に出かけられるのも彼女たちのお陰と思うと、心から感謝の気持が湧いてくる。

昨夜は12時から午前4時くらいまで母が騒ぎ通しで、ブアさんはほとんど寝ていないと思う。今日は病院でプルーム医師に、ママサンがずっと騒いで寝られませんでした、などと訴えていた。プルーム医師は、母が朝や昼間に寝ているので夜、起きてしまうのだ、できるだけ昼は起こして、運動をさせるようになどと指導している。女中さんには悪いが、老い先短い身、本人の希望に従って眠りたい時には寝させてあげたいように思う。それ程老い先が長くない自分も昼寝したい時にはすぐ昼寝といったストレスのない生活を送っているのだから。

画像:文字が読めなくても診療室のドアには医師の顔写真が貼られています。