チェンライの市場から

「市場に並べられた商品からその国の生活がわかる」と言われます。当ブログを通じてチェンライに暮らす人々の生活を知って頂きたいと思います。 チェンライに来たのは2009年から、介護ロングステイは2018年8月母の死去で終わりとなり、一人で新しい生活を始めました。

旅は道連れ

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旅は道連れ

記念館の裏側には個室トイレが男女それぞれ10室ほどあり、きれいに清掃されている。しかしこのトイレが満杯になることがあるのだろうか。記念館の外には広い駐車場と土産品を売る商店街があるが多くは空き家で閑散としている。年間入場者数、数千人というから一日平均十数人、これでは余り商売にならないだろうと思われた。
江蘇省南京市の「南京大虐殺博物館」は2007年末の新装オープン以来3か月の間に、国内外の来場者数が延べ100万人を突破した、と新華社が伝えていた。リニューアルオープン後、外国人が4627人訪れ、そのうち日本からの来場者が半数を占めるという。公文書の綿密な調査の結果、南京大虐殺はなかったことが判明している。しかし30万人虐殺の宣伝を聞かされ続け、朝日新聞を読み、NHKを見ているうちに、ひょっとして5万人くらい殺ったのか、と思う人も出て来る。日本の外交官でそういう発言をする人がいると聞いて愕然としたことがある。

クンユアムにはゲストハウスがいくつかあるが、我々は雨の中をメーホーソンに戻ることにした。メーホーソン県都であり、首長族やトレッキングを目的に多くの観光客が来るので、ホテルは沢山ある。車中で同行のSさんは、しきりに「感謝」と言う言葉を口にされた。我々が今こうしてあるのはご先祖のお陰。また我々の父、兄の世代が戦前、戦後を通じて頑張り、経済大国を作ってくれたお陰で、差別もされず、安心して旅行できるというわけだ。この国で(他の国でも)、日本人というだけで差別を受けず、時には親切に接してもらえるのは、確かに先人が作ってくれた「日本人ブランド」のお陰だろう。ビジネスにおいてもブランドを形成するにはかなりの時間がかかる。

信用を築くには時間がかかるが、その信用を失うのはほんの一瞬のことだ。我々も先人に感謝するとともに、「日本人ブランド」を汚すことなく、孫子の時代まで伝えていきたいものだ、と思う。

Sさんはふとしたことで知り合った73歳の元気老人である。会社経営の一線から引き、今は旅行が趣味、世界中飛び回っている。世界一周の豪華クルーズも何回か経験されている。ホテルに泊まるよりは気が楽、とチェンマイコンドミニアムを購入されて、1,2ヶ月ごとにチェンマイに来られる。

Sさんとは2泊3日、一緒だった。こちらに来てから、兄とは四六時中顔を合わせているが、案外、会話がない。と言うより、会話のパターンが決まっていて、こう言えばこう返って来ると初めからわかっている。それはそれで伝統芸能と同じく詰まらないわけではないが、新鮮さに欠ける。Sさんから会社経営のことやクルーズで気の合う仲間の見つけ方、あるいは別荘の処分方法、沢山お話を伺うことができ、とても刺激的だった。この方の話の特徴は、ただ一方的に話すのではなく、人から何か新しいことを聞こうとする好奇心である。それでいて決して相手の気を悪くさせないのは年の功であろうか。

かなりのお金持ちとお見受けしたが、1杯25バーツのバーミー(タイそば)でも美味しそうに召し上がるし、メーホーソンでは一泊400Bのホテルに投宿したが、そんなことを気にされた風はない。こういう人をジェントルマンというのだろう。Sさんの疑問に答えたり、話したりする中で、こちらが何十年も忘れていたことが鮮やかに蘇ったり、あれ、自分はこんな意見を持っていたのだ、と気づかされたこともあった。

司馬遼太郎はタイには来なかったが、日本全国、台湾、中国、韓国等を旅した。その紀行文は「街道を行く」シリーズで読むことができる。彼は編集者と旅をしているが、旅行中、お互い、自分がSさんから受けたような気づきがあったに違いない。もし自分が司馬さんと一緒に旅行したら、自分の知らなかった自分を発見することができ、どんなに楽しかっただろうかと想像する。

そのほかに一緒に旅をして楽しい人はというと・・・吉田兼好などはどうか。エライ人にはすぐ迎合する傾向があるが、その分オフレコで高貴な方たちのゴシップなどを面白く聞かせてくれるのではないか。鴨長明はどうだろうか。鴨長明ねえ、ちょっとひねくれているしなあ。現代だったら養老孟司先生がいいかもしれない。でも優しい反面、「だってそうでしょ」とずっと畳み掛けられると長旅では気疲れしそうだ。「街場の現代思想」、「先生はえらい」等の著者、内田樹先生もいいが、話があちこちに飛んでいって、こちらの頭が混乱するに違いない。

こんな馬鹿なことを考えられるのも、Sさんと旅したお陰だ。読書やPCの画面を見ているだけでは駄目だ。やはり人と会って話をしないと人間的成長はない、と改めて感じた次第。クンユアムの旅、Sさんに感謝したい。


写真の橋は、昔は日本軍がかけた橋があったのですが、現在の鉄橋は戦後移設されたものらしい。日本軍が架けたものと錯覚している人もいるみたいです。

(ご参考)
主に企業が導入している有害サイトブロックソフト、「i―フィルター」では
前回ご紹介したタイ日本友好記念館ホームページ 
http://www5f.biglobe.ne.jp/~thai/ が有害サイトとして登録されているようで、
会社のPCからはアクセス出来なかったとの情報をいただきました。