チェンライの市場から

「市場に並べられた商品からその国の生活がわかる」と言われます。当ブログを通じてチェンライに暮らす人々の生活を知って頂きたいと思います。 チェンライに来たのは2009年から、介護ロングステイは2018年8月母の死去で終わりとなり、一人で新しい生活を始めました。

チェンライ発の海外旅行 9(結婚式)

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チェンライ発の海外旅行 9(結婚式)

今日は結婚式、この日にあわせて、前日タシケントに到着したMさんの友人たち10名が、午後に陸路サマルカンドに入ってきた。Mさんの弟さんは別にして、日本やドイツからこれだけの人がサマルカンドまで来てくれるということはMさんの人徳を示すものであろう。

4時半に全員ミニバスに乗って、市郊外にあるグルシャンの叔母さん宅へ向かう。バスケットボールのコートより広い中庭を囲むように建てられたウズベク伝統の土壁の家だ。中庭は野菜、果樹が植えられ、更には牛小屋まである。ここに4兄弟の家族がそれぞれの台所とパン焼き釜を備えて暮している。一家族の子供5人としても20人、それに珍しい外人一行を見ようと、近くに住む親戚や子供も集まっている。一族であるから顔つき、体つきが似ていて、あ、親戚だとすぐわかる。それにしてもすごい数だ。米国から来たMさんの弟さんに「ずいぶんと親戚が増えましたね」と声をかけたが、本人は呆然としていた。

お茶やメロンのご接待を受けているうちに、ウズベク伝統の花嫁衣裳をまとったグルシャン嬢が親戚の叔母さんに手を引かれて、自宅から出てくる。この姿を一目見ようと親戚、近所、それから通りすがりの人でもうお祭りのような騒ぎだ。顔をベールで隠した彼女は車で30メートルほど離れたお祖母さんの家に向かう。本来であれば新郎の家に行くことになるのであるが、お祖母さんの家が新郎の家代わりだ。長い棒の先に石油を染み込ませたボンボンがあり、これに火がつけられた。この篝火を持った若者に先導されて、車はゆっくりと進む。車には新郎や我々遠来の客、それから村人、親戚が付き添う。この車に新郎は乗せてもらえない。

お祖母さんの家の前で車は止まった。家の前に置かれた薪に若者の篝火が点火され、大きく燃え上がる。付き添いの叔母さんが車から下りても花嫁はすぐには出てこない。ここで、新郎側友人、親戚が車の窓の隙間に、1000スム札や1ドル札をどんどん差し込んで、新婦の下車を促す。車内では10歳くらいの男の子2名がお札を集めるのに余念が無い。そのうちに新郎のMさんが10ドル札や20ドル札を窓の隙間に入れ始める。入れるお札が50ドル紙幣になったころ、ドアが開いて新婦が現れる。車を囲んだ人垣から明るい歓声が沸く。これが結婚の儀式の一つだそうだ。

礼服の上にトムという金刺繍の濃紺のガウンをはおり、デュッペというトルコ帽を被ったMさんは、ベールで顔を隠した新婦と共に、お祖母さんの家に入る。

新郎新婦は家の中の布で仕切られた一角に入っていった。布の中で一族の長老であるおばあさんがなにやらコーランで二人を祝福している。狭い部屋の中はぎっしり人が詰め掛け、熱気でむんむんする。プロレスラーがまとうような厚いガウンを着てMさんも汗だくだったと思う。歓声とお供に布が取り払われる。宗教的な儀式は滞りなく終ったらしい。二人の前に置かれていたお菓子が片付けられると、空のお皿に新郎側介添え人が1ドル札を1枚ずつ置いていく。これも儀式の一つだ。茶碗に入ったハチミツが一座の人に回される。みな蜜を小指にちょっとつけて舐める。二人がこれから甘い生活を送るようにという願いをこめたものだそうだ。

ぶどう棚の下の中庭にはテーブルが並べられ、その上はご馳走で一杯だ。我々日本人は新郎新婦の席に一番近いテーブルに案内された。この日は女性を中心にグルシャンの親戚、知人、合わせて200人ほどがお祝いの席に集まった。日が落ちて、乾いた空気が肌に心地よい。ブドウの房の青い色がみずみずしくて目に優しい。長老格のお婆さんの陣頭指揮のもとに、何人かのおばさん連が大鍋をいくつも並べて料理を作っている。そこからテーブルに次々に料理がやってくる。何といってもこの日のメインはウズの民族料理、プロフである。やがて音楽が鳴って、踊りが始まる。3歳くらいの子供から、80のおばあさんまで踊りの輪に加わる。日本からのゲストたちも促されて踊る。新郎のMさんもグルシャン嬢も踊る。

宴たけなわのとき、音楽が途切れて、グルシャンにお祖母さんや両親からのプレゼントが渡された。大きな黄金の指輪や金のネックレスなどが次々に新婦を美しく装っていく。「Mさんもなんか貰えー」と酔っ払って声をかけたのが聞こえたのか、花嫁の父親から義理の息子となるMさんに宝石や金をちりばめた短刀が贈られた。新郎と花嫁の父は抱き合ったが、新郎が花嫁の父より年上、というのがちとおかしい。

遠方より来られたゲストにも、とご両家より女性にはウズベク伝統、アトラス模様の服地が、男性にはウズベクの陶製お茶淹れセットが贈られた。このポットとお茶碗はずっと手荷物で細心の注意を払ってチェンライに持ち帰った。毎朝、お茶を飲むたびに二人の幸せを祈っている。(まだまだ続く)

ウズベクの民族料理プロフについてはこちらで、
http://blogs.yahoo.co.jp/uzbekistan24/30083328.html