チェンライの市場から

「市場に並べられた商品からその国の生活がわかる」と言われます。当ブログを通じてチェンライに暮らす人々の生活を知って頂きたいと思います。 チェンライに来たのは2009年から、介護ロングステイは2018年8月母の死去で終わりとなり、一人で新しい生活を始めました。

チェンライ発の海外旅行 7(タシケントーサマルカンド)

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チェンライ発の海外旅行 7(タシケントサマルカンド

3年前、自分がウズベクに赴任したとき、1000スムは円価換算で約100円だった。ところが今回は、円高とスムの下落で1000スムはざっと50円になっていた。世界不況下、ウズベク経済はインフレ傾向にある。しかし、250スムだった地下鉄料金が400スムに値上げになっているが、円換算では却って安くなっている。

ウズベキスタンでは最高額紙幣が1000スム札だ。銀行、商店、レストラン等での商取引は50円札で行われるというに等しい。両替をしたとき1000スム札をくれることもあるが、500スム札の束を渡されることもある。空港で20ドル両替したら500スム札で1センチほどの札束を渡された。実はタシケントに着いても、時間的に両替窓口は閉まっているだろうと思い、バンコクの出発待合室や機内で何人かのウズベク人に「ウズベクスムを持っていたら少し交換してもらえませんか」と尋ねたが、誰も持っていなかった。考えてみればこんなにかさばる紙幣を持ち歩いている方がおかしい。

ウズの一流レストランでの食事代は一人2万スム(千円)前後だ。数人が割り勘で、と500スム札や1000スム札を出すとウェイターは200枚近いお札を数えなければならない。商店でもちょっとした高額商品を買うと、売り手買い手双方が、この札数えをやらなくてはならない。ウズベクの全国民が札数えに要する時間は、合計すれば相当なものになる。これでウズのGDPをいくらか押し下げているのではないか。

1億円の重さは1万円札で約10キロである。100万円は100グラム、だから強盗をすれば3,4百万円をポケットにねじ込んで逃げることは可能だろう。ウズベクでは10万円でも千スム札で2千枚2キロくらいになる。ポケットにねじ込める重さではない。ウズベク政府が高額紙幣を発行しないのは銀行強盗を予防するためではないだろうか、と思う。

さて、ソビラヒムのバスターミナルで露店の朝食を取る。各種ソーセージ、チーズがたっぷりパンの間に挟まっている。タイに来て半年、サラミソーセージやチーズを食っていなかったな、とフランスパンのサンドイッチにかぶりついた。熱い紅茶とあわせて100円足らず。

サマルカンドまでの乗合タクシーは2万スムとわかったが、結局、6時発のバスに乗ることにした。料金は7千スム(350円)。タシケントサマルカンド間289キロをあちこち留まりながら5時間で走る。バスは水平線まで直線の道をひた走る。両側の棉畑はすでに花をつけ始めている。あと一月もすれば畑は白い棉に覆われるだろう。前日、チェンライからバンコクまでバスで走った。この日、バスの窓から見る風景とは全く違う。タイは何処も緑に覆われていたが、ウズは、棉畑以外は時折風にそよぐポプラ林があるだけの土と岩の世界だ。

実はICレコーダに雑多な音楽をコピーしてきていた。喜多郎シルクロードスーパーベスト、倍賞千恵子の日本叙情名歌選、ABBAのベストヒット、三波春夫、長編歌謡浪曲全集、ジャズスタンダードベストなど。熱く乾いたウズベキスタンの大地を疾駆するバスの中で聞く曲としては喜多郎の「絲綢之路」や「シルクロード幻想」などは全くあわないことが判った。日本唱歌も駄目。トロくて聴いていられない。やはりABBAの「ダンスィング・クイーン」、「テイクアチャンス」、「エンジェルアイズ」などのビートの利いた音楽がぴったりする。その次によかったのは三波春夫の「東京五輪音頭」であるが、ここまで来ると趣味の問題であるから、どなたにもお勧めするとは言いかねる。

「4年経ったら また会いましょとかたい約束 夢じゃない、ヨイショコーリャ 夢じゃない・・・」と昼前にバスは2年ぶりのサマルカンドに着いた。Mさんがホテル予約を申し出てくれていたが、JICA青年協力隊員ご推薦、以前宿泊したことのあるB&B、チムール・ザ・グレートへ。レギスタン広場のすぐ近くだ。幸い部屋数3の家族的ゲストハウスは空いていた。朝食付き20ドルは2年前と同じ。シャワーを浴びて、Mさんに到着の電話すると、丁度買い物が終わり、グルシャンと昼食をとるところだから、一緒に食べましょうとのお誘い。カリンベックというサマルカンドの有名レストランだ。

タクシーを拾おうとゲストハウスを出た。雲ひとつ無い蒼空から太陽が照りつけ、眩しさで一瞬、頭がクラクラする。一陣の風が吹いてきた。キャップを取ったその瞬間に湿り気を帯びていた頭髪が乾燥してさらさらと風に靡いた。これだ、これが夏のサマルカンドだ。(続く)