チェンライ発の海外旅行 2(VIPバス)
ビザが下りたことをウズベキスタン総領事館に確認できた。バンコクに出向いて、持参したパスポートにビザを貼り付けてもらわなくてはならない。通常、チェンライの邦人は空路、チェンライからバンコクへ飛ぶ。タイ航空で片道2000バーツ弱、時間に余裕のある人は800キロをバスでバンコクまで走りぬける。バスにはVIPバス、エアコン付バス、ローカルバスの3つがある。邦人がよく利用するのはバンコクまでノンストップ11時間で走るVIPバスだ。ローカルバスはVIPバスの半額であるが、時間がかかる。邦人で利用する人はほとんどいないだろう。チェンライの長距離バスターミナルで切符を904バーツで購入。3年前に比べて200バーツほど値上がりしている。
午後7時、暗くなりかけたチェンライ新バスターミナルを出発、2階建ての大型バス、1階は広い荷物室になっている。座席は2階のみ、2人座席が8列、1人用座席が8列、全部で24座席だからかなりゆったりしている。余り前後の人に気兼ねすることなく、リクライニングのシートを倒すことができる。車内にはテレビが2つあり、ビデオだろうかタイの活劇をやっている。大音量。こういうことを予測して自分はICレコーダのイヤホンを耳に押し込んで音楽を聴き始めた。
バスが出発してまもなく、添乗の車掌さんが、ジュース、軽食、ペット入り飲料水を配り始めた。軽食は小さなパンとビスケット。かなりシャビーだ。以前は鳥モモのから揚げが2本入っていてボリュームたっぷり、ウズベク国営航空の機内食よりずっと美味しい軽食だったが、これも物価上昇の影響であろう。
VIPバスは、冷房の効きすぎで凍えるように寒い、長袖のシャツかカーディガンが必要と、ガイドブックには書いてある。一応、毛布を配ってくれるので、これでクビからひざまですっぽりくるめば、寒さは防げる。VIPバスは寒い、という一般的クレームに配慮したのであろうか、車内が少し冷えてきたなと毛布を被ると、冷房が切れ、じわじわ暑くなってきて汗をかいて目が覚める、するとまた冷房が入って寒くなるということを繰り返した。どうやら定温調整にはなっていないらしい。
真っ暗で皆が心地よい眠りに包まれている深夜12時に、突然、車内の明かりが煌々と灯り、テレビからは打楽器主体のタイポップスが流れる。なんだ、なんだ、眠らせておいてくれよー、と言いたくなったが、眠い目をこすってみると、おじさんもおばさんも子供もお坊さんも、みんなごそごそ起き出している。バスはドライブインに入って停まった。夕食(深夜食)サービスがあるのだ。
ドライブインの中にVIPルームという部屋があり、そこでおかゆ及び卵、野菜煮付けなど2,3種のおかずを貰う。VIPルーム以外にもエアコンバスの客が食事をする場所があり、そちらではバーミーナム(タイそば)がサービスされていた。食堂の周りにはガイヤーン(焼き鳥)やソーセージ、果物などの屋台が深夜営業している。タイの人は朝昼晩と決まった食事以外に1日中何か食べているように思うが、ここでもおかゆだけじゃ、と言う感じで串焼きをほおばっている人がいた。
夜明けに近い頃、またポップスが鳴って、全員起され、熱いコーヒーが配られた。夜明けのコーヒーを飲みながらバンコク市内を眺めているうちに、午前6時、バスは終点バンコク、モーチットバスターミナルに到着した。モーチットはバンコクからチェンマイなど北部、東北部へのバスが発着する高速バスターミナルだ。バンコクには他にパタヤなどタイ東部を結ぶエカマイバスターミナル、プーケットなど南部方面のバスが発着するサーイタイバスターミナルがある。
自分はこういったバスターミナルの喧騒が嫌いではない。一昔前の上野駅を思わせる。早朝から無数のバスが出入りする。構内には食堂、おみやげ物売り場、タクシー、トゥクトゥクの客引き、そして多くの客でごった返している。構内には大型トイレがいくつかあるが、入場料一律3バーツ、広くて清潔である。奥の3室ほどがトイレではなく、シャワー室となっていた。
バンコクで無事ウズベクのビザを取得し、タシケント往復の航空券も購入。BTSに乗ってシーロムあたりを散策。街や歩く人の服装が洗練されている。すっかりおのぼりさんで人の多さにビックリ。
その日の夜行VIPバスでチェンライへ戻る。帰りも24席、リクライニングシートの大型バスだが、何と全席マッサージ機付き。歩き疲れた体を揉み解してもらったが、バンコク日帰り、車中2泊はやはり体にこたえます。