チェンライの市場から

「市場に並べられた商品からその国の生活がわかる」と言われます。当ブログを通じてチェンライに暮らす人々の生活を知って頂きたいと思います。 チェンライに来たのは2009年から、介護ロングステイは2018年8月母の死去で終わりとなり、一人で新しい生活を始めました。

メコン大鯰を食べる

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メコン大鯰を食べる

世界に鯰は2400種いるといわれている。小さいものは2センチ程度、大きなものでは3メートルを越える種類もある。カザフスタンのヨーロッパ鯰、アマゾン川の大鯰と並んで世界3大鯰の一角を占めるのが、タイのメコン川に生息するプラーブックというメコン大鯰である。プラーは魚、ブックは大きいという意味だ。

メコン大鯰は成長すると3メートルを越える。2005年の6月に、チェンライのメコン川で、地元の漁師らが重さ約293キログラムの巨大ナマズを捕獲して写真付きで公表し話題になった。世界自然保護基金(WWF)とナショナル・ジオグラフィック協会の公表によると、これは、タイ当局が1981年にナマズの調査を始めて以来、最大級の重さだそうで、今まで発見されて記録に残っている世界の淡水魚の中でも一番重いのではないかと推測されるようだ。 293キロというと大人4人分の体重だ。WWFの関係者が早く川に戻せ、とか何とか言っているうちに、巨大ナマズは漁民たちのおなかの中に消えてしまったという。

メコン大鯰は、環境汚染や流域の乱開発などが原因で、大物が捕獲される割合は年々減少しており、大鯰そのものが幻の魚になりつつある。メコン大鯰はすでに国際自然保護連合(IUCN)から絶滅危惧種に指定されており、保護が必要で、表向き漁獲してはいけないことになっている。モノの本によるとタイ北部チェンコン辺りではソンクラン(タイ正月)の時だけ捕獲して食べる、と書いてある。食べると長生きするそうだ。漁獲高の減少に伴ってメコン大鯰の値段はうなぎ上り、大物のナマズの肉は1キロ500バーツで取引されるという。こちらで豚肉が1キロ100バーツ程度と言うことを考えると、かなりの高級食材である。

味のほうはどうかというと、ナマズの研究家としてつとに有名な秋篠宮殿下が、あるシンポジウムで「プラーブックの味もなかなかです。でもイワトコナマズと違って、南米のピラルクーなんかと同じように、魚というよりもどちらかというと肉に近い感覚ですね」と発言されている。最近はほとんど獲れない琵琶湖のイワトコナマズは蒲焼や鍋にすると最高と聞くが、メコン大鯰のトムヤム・プラーブック(大ナマズタイ風スープ)も美味しさでは引けをとらない。

前置きが長くなった。6月のある日、チェンライ日本人会の主催で「メコン大鯰を食べる会」という日帰りの遠足があった。絶滅危惧種を食っちゃっていいのか、という話はあるが、何でもありのこの国では誰もそのようなことは気にしない。

当日は15名の参加者が3台の車に分乗して、ゴールデン・トライアングル、チェンセン、ラオス領のドンサオ、チェンコンを回った。タイヤイ族の手織り木綿の機場(はたば)や麻薬博物館、チェンセンの古寺、ワットチェデルワンの見学、入出国手続き無用のラオス領ドンサオでの買い物など盛りだくさんのスケジュールであった。これはチェンライで旅行会社を経営している日本人会員Yさんのご尽力によるものである。

メコン川を見下ろす瀟洒なレストランで、この日のメインイベントである、大ナマズ、プラー・ブックの食事が始まった。この日上がったナマズは20キロサイズとのことだが、それでも巨大ナマズには間違いない。メコン大鯰をとってもいいのですか、と聞いたら、網にかかってしまったものは仕方なく、食べるとのこと。我々より先にドイツ人と思しき観光団が食事をしていたが、彼らにも仕方なくナマズを食べてもらっていたようだ。
食事はメコン大鯰のから揚げ、炒め物(画像)、トム・ヤム・プラーブック(画像下)と大ナマズのオンパレード、から揚げは上品な白身魚といった感じで、あっという間になくなる。トム・ヤム・プラーブックには大ナマズの切り身がたっぷり入っている。食感は弾力性がありアンコウに似ている。脂身が表皮から6,7ミリあってこれがすこぶる美味。タイ人でなくても病みつきになりそうだ。日本の高級タイ料理店でもトム・ヤム・プラーブックが食べられるが一人前5千円とのこと。

孵化に成功しているのでタイ各地で盛んに養殖が行なわれている。日本に来る大鯰は養殖モノだろう。メコン大鯰がつれますという釣堀もあちこちにあるようだ。
実はチェンコンのラオス行きの船が出る船着場で、メコン大鯰の幼魚を放流した。メコン川自然保護基金の人に小銭を寄付すると十数匹の幼魚を分けてくれる。これをメコンにタンブンする。大きくなって、いつかお皿の上で再会したいという願いと共に子ナマズメコンの川水に消えていった。

画像上は市場で売られていプラーブック、10キロもの。