チェンライの市場から

「市場に並べられた商品からその国の生活がわかる」と言われます。当ブログを通じてチェンライに暮らす人々の生活を知って頂きたいと思います。 チェンライに来たのは2009年から、介護ロングステイは2018年8月母の死去で終わりとなり、一人で新しい生活を始めました。

タシュケントでの引越し

引越しをする

贅沢を言って申し訳ないが、ホテル暮らしも長くなってくるとストレスが溜まってくる。洗濯は手洗いだし、部屋にいると掃除のメードさんや冷蔵庫チェックのボーイさんが、ノックをして入ってくる。パンツ1枚でごろごろしているわけにはいかない。早く自分の居住先を見つけて、そこで自炊したり、もって来た荷物をしかるべく配置して実生活に入りたくなる。SV(シニアボランティア)は3人とも現地研修が終わると同時に引っ越したが、隊員たちはSVより一日早く、ホテルからホームステイ先に移動した。隊員は研修のひとつとして2週間のホームステイがある。朝食のとき、看護隊員が「今日、売られていきます。」と挨拶してくれた。「安寿と厨子王の気分ですね。お互いがんばりましょう。」と応じたが、隊員もこれくらいの余裕があれば大丈夫だろう。

入居に先立って、JICA 事務所に大家さん、業者、入居予定者が集められて、JICA規定の賃貸借契約書を交した。契約期間は12ヶ月もしくは24ヶ月であるが、借主は60日前に申し出れば、何も違約金等支払うことなく解約できるとなっている。かなり借り手に有利な契約だ。月々の賃貸料の記入、借主、貸主のサインなど淡々と契約がすすんでいく。ちょっともめたのは、自分のアパートのメードさんの給料である。ほかの方は中心部の日本人村といわれる高級住宅街のアパートであるので、週1回の掃除のメードさんに30ドル支払うことになっていた。自分の場合は、週2回の掃除、洗濯、アイロンかけ、ごみ捨ての仕事をやってくれる人を月給25ドルで周旋してもらうことで合意していた。しかし大家さんはほかの人の条件を聞いて同じく30ドルにしてくれ、と言い出した。一人住まいで洗濯の量は少ないし、それに前にこの値段で合意したはずです、というと大家さんもしぶしぶ認めてくれた。タシケントでは住む場所によってメードさんの給料が違うのは常識らしい。

市の中心市街から地下鉄に乗って15分ほどで行けるのだが、自分のアパートはタシケントブロンクスといわれる西地区、旧市街に近いところにある。「夜は出歩かないように強くお勧めする。」とJICAのセキュリティオフィサーにいわれている場所だ。利点は勤め先の学校に近いことである。

一人住まいには広すぎるアパートにトランク2つの全財産を持ち込む。8人は座れる大きなテーブルに業者、大家、通訳と差し向かいで座り、まず家賃3ヶ月分、2100ドルをキャッシュで支払う。この国では銀行振り込みとか小切手はないので何でもすべて現金決済だ。その後の家賃も期日にアパートに来る大家さんに、ウ国の現地通貨スムではなくドルキャッシュで支払うことになる。メードさんの給料もドル現金払いである。着任直後に換金したとき1ドル1220スムであったがそれほど経っていないのに、1ドル1230スムと10スム下落した。昨年の6月は1ドル1100スムのレートであった。地下鉄の運賃も最近150スムから160スムへ(3年前は50スム)、2年前1キロ600スムであった砂糖が1100スムへ、と通貨下落とともにインフレが進んでいる。市井の人も下がり続けるスムよりも、いざという場合のドルで受け取ることを希望するようだ。

不動産業者のことを千三つ屋などということがあるが、こちらでもその傾向はある。まず、金銭お受け渡しが済むと「集中暖房の切り替え時に当たっていますので、4,5日はお湯が出ません」と宣告される。外国人の多く住む中心街、高級住宅地は優先的に切り替え工事をして、断温水時間が短いらしいが、ブロンクス地域は後回しになるらしい。安心して入っていると、どんどん給水温度が下がってくるというホテルのバスに辟易していたので、新居に移ったらまず熱い風呂に入って・・・と意気込んでいたのに、まず出鼻をくじかれてしまった。地域全体そうなのですといわれると仕方ない。

引っ越した翌日、玄関ホールにある灯りが落下してホールには砕け散ったガラスや電球が散乱した。よく見ると重い照明器具を電気コードだけで支えていたためコードの端が重さに耐えかねて切れたようだ。

覚えたてのロシア語で電話して近くに住む大家さんに来てもらう。大家さんはガラスを片付け、掃除をして「ニチェボー(問題ない)、明日来てまた取り付ける。」という。同じ照明器具があと2つホールに下がっており、ひとつはちょっと傾いている。「ほら、あれも。」と言っても「ニチェボー。」だ。照明灯の直撃を受けないように、家の中を歩くコースを考えなくてはならない。緊張の毎日が続く。