チェンライの市場から

「市場に並べられた商品からその国の生活がわかる」と言われます。当ブログを通じてチェンライに暮らす人々の生活を知って頂きたいと思います。 チェンライに来たのは2009年から、介護ロングステイは2018年8月母の死去で終わりとなり、一人で新しい生活を始めました。

タイ正月、ソンクラン 1

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タイ正月、ソンクラン(1)
4月と聞くと、タイ人はすぐソンクランを思い浮かべるだろう。ソンクランは4月13日から15日の3日間にわたるタイ旧正月のことで国民の休日となっている。もともとは、純粋に新年のお祝いであり、家族が一堂に集って共同で仏像や年輩の家族のお清めを行う期間であった。後に単なる水の掛け合いに発展したため、現在では新年と言うよりもお祭りという色彩が強い。このため日本では(タイの)水掛け祭りという言い方をすることがある。

この水の掛け合いは、新年に仏像に水をかけてほこりを落とし清める儀式からきている。また、水を掛けることは「お清め」の意味を持っているので、若い人たちは、目上の人や両親に対して尊敬の念を表し、「サワッディー・ピー・マイ」(新年明けましておめでとうございます)と言いながら、手のひらによい香りのする水を注ぐ。日本の正月と同じく、都会に働きに行っていた家族が郷里に帰省する時期でもある。また、連休であるから一家総出での旅行も少なからず行われる。このため、国内の交通や観光地の宿泊施設は飽和状態になる。一方、商店やオフィスも閉じるため、通常日ににぎわっているところは閑散とする。この時期、排気ガス充満のバンコクの空気が澄んで、渋滞も解消される、というのだが、今年は赤シャツ党の道路占拠で、道路はもちろん鉄道まで不通に追い込まれたことはご承知のとおり。正式の休日は3日であるが、4月13日を挟んで前後1週間くらいはテーサカーン・ソンクラーンソンクラーン期間)と呼ばれる。休日ではないが仏式の祭典が行われることがあり、みんなお祭り気分でウキウキしている。

ところでタイには3つの正月があるといわれている。この3度のお正月というのは暦の順番で言うと、西暦の正月、中国正月、タイ正月である。
西暦の正月
 西暦の1月1日、正月元旦は、日本ではもっとも厳粛な日であるが、ここタイではあまり関係ないようだ。大体この仏教国にはクリスマスも関係ないはずだが、日本同様イベントとして人為的に盛り上がりを見せてきた。楽しければ何でもいいタイ人なので、かなり適当といえる。12月になると「MERRY X’mas AND HAPPY NEW YEAR」と書かれた看板が町中を飾る。しょせんこの程度の扱いではあるわけだが、一応大晦日と元旦は、タイの公休日でもある。プーケットなど観光地での年越しカウントダウンだけが盛り上がってる、そんな正月だ。

中国正月(中国陰暦)
 日本で言うところの旧正月にあたる。陰暦であるから日にちが一定していない。大体1月下旬から2月中旬になる。今年は1月26日だった。タイは他の東南アジア諸国と同じくいわゆる華僑が幅を利かせている。タイの政治経済を実質的に握っているのは中国系タイ人である。華僑の人達にとってはこの日がまさしく新年のはじまりで、バンコクでは香港や横浜のチャイナタウンと同じように爆竹を鳴らしてお祝いをする。別に休みではないが、中華系の人にとってはれっきとした休日。

タイ正月(ソンクラン
ソンクランはもともとサンスクリット語で新年を意味する。雨の降らない猛暑期の行事として雨乞いを意味する水掛、年長者に敬意を表するための香水のふりかけ、仏教の仏像に聖水を注ぐ行事などが混合して、無礼講の水掛祭りに変質している。本来はお清めの意味を持つ水掛であるので、水を掛けられても決して怒ってはいけない。水掛は特に北部で派手になって、観光客を巻き込んだ一大イベントとなっている。

水掛は水鉄砲やひしゃくでちょっとシャツを濡らします、といった生易しいものではない。ソンクランの2,3日前から道路沿いにドラム缶を並べ、子供、若者ばかりでなく、いい年をした大人までがバケツや洗面器で通りすがりのバイクや車に遠慮なく水を浴びせる。1発食らえばパンツまでびしょ濡れになる。ソンクラン期間中のバイクや車の8割は酔っ払い運転だという。洗面器を持って道路に飛び出してくる子供や酔っ払いがポンポン車にはねられる。交通事故死傷者が激増するのでソンクラン期間中、アルコールの販売を停止するという法案が国会に上程されたが、どーせ買い置きするんだから、とあっさりと否決されてしまった。

チェンライの水掛祭りはお祭りというより、市街戦の様相を呈する。君子、危うきに近寄らず、という信条を持つ自分ではあるが、このたび、タイ語の先生、ジアップさんに誘われ、この水掛祭りに参戦することになった。(続く)