チェンライの市場から

「市場に並べられた商品からその国の生活がわかる」と言われます。当ブログを通じてチェンライに暮らす人々の生活を知って頂きたいと思います。 チェンライに来たのは2009年から、介護ロングステイは2018年8月母の死去で終わりとなり、一人で新しい生活を始めました。

女中の再雇用

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女中の再雇用

やめる前、電気代の請求書と600バーツほどのお金をブアに支払うようにと渡してあった。それを返してもらおうとしたが、彼女はちゃんと支払っておきますという。まさか、この優柔不断な日本人から突然馘首を言い渡されるとは思っていなかったのであろう、野菜の煮付けが大量に作ってあった。召し上がらないでしょうから持っていってもいいですか、とどんぶりに入れた煮付けを持ってブアが車に乗り込んできた。わずかな私物と共に二人の女中をブアの実家に送っていく。車の中でもしきりに、私が悪かった、働かせてください、とかき口説く。一度決めたことは撤回しないのは日本人の特徴だ。そうか、などと受け入れたら、今後、主客転倒してしまう。女中は彼女だけではない、と自分に言い聞かせる。

翌朝、バイクでブアが家にやってきた。忘れ物かと思ったら、電気代の領収証と借りたどんぶりを持ってきたのだ。ママさん、大丈夫?と母の好物のミカンを渡している。彼女を紹介してくれたHさんの奥さんにはブアから何度もとりなし依頼の電話があったそうだ。ここでの仕事にかなり未練があるようだ。突然女中がいなくなって、兄と自分の家事が復活した。洗濯、物干しも久しぶりだ。市場での買い物は何とかタイ語でできる。でもタイに来て日本にいた時と同じことをしているのでは意味がない・・

行きつけのコーヒー店に行った。ここはタイ人と結婚した日本女性、Mさんがオーナー。自分は決してコーヒー党ではないが、ここの自家焙煎のコーヒーの美味しさ、しかも一杯20バーツの安さに惹かれてよく行くようになっていた。Mさんに女中の顛末をこぼしたところ、やっぱり日本人ねー、と笑われてしまった。彼女は、10年以上、チェンライ近郊の村で一主婦として暮らしている。彼女の視点はタイの生活の中で培われたものだ。

Mさんが言う。その女中はタイの女中としては優秀です。辞めるとき、日用品等が彼女と共に消えることがなく、渡した電気代を支払って、領収書とお釣りを持ってくるなんてすごい。こちらではまあ普通以上だと思えることがあったらそれはとても運がいいと思わなければなりません。やめる、やめないの駆け引きはタイ人には当たり前のことです。やめたあと何度も家に来るのは本当に反省して働きたいと思っているからでしょう。タイの場合は、一度辞めたり、クビになった人が再雇用して、と頼んできたら、雇ってあげるのが普通です。
悪いことは言わないから、また雇ってあげなさい。またその際には、女中としてのあり方をきっちりと言い聞かせることが必要ね。 あなたから見て多少、出すぎ、差し出がましいと思うこともあったでしょう、でも北タイの女性はしっかりしていて、家を取り仕切ろうとする傾向があります。特にお宅のように女主人のいない家ではそうなりがちです・・・・

次の日、タイ語の先生(31歳のタイ女性)に相談してみると、Mさんと全く同じアドバイスを受けた。また雇ってあげるのがよい、とのこと。ブアに1,2度会ったことのある先生は、ブアさんはあなたと結婚したい、と思っていたのでしょう、といたずらっぽい目で笑う。冗談ではない。男女の仲だから何があるかわからないとはいえ、万に一つの可能性も無い、そんな馬鹿な。いいえ、この学校の女性職員もあなたが独身かどうか聞いていましたよ、という。日本では女性にハナも引っ掛けてもらえない男でも、タイでは(お金の力で)女性が寄ってくる、と書物で読んだことあるが、それが事実であることを身を持って体験した次第。

事情をよくわかったHさんの奥さんからコンコンとお説教を食らったあと、ブアが我が家に戻ってきたのは数日後のことだった。ただ、デンは田舎に帰ってしまったとかで、また新しい女中を探すことになった。ブアは以前にもましてクルクルとよく働いている。デンの後任もブアが探してきて今回の騒動は10日ほどで治まり、また穏やかな日が戻りつつある。

女中騒動を通して、ひとつ日本とタイの文化の違いを理解したように思う。やはり外国で暮らすのは大変だ。