チェンライの市場から

「市場に並べられた商品からその国の生活がわかる」と言われます。当ブログを通じてチェンライに暮らす人々の生活を知って頂きたいと思います。 チェンライに来たのは2009年から、介護ロングステイは2018年8月母の死去で終わりとなり、一人で新しい生活を始めました。

地方巡業 11

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地方巡業 その11
本日、サマルカンド・バンク・カレッジの優秀な生徒諸君、先生方を前にお話できることを大変嬉しく思います。本日はハキモフ学長のご要望により、私のお話はごく短いものとし、貴重な時間を質疑応答に当てたいと思います。
それでは皆さんのご質問をお受けします。

質問 どういった仕事を立ち上げれば儲かりますか。
売り込みに行かなくても、お客が買いにきてくれるような商品、サービスを提供することです。世の中、頭のいい人、大きな会社がひしめいていて、儲かる種はないかと鵜の目鷹の目で探しています。そういう人たちが、気がつかなかったような商品、サービス、仕事を見つけることが必要です。そして広く誰にでも売れるというものはだめで、特定の人をターゲットにしたものがいいかもしれません。
日本である特定の作家の本だけを扱い、その作家の関係DVD,音楽、伝記、あるいはその作家が影響を受けた芸術家や外国作家、詩人の本、ドラマ化されたときの衣装などを展示販売している本屋さんがあります。こういう店を探していた、と宣伝しなくても遠くからファンがやってくるそうです。これは新しいコンセプトに基づいた販売方法であり、マーケットは小さくても熱烈にお客に支持されるビジネスということができるでしょう。

質問 日本で起業したほうがいいでしょうか、ウズベクで起業したほうがいいでしょうか。
どういうビジネスを起こすかによります。一般にビジネスはお金を持っている人を相手にやらなければいけない。いくらいい商品だ、サービスだと感心してくれても相手にお金がなくて買ってもらえないのであれば、いかに社会的意義のあるビジネスでも成り立ちません。
例えば、国や外国、あるいは慈善団体からの援助を得るための申請書作成代行業を起こした人がいます。NGOでいい仕事をしているのだが、申請書がうまくかけないために基金が集まらない、その煩雑な申請書作りをお手伝いしますというビジネスです。このビジネスは引き合いも多く、客から感謝されましたが、援助をもらおうというそもそも貧乏なお客ですから、代金をなかなか払ってもらえずビジネスとしては成功しなかったという話です。
一般的に言えばお金を払える人が沢山いる市場のほうがビジネスチャンスは大きいといえるでしょう。ですから日本で起業したほうが儲かるかもしれない。しかし、ウズベクにもお金持ちはいます。その層をターゲットにしたビジネスをうまく開発できれば、利益を上げることは可能です。また商品、サービスが良くても流通、市場状況、コンペティターの動きなどチェックすべきことは山ほどあります。こういったことに精通している自国のマーケットのほうが起業しやすいかもしれません。

質問 どうやったら儲かる仕事が探せますか
じっとしていたら向こうから儲かる仕事が飛び込んできた、という話をきいたことはありません。どういう仕事がこれからはいいのだろう、と自分の足で探すことです。そのためには外国に行ってみる、ビジネスを起こした人に会ってみて話を聞く、本を読む、映画を見るなどでいろいろな刺激を自分に取り込んでおくことです。そしてどの仕事だったら自分でやれそうか、その仕事が本当に好きか、また新しいこと、これは商品、サービスだけでなく売り方が新しい、ということでもいいのですが、何かイノベーションがそのビジネスにあるかどうかなどをチェックします。田舎の村で生まれて、そこで一生住んでいる人にはベンチャーは起こせないといいます。華僑という言葉を知っていますか。生まれ故郷を飛び出して新天地で成功した人たちです。
皆さんは「おしん」を見たことがありますね。おしんの息子は米国視察旅行でスーパーマーケットのシステムを見て、それを日本に取り入れて成功のきっかけをつかみました。皆さんも自分で刺激を求めて海外に行くことが必要かもしれません。いつも刺激を得てものを見る感性を養うことが大切です。

質問 先生は起業した経験がありますか
大変いい質問です。パフタコールウズベクで有名なサッカーチーム)の監督は美しいミドルシュートを決めることはできない。知っていることと実際やることは違います。起業論の先生が誰でもビジネスで成功するとは限りません。ビジネスは知識ではなく知恵に属するもので、本当は教えることができないものです。知恵は皆さんが自分で作り出さなければならないものです。
起業したことはありませんというのが答えですが、一歩踏み出す勇気がなかった、といえるかもしれません。ですから起業し、成功した人を尊敬しますし、そういった人のミッションを皆さんに伝えているというわけです。(続く 次回で終わるようにします)

画像はブハラ・エコノ・カレッジのアスリディン学長