チェンライの市場から

「市場に並べられた商品からその国の生活がわかる」と言われます。当ブログを通じてチェンライに暮らす人々の生活を知って頂きたいと思います。 チェンライに来たのは2009年から、介護ロングステイは2018年8月母の死去で終わりとなり、一人で新しい生活を始めました。

地方巡業 2

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地方巡業 その2

棉摘みのときも初めてのサルミッシュ渓谷行きもそうだが、ちょっとアイデアが浮かぶと後先考えずにすぐ実行してしまう、それであとでひどい目にあったり、他人に迷惑をかける結果となる。それでも懲りないのは生まれ付きのおっちょこちょいだからだろうか。

普通、地方のカレッジに講演に行くとなれば,先方と連絡を取り合い、都合のいい日を尋!ねて、他の訪問スケジュールとすり合わせながら予定を作るということになる。講演のレジュメ、演者経歴なども必要だろう。準備に10日以上かかるのではないか。ところがザイニディン学長が要求したのは、講演テーマとどこにいつ行くか、それだけである。電話で1日あれば予定を決められると言う。

JICAにウルゲンチ、ブハラ、サマルカンド、テルメズ、フェルガナ、アンディジャン行きの日程表とフライトスケジュール一覧表をJICAに出したのが水曜日、それに制限付きながら許可がでたのが木曜日だ。その日に訪問スケジュールをザイニディン学長に出したら、大丈夫、任せなさい、という。こういってはなんだが、棉摘みのとき、学長のアレンジがめちゃくちゃでナフォサットを泣かせたことがある。俄かには信用はできないが、もう翌週月曜のウルゲンチ行きの切符はJICAで手配されている。今週計画、次週、次々週、講演旅行となった。一回一泊で1,2箇所を訪問し、一度タシケントに戻る、それからまた出張というスケジュールとした。

最初はウルゲンチだ。朝7時15分タシケント発であるから6時過ぎには空港に着いているほうが良い。朝5時半にナフォサットから、また前日一緒に飲んだ専門家のHさんからおはようコールを貰った。有難いことである。

さて、何を地方バンクカレッジで話すのか。それは何故か。何度も書いているようにこの国は閉塞感に満ちている。ベンチャーのように華々しく新しいビジネスをもって社会に新しい価値を創造する、ということは本来難しいことなのかもしれない。でもそう言っていては、物事は始まらない。アムールチムールは戦いにあたって、敵の情報を集めたと言う。ただ漫然と集めただけではない。自分の仮説を持ち、必要な情報を集め、それをもとに仮説を検証しながら行動に打って出た。ただぼんやりと夢想を続ける人と起業家の違いもここにある。夢想家は決して行動を起こさない。手に入れられるはずもない「完全な情報」を求めて時間を空費する。限られた情報を基に、起業家は一歩足を前に進める、行動にかかるのだ。

ベンチャーとは新しい価値を社会に生み出す、つまりビジネスにも何か新しいものを付け加える。みんながやっていることと同じビジネスをやっていては大きな利益は期待できない。新規性のある製品、サービスを扱うことだけがベンチャーではない。例えば売り方、トマトをバザールで売るのは既存の零細企業の範囲でしかない。しかしトマトをロシアで売ることに気がついた人は大きな利益を手にした。新しい売り方だったからだ。新しい発想、あるいは儲かる仕組み(ビジネスモデルという)を生み出す源泉は何か。それは何故、どうして、それだからどうなのか、もし自分がその立場だったら、と常に疑問を持つことだ。

疑問の立て方、仮説の提示の例として何故、ウズベクの木は白く塗られているのか、と聴衆に尋ねる。また米国のMBAコンサルタント会社で使用されている既成概念打破メソッドの教科書にあるパズルをやらせる。

ウズベクの教育方法は、先生の言ったことをノートに書き取って、暗唱して、理解した気になって終わりという方法だ。暗唱したところで考えることをやめてしまう。本当の勉強は自分で何故だろう、本当だろうかと考えて自分で答えを見つけることにある。自分で考える、決断することの大切さを生徒に伝えて、少しでもこの国の若い人に元気をあげたい。自分はカレッジの生徒が好きである。エー、そうなのー、と彼らの口が思わずほころぶのを見るのが大好きだ。若い人の笑顔を地方のカレッジでも見てみたい。そして地方カレッジの先生方と中小企業論でないベンチャー論について話をしてみたい、公式的にはこれが地方巡業の目的ということになろうか。

飛行機に乗るのはこれが初めて、というナフォサットが窓におでこをくっつけて、明るくなり始めたタシケント市街を見下ろしている。初フライトの感想は?と聞くと、学校で見た地図の通りです、という答えが返ってきた。

ウルゲンチに着いたあと、どういったスケジュールになっているのか何も知らされていない。興行主、ザイニディン学長、マネージャー、ナフォサットの下で、タレントの自分はどこで講演(公演)をすればいいのだろう。