チェンライの市場から

「市場に並べられた商品からその国の生活がわかる」と言われます。当ブログを通じてチェンライに暮らす人々の生活を知って頂きたいと思います。 チェンライに来たのは2009年から、介護ロングステイは2018年8月母の死去で終わりとなり、一人で新しい生活を始めました。

買い物、両替

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買い物、両替

何かと物価上昇が目に付く昨今である。バス、地下鉄運賃は8月1日に200スムから250スムになった。ガソリン(国産オクタン価80)は昨年8月に510スム・リットルだったものが今年5月に595、この8月には710スムになった。白タクも以前は1000スムでいけたところが1500スム払わないと乗せてくれない。

ただ、バザールに行って農産物の値段を見るとそれほど上がっている感じは受けない。自分のよく行くファルファッドバザールでは、それぞれキロ当たりの価格でトマト300、ジャガイモ300、ニンジン200、キュウリ300、玉葱300、ナス150、ピーマン150スムといったところ。ジャガイモや玉葱の小さいものはキロ100スム(10円)からある。ニラ、インゲン豆、ネギは一束100から200スム。

ただバザールによっては、1キロ買ったはずなのに小さなタマネギが3個くらいしか入っていなかったとか、値札には300と書いてあったのに400スム渡してもお釣りをくれない、文句を言うと、今、値上がりしてしまった、値札を書き換えるのを忘れただけ、などといわれることがある。更に抗議をすると、余計にニンジンを2,3本入れてこれで勘弁、などという。300であれば300、250であれば250スムときっちり渡さないと、お釣りの代わりに多めに、または他の野菜を持たされる羽目になる。一度お金を受け取ったらお釣りはなるべく渡さない、というのがバザールのオバサンの鉄則のようだ。

また、外人と見ると平気で高い値段を言うことがある。一物一価ではなく、人により価格が変動する。それを感知してウズベク人並みの価格で買うことができるようになるまでには相当の時間がかかる。騙されるのがいや、値段交渉がわずらわしいという人は多少高いが、トルクワーズやミールといった高級スーパーで買い物をするようになる。

イスラム諸国は歴史的にモノが少なく、モノを持っているほうが強い。またイスラム預言者ムハマンドが商人であり、「欲しい人には法外な値段で売りつけてよい、それが異教徒であればなおさらだ」という考えが基本にある。こちらは異教徒で言葉もできず、外人のお金持ち(本当はそうでないが)ときているからバザールの商人にとってはカモネギだ。慣れないうちは5個買ったはずなのに帰って確かめてみたら4個しかない、卵の数が合わない、殻にヒビが入ったものが混じっていたという経験をした。これはその場でよく凝視して、確認しなかったこっちが悪いということだ。

バザールだけではない。銀行でドルをスムに両替するときも同じようなチェックが必要だ。今、100ドルを交換すると127,400スムとなる。1000スム札で127枚、銀行に500スム札しかないと254枚プラス200スム札2枚となる。銀行は信頼できるというのは日本の話であって、これだけ枚数が多いと1,2枚行員がくすねても分からない。一応、紙幣カウンターがあってお札の枚数を機械で確認しているのだが、じっと作業を注視していないとさっとお札が抜かれるらしい。それよりも先輩SVに「中西さん、こちらの機械が信用できると思っているのですか」とたしなめられたことがある。

だからスム札を渡されたら、すぐその場で1枚、2枚と数えなければいけない。銀行出身のSVの中には札勘と言って、お札を扇のように広げて、ほんの一瞬のうちに100枚以上のお札を数えるという特技を持つ人がいるがこちらはメーカー出身。ぎこちなく数える。1000スム札ならまだしも500スム札になると数えているうちに数が分からなくなる。200スム札だったらもう泣けてくる。
それでも一度1000スム札が1枚足りないことがあった。窓口のオバサンに指摘すると、ごめんなさいでもなく、はいよ、と1枚お札を渡された。それだけ。ある銀行窓口では小銭がないかと聞かれ、ないといったら公定レートの端数を切り上げて少しだが多めにスムをくれた。どこかで帳尻を合わせるために、誰かに渡す札束から1枚抜くのだろうか。

以上のことはどこでも、いつでもというわけではなく、大変良心的な店も、常に正確に両替をしてくれる銀行窓口も多い。ただ、そうでないところがあるのは事実だ。それをだからウズベクはとか、だから途上国は、というのは正しくないように思う。多少のいい加減さ、ズルも長年の伝統、歴史、文化に根ざしているわけで、被害にあったら怒り心頭に発するのではなく今度は気をつければいいや、位の気持ちにならなければ、この国を理解することはできないのかも知れない。