チェンライの市場から

「市場に並べられた商品からその国の生活がわかる」と言われます。当ブログを通じてチェンライに暮らす人々の生活を知って頂きたいと思います。 チェンライに来たのは2009年から、介護ロングステイは2018年8月母の死去で終わりとなり、一人で新しい生活を始めました。

海外経済協力会議 (1)

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海外経済協力会議事務局との懇談会 その1

8月のある日、内閣(官房)組織の海外経済協力会議事務局とJICAとの懇談会があった。海外経済協力会議は、海外経済協力をより戦略的に効果的に実施するために総理大臣(議長)、官房長官外務大臣財務大臣経済産業大臣をメンバーとし、昨年4月に内閣府に設置された。昨年5月より本年7月までに10回の会合を開催し、資源・エネルギー、環境、ODAのあり方、対日理解促進、平和構築など様々な分野での海外経済協力について討議している。

海外経済協力会議事務局からは2名、JICAからは専門家、SV、JOCV(隊員)など13名が参加した。いつのまにか自分もSVのなかでは古手のほうに入ってきて、こういった会議にお呼びがかかり、SV代表として発表を頼まれるようになった。

懇談会では専門家、SV、JOCVからプロジェクト内容紹介やボランティア活動の紹介が行われた。自分は「バンク・カレッジにおけるベンチャー教育」の問題点と業務遂行に当たっての留意点について話した。すでにお送りしたレポートの内容と重なる部分があるが改めて自分の仕事の問題点と留意点をご紹介したい。

業務遂行に当たっての問題点
.咼献優好丱奪グラウンドを持たない生徒に経験科学を教える難しさ 日本では750ほど大学がありそのうち約100大学でベンチャー論が講義されている。また大半の大学で経営学が講義されている。日本の経営学の先生の悩みはビジネスバックグラウンドを持たない学生にどうやって経営学に興味を持ってもらうか、ということである。ビジネスをしたことのない学生には価格政策、製品政策、マーケッティングと言ってもぴんと来ないのだ。ましてや日本の高校で経営学、その一部であるベンチャー論を教えているところはない。経営学は米国のMBAのように2,3年の実業経験を持つ学生に教えるべき学問といえる。

起業を希望する生徒がいない(アンケート結果)
 自分にとっての顧客は生徒である。授業開始前にアンケート調査を行った。いわゆるマーケットサーベイである。その結果、起業を考えている生徒は皆無ということがわかった。日本であったら80%の生徒がマルを付けるであろうIT関係に、起業チャンスを狙うという生徒はゼロであった。銀行や縫製工場を起こしたいという生徒が100名の内3,4名。まだ将来について確固たる目標がないのは年齢からいっても仕方のないことかもしれない。

授業を受けるインセンティブがない(成績は買える、入試科目にない)
 カレッジは授業料ゼロ、袖の下で入学できるばかりか、テストが0点でも授業に出なくても成績はお金で買える。3-4割の生徒が進学する大学の入試科目にもないので、面白くない授業であれば全然生徒は集まらない。夕方17時40分から始まる授業は、人気がなく常に休講という現象が見られる。先生もアルバイトが忙しく授業に熱が入らない。

な拔のスタンスの違い(先生の言うことには疑問を持たずひたすら暗記)
ベンチャー起業は、こうしたら便利ではないか、どうしてこういった製品、サービスがないのか、といった疑問を持つことから始まる。ところがこちらの生徒は、勉強とは先生の言ったことをノートに取り、それをひたすら暗記することであり、先生の言うことに疑問を持つことはいけないと思っている。ほかの先生の起業論を見学する機会があったが、授業の初めに、前回の授業でノートに書き取らせたことの暗唱をさせる。それで生徒のスコアが決まってくる。
この勉強法はコーランの勉強方法、疑問を持たずにひたすら暗記、のイスラム式勉強法を踏襲したものではないのか。聞き取り、筆記、暗唱、これで物事を理解した気持ちになってしまう。ビジネスは理論やファンタジー、イマジネーションの世界ではなく、現実の時間、空間であり、常に決断が求められる。常になぜか、それは本当か、だからどうなのか、情報を集め、仮説に基づいて決定をし、それが違っていたらまた状況に応じて新たな決断を下す。これは単に知識を蓄えるだけで身につくものではない。       (つづく)
  画像はファルファッドバザールから