チェンライの市場から

「市場に並べられた商品からその国の生活がわかる」と言われます。当ブログを通じてチェンライに暮らす人々の生活を知って頂きたいと思います。 チェンライに来たのは2009年から、介護ロングステイは2018年8月母の死去で終わりとなり、一人で新しい生活を始めました。

国際情勢

ウズベクを巡る国際情勢

日本とウズベキスタンの関係は、というと今は絶好調といえる。
昨年夏に小泉首相が来ウしたのに続き、今年の4月には大型経済使節団をつれて甘利経済産業大臣ウズベクを訪問した。国交を結んで15周年の節目に当たり、日ウ経済フォーラムやワーキンググループの会合も目白押しだ。

日本はウズベキスタンの独立後15年、有償、無償あわせて1200億円の援助をウズベキスタンに供与している。一方、2005年のアンディジャン事件以降、欧米はウズベキスタンと一線を画しており、援助を控えているのが実情だ。ウズベキスタンも欧米の外交官、NGO、企業関係者にビザを更新しないなどの措置を取っており、ここ2年、欧米とウズベキスタンはいわゆるアンディジャン事件の「人権問題」を巡って関係がギクシャクしている。一度は米国に軍事施設を提供し、米国はこの国からアフガニスタンの爆撃を行っていた。また、ブッシュ大統領イラク侵攻に当たってはイスラム国家として真っ先に賛成の意を表明している。こういった蜜月時代がうそのようだ、

欧米との関係が冷却化している隙を狙って、中国、ロシアがその影響力を強めてきている。なりふり構わぬ資源外交を世界で展開している中国は、カリモフ大統領がアンディジャンで抗議のデモ隊に発砲したときも、中国はウズベキスタン政府がいう『テロリストだったから』という(作り)話を支持し、直後にカリモフを北京に招待したうえ、六億ドルの経済支援協定に調印した。
中央アジアにおける加盟各国間の政治的安定、軍事協力、経済協力を行うことを謳っている上海協力機構ウズベクを加入させ、タシケントに常設の「地域テロ対策機構」を設置している。中国が上海協力機構を熱心に進めている理由は、々馥發離ぅ好薀犒脇販運動対策、中央アジアのエネルギー資源確保、この2つだ。ウズベクイスラム過激派を押さえ込む必要性では中国と利害が一致している。また宗主国であったロシアへの牽制材料として上海機構が使えると見ているのだろう。

一方、ロシアもエネルギー取引を通じてウズベクを囲い込もうとしている。ロシアの石油企業大手「ルークオイル」の子会社は、タシュケントの支店を通じてウズベキスタン政府との交渉結果を発表。2007年にはウズベキスタンから130億立方メートルのガスを買い付けるとした。ルークオイルは子会社の「ザルベズネフツガス」、その投資会社「ウズベクネフツガス」などを通じて、ウズベキスタンの二ヶ所の鉱区開発に25年から30年の長期契約を締結した。

これらによりロシアはウズベキスタンのガス輸入を500億立法メートルほど急増させ、これらのガスを距離的な計算から、ほぼ全量をロシア国内で消費、かわりにEUに近いロシア国内のガスを、パイプラインを通じてEUに売るというスキームを描いている(「ユーラシア・ディリー」2月22日付け)。

西側のウズベク制裁は中露に利益をもたらしただけではないか、という意見がヨーロッパ、特に昔から民族問題で関係の深いドイツから興りはじめている。 EUからの経済使節団の訪ウも目立つようになった。

いずれにせよ、ウズベクは欧米、ロシア、中国の間を揺れ動いて、そのときにいちばんいい条件を出す国に秋波を送るという巧みな外交を展開している。

欧米からウ国寝の経済援助は休止状態になっているが、その中で日本の援助だけは連綿として変わることなく続き、何も下心のない本当の援助と高い評価を受けている。

ただし、日ウの貿易額を見てみると対日輸出額1,25億ドル、対日輸入額0,35億ドルと微々たるものだ。ウズベク人が非常に親日的なのは援助をくれる国であり、経済摩擦はなく、歴史的にもほとんど関わりがなかったから、ということもできる。比較的経済関係の強い中国や韓国に比べて存在感、現実感が薄く、有色人種でありながら白人国と対等に戦い、負けたあともすばらしい復興を遂げたアジアの優等生というイメージ先行型である。
それに加えてウズベク人の対日観に大きな影響を与えたものとして戦後、ウズベクで強制労働についていた2万3千名にも及ぶ日本人抑留者のことがあるだろう。彼らは明るく、礼儀正しく、器用で、勤勉な人たちでした、と当時を知る人の感想は、多くのウズベク人に共有されている。

どんな田舎でもヤポニーと答えると、ウズベク人の顔が和む。そのとき、抑留で苦労された我が先人に心の隅で感謝している次第であるが、これだけ巨額の援助をウズベクに供与している以上、日本ももう少ししたたかな国益外交を展開できないものか、と思っているのも事実である。