チェンライの市場から

「市場に並べられた商品からその国の生活がわかる」と言われます。当ブログを通じてチェンライに暮らす人々の生活を知って頂きたいと思います。 チェンライに来たのは2009年から、介護ロングステイは2018年8月母の死去で終わりとなり、一人で新しい生活を始めました。

経済産業相の来ウ

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甘利経済産業相、来ウ

4月末のゴールデンウィークのさなか、甘利経済産業相は丸紅、東芝等、民間企業トップら官民150名と共にウズベキスタンカザフスタンを相次いで訪問した。これは昨年8月の小泉首相の訪問に続く要人訪問で、資源外交の一環として、遅ればせながら日本が中央アジアに目を向けたものとして注目される、

ウズベキスタンを訪れた甘利経済産業相は、4月27日、カリモフ大統領と1時間余りにわたって会談し、原子力発電の燃料となるウランの鉱山を共同で開発していくことで合意した。

石油と天然ガスの高値が続き、世界的に原子力発電への関心が高まるなかで、ウランの価格もこの7年間で16倍になり、発電量の3分の1を原子力に依存する日本にとって長期的なウランの確保が課題となっている。 今回の合意について、甘利大臣は「中央アジアでは今や資源の争奪戦が始まっている。日本も戦略的な関係を構築することが大切だ」と述べ、ウランの生産量が世界第7位で新たな埋蔵も確認されているウズベキスタンとの関係を強化することの重要性を強調した。

ウズベキスタンは、おととし、東部のアンディジャンで起きた反政府デモに治安機関が発砲して市民ら数百人が死亡したとされる事件を受けて、外国からの投資は凍結されたままだ。 こうしたなかで、ロシアや中国が中央アジアのウランに強い関心を示しており、日本としては欧米に先駆けてウズベキスタンに協力する姿勢を打ち出すことによって、新たなウランの供給先を増やしていきたい考えだ。

ウ国訪問に続き、ウラン埋蔵量世界第2位のカザフスタンを訪れた甘利経済産業相は30日、首都アスタナでマシモフ首相と会談、原子力発電燃料のウランの輸入拡大や原発の技術協力を柱とした共同声明をまとめた。同行した民間企業トップらも、国営企業とウランの共同開発をはじめとする契約や覚書24件に一斉に署名。ウランの全輸入量に占めるカザフからの調達は現在1%程度だが、将来的には3~4割まで確保できる見通しだ。

訪問団には電力、商社、メーカーなど29社のトップらが参加。丸紅の勝俣宣夫社長らがウラン鉱山の権益確保で、東芝西田厚聡社長は原発建設事業での協力で、それぞれ国営「カザトムプロム」と合意。日本側がカザフのウラン燃料加工や、軽水炉建設計画に技術協力をすることでも一致した。

以上、日本の報道機関が伝える甘利経済産業相の「ウラン外交」のあらましである。

ところが、ロシアのプーチン大統領は甘利経済相と入れ代わりの5月9日、カザフスタンを訪問し、シベリアのアンガルスクに濃縮ウラン銀行を合弁で設立する覚え書きに調印した(ワシントンタイムズ、5月9日付け)。これは米国エネルギー省が提唱している「世界核燃料パートナーシップ」(GNEP)への真っ向からの挑戦でもあり、ロシアによるウラン・カルテルつくりでもある。この動向によっては日本に対するウランの安定供給にも影響が出てくる。

またロシアの石油企業大手「ルークオイル」の子会社は、タシケントの支店を通じてウズベキスタン政府との交渉結果を発表。今年(2007年)にはウズベキスタンから130億立方メートルのガスを買い付けるとした。昨年実績は90億立方メートル。価格は1000立方メートル当たり100ドル(国際価格は300ドル前後)。じつはロシアは昨年ウズベキスタンから60ドルで買い上げていた。

西側への販売価格は300ドルだから、どれほどロシアが潤うか。そのうえルークオイルは子会社の「ザルベズネフツガス」、その投資会社「ウズベクネフツガス」などを通じて、ウズベキスタンの貳箇所の鉱区開発に25年から30年の長期契約を締結した。

中国も上海シックス(上海協力機構)を通じて中央アジアに浸透を図っている。鉄道の通じているカザフには中国不法移民があふれ、タジクには7億2千万ドルの援助で影響力を行使している。また、2020年までに現在10ギガワットの原子力発電能力をを40ギガワット増強する予定で、戦略ウラン備蓄5カ年計画を発表しており、当然中央アジアのウランはその射程に入っている。

今、タシケントの高級ホテルではロシア人、中国人の姿がよく目に付く。ガス、石油、鉱物など資源をめぐる投資案件が目白押しだ。それにどれだけ日本企業が絡んでいるか・・・
中露のしたたかな資源外交を見ると、技術協力だけで資源を確保できると思うのは甘い、と言わざるを得ない。
(写真はタシュケント郊外の山登り)