チェンライの市場から

「市場に並べられた商品からその国の生活がわかる」と言われます。当ブログを通じてチェンライに暮らす人々の生活を知って頂きたいと思います。 チェンライに来たのは2009年から、介護ロングステイは2018年8月母の死去で終わりとなり、一人で新しい生活を始めました。

日本で買ったもの、食べたもの

日本で買ったもの、食べたもの

授業のとき、板書といって黒板に図やポイントを書くのだが、ウズベクのチョークはローセキみたいでのりが悪く、後ろの席の生徒にはよく見えないようであるし、書いているほうもイライラする。だから帰国してまず文房具店に行って日本製チョークを買った。6本入りで94円。大量に仕入れる。カラーチョーク6色セットもバンク・カレッジの先生のお土産用に買った。

通訳のべク君が100ドル前後のデジカメを買ってきてほしいと言っていたので、秋葉原に行ってみたが、昨今のデジカメは700万画素の高級品にシフトしていて、彼の言う400万画素のカメラなど売っていない。値段も3-4万円が普通だ。デジカメは3ヶ月毎に新機種が発表され、昨年自分の買ったデジカメと同性能のものはすでに販売終了になっている。技術の進歩には目を見張るばかりだ。
結局、安いデジカメは秋葉原では見つからず、ネット販売で手に入れることができた。朝ネットで注文し、先方の指定銀行口座に午後代金を振り込んだら、翌日に現品が自宅に着いた。驚くべき便利さだ。
ベンチャーに関する本はまず八重洲ブックセンターに行き、良さそうな本をぱらぱらとめくる。そこで購入した本もあるが、発行日が1,2年前のものはデジカメで背表紙を撮って、自宅パソコンからアマゾンのマーケットプレース(中古本コーナー)で購入した。新品であれば2千円以上する本が5百円以下で買えることもある。こうして授業に使えそうな本を10数冊購入した。
バンク・カレッジでは家にパソコンがあるという生徒はクラスに4,5人、更にインターネットに接続しているという生徒は1,2名だった。ウ国でネット販売が当たり前になるにはまだ時間がかかる。逆にウズベクのIT産業はこれから有望ということができるだろう。

ウ国では朝鮮族が住んでいる関係で、米、味噌、醤油などが手に入るが、やはり日本製とは違う。重量の許す限り食材は持ち帰りたい。今回は呑みトモのQさんにぜひ「にがり」を持ち帰ってほしいと頼まれていた。先月、二人でタシケント最大の食品の大バザール、クイルックバザールへ行き、大豆を探し当てた。彼はこれで豆腐を作ると言う。にがりは硫酸マグネシウム、あるいは硫酸カルシウムで、木綿豆腐か絹豆腐を作るかによって使い分ける。何軒か薬屋を回ったが売っていない。家の近くの豆腐屋さんに行って、事情を話すとご夫婦で使い方を説明してくれ、粉末のにがりを分けてくれた。ウズベキスタンなんて遠い国でしょう、と言ってどうしても代金を受け取ってもらえなかった。ウズベクのバザールで鍛えられているので、10倍くらいの値段でも払う気持ちはあったが、豆腐屋のご夫婦のご好意に、ああ、人情いまだ健在なり、日本もこれで大丈夫、と単純に感動した次第。

帰国していろいろ食べたもののうちで印象に残ったものは「ラーメン」である。B級グルメとしてラーメンははずせない。以前、テレビチャンピオンラーメン王に輝いた東大の天文学の先生が「ラーメンは自分がおいしいと思っても他人はそうは思わないことがあるし、その逆もある」と言っていた。8ヶ月もラーメンを食べていなければ、どのラーメンでも満足できるのかもしれないが、せっかくの一時休暇でもあるし、日本一おいしいと評判のR舎のラーメンを食べに行った。
11時過ぎに着いたのに行列ができていて、自分は25番目だった。11時30分開店。いくら暖冬とはいえ1時間近く吹きさらしの道路へ立っていると体が冷えてくる。店はカウンター13席のみ。13人入って全員が食べ終わると次の13人が入る。入れ替え制だ。列を作っているとき饒舌だった後ろの3人もすっかり黙り込んでどんぶりが自分の目の前に置かれるのを待つ。カウンターの向こう側の店員も無言だ。一種の緊張感がみなぎる。茶道のお点前、あるいは禅の接心のような精神性を感じる。各自無言で麺を啜り、おつゆを飲み干して代金を払って静かに立ち去る。土俵に一礼して去る力士の心境だ。行列は40名以上に増えていた。確かにうまいラーメンだった。

ウズベクでプロフやラグマンを食べたとき、このような張り詰めた気持になったことがあったかな、などと考えた。
日本人て、不思議だなあ。

(「ウズベクのバザールから」は年末年始のお休みを頂きまして1月の第2週より再開いたします。1月2日にウ国へ戻ります。旧年中はいろいろお世話になりました。皆々様の新しい年のご多幸を心よりお祈り申し上げます。)