チェンライの市場から

「市場に並べられた商品からその国の生活がわかる」と言われます。当ブログを通じてチェンライに暮らす人々の生活を知って頂きたいと思います。 チェンライに来たのは2009年から、介護ロングステイは2018年8月母の死去で終わりとなり、一人で新しい生活を始めました。

相対的な見方

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相対的な見方

小さい時、自分は、東千代之介中村錦之助の出てくる東映時代劇がはじまると、隣にいる母に「あの人、いい人?悪い人?」と聞く子供だったそうだ。

それから風雪半世紀、少しは進歩したのか、世の中100%正しいことも100%間違っていることも存在しないということにうすうす気付き始めた。夫婦喧嘩だってどちらかが絶対的に正しくて、相手側が完全に悪いということもない。よく見て四分六かなあ、と思うことがある。でもそう思っても当事者には決して本心を言ってはならない。「そう、そう、その通り、よくわかるよ」と相槌をうっておけば友人を失う心配はない。これもそれだけ大人になったということか。

ところで、国際政治を考える上でもどっちもどっちということがある。 イラクでは2003年以降、戦闘やテロによる死者は10万人とも15万人とも言われている。米軍、イラク市民の死者はこれからも増えていくことだろう。こういったカオスを見ているとフセイン時代のほうがずっと平和だったと言えるのではないか。英米イラクを解放した、いくら死者が出ても民主主義のほうがいいんだという言い方は、健康のためなら死んでもいい、という健康至上主義者の倒錯した心理を思い起こさせる。
曽野綾子さんの著書「アラブの格言」(新潮新書)の中に「一夜の無政府主義より、数百年にわたる圧政の方がましだ」という一節がある。米英が来てフセインより援助を呉れると思ったがそうでない、カネをくれないのなら出て行ってほしい、というイラク市民の声を聞いたことがある。イラク市民にとってはフセインがいなくなったら多国籍軍は邪魔者にしか過ぎない。

民主主義の大義を信用しないわけではないが、イスラムにはイスラムのやり方があり、それを尊重しない限り、事態は好転しないとどこかで曽野さんが書いていたと思う。

何がいいたいかといえば、フセインの圧政にもブッシュ大統領が説いてやまない民主主義にも程度の差はあれ、よい部分と悪い部分がある、ということだ。

ウズベキスタンは再々ご報告しているように失業率が高い。将来展望の持てない若年層を中心に国民の4分の1近くがロシアやカザフに出稼ぎに行っている。2005年5月のアンディジャン事件以降、毎日のように人権活動家が逮捕され、不当裁判により投獄されている。西側メディアが喧伝しているように、自由と平等、民主主義とはかけ離れている国だ。 (そうはいっても日常生活で独裁国家の恐ろしさ、厳しさを感じることはほとんど無い)

西欧諸国が人権弾圧を強めるカリモフ政権から一線を画しているのに対して、ロシア、中国が積極的な接近を謀っている。そうはならじと、西欧はミッションや経済協力調査団を送って、ウズベク経済に食い込みを図ろうとしている。

この国でお金を儲ける手っ取り早い手段の一つに、良い不動産物件を持って賃貸するというものがある。高級アパートを外人に貸す、ということもその一つだ。しかし、相次ぐ外国企業との合弁解消、西欧系NGO、国際機関職員へのビザ発給停止などがあり、外人用アパートは借り手市場になっている。JICAのSVの住宅手当は以前1200ドル・月であったが、現在は700ドル・月に減額されている。それでも以前と同じクラスのアパートを借りることが出来る。賃貸物件価格だけが経済状況を表すわけではないが、この価格が上昇に転じないということは外国からの投資が活発化していないといえるのではないか。

2007年1月にカリモフ大統領(写真)の任期が切れ、新しい大統領が選ばれる。グルジアウクライナで米国がやったオレンジ革命バラ革命などの親露政権転覆活動はあるのかというと、不透明な経済状況にはあるが、ウ国では現政権に対抗するだけの勢力が育っておらず、米国も手の出しようがない、といったところのようだ。

カリモフの娘が次期大統領になるという西側報道もあるが、大統領は3選禁止を定めた憲法改正を行い、大統領任期の延長を図るだろうという説が有力である。

そんな独裁者が居座っていいの、という考えをお持ちの方もおられるかもしれない。しかしウズベキスタンウズベク人が中心ではあるが、100以上の民族からなる多民族国家である。ユーゴスラビアほどでないにしても一度、タガが外れたらどうなるか判ったものではない。

スキンヘッドの与太者もいないし、女性が夜遅く白タクで帰宅できる治安状況が、色々と政治上、経済上の問題はあっても、このまま続いてほしいと思っているウ国民も少なくないことを知っておきたい。