






雨のロイクラトン
■乾季のはずなのに
11月5日の朝、テニスに行こうと門扉を開けようとした。あれ、雨が降っている。ウーン、予報は40%の降雨確率だったし、運動場方面の空も暗い。今日のテニスは諦めよう。確か東シナ海に発生した台風25号「カルマエギ」の影響で、タイでも11月7日ごろまで雨が続くと気象庁が発表していた。
でも今日はロイクラトン、ロイクラトンの日が雨だったという記憶がない。10月の満月の日が暦の上での雨季明け、出安居であるが、本当の乾季到来は11月の満月、ロイクラトンまで待たないと、とタイ人も言っているし、自分もそのように書いてきた。11月のロイクラトンにはいつも夜空に美しい満月が輝いていたものだ。超望遠83倍のニコンP900を購入した人は、一度は月の撮影を行うがすぐ飽きるという。しかし自分はロイクラトンの月を毎年のように撮っているという気がする。
一昨年2023年のロイクラトンはベトナムのホイアンで迎えた。ホイアンは、ベトナム中部に位置する歴史ある町で、旧市街全体が世界遺産に登録されている。昼間のホイアン旧市街は、明るい日差しの下でカラフルな建物やランタンが映え、のんびりと散策するのに最適である。多くのカフェやショップが営業しており、街歩きや写真撮影を楽しんだ。
一方、夜になると無数のランタンに灯りがともり、幻想的な雰囲気に包まれる。ナイトマーケットや屋台の賑わいも増し、運河には行燈を乗せた無数の小舟が浮かぶ。あの舟にカップルで乗ったら少し好きになってくれるのではないかと思うくらいロマンチックな風景だった。
昨年2024年のロイクラトンはチェンマイだった。各国、各企業のパレードを凄い数の観光客に交じって見物した。ナラワット橋上からメーピン川に沿ってびっしり並んだ屋台の数にも圧倒された。チェンライのような田舎町に住んでいると観光客の多さに吃驚する。すっかり田舎者になってしまった。
10月24日にシリキット王太后が崩御された。享年93歳。2019年からずっと入院生活を送っておられたようだ。政府は、国民の服喪に関して、タイ政府機関、国営企業、各種公的機関および全国の教育機関において30日間の半旗掲揚、公務員の服喪期間1年(その間ずっと喪服着用)、一般国民の喪服、喪章着用の協力要請等の指針を示した。
これではロイクラトンのコムロイや花火は自粛されるのか、と思ったが、ロイクラトン前日の4日には我が家近くのターサイ川に架かる橋の下には例年通りの飾りつけと屋台ができ始めていた。夜には花火の音も聞こえたし、祭りは例年通りのようだ。
政府観光庁も
・服喪期間中も、タイ国内は通常通り開かれており、あらゆる業務は維持されます。 全ての観光名所、交通機関、レストラン、店舗、そしてイベントは通常通り継続します。
・旅行者の皆様におかれましては、特に寺院、王室関連施設、または政府施設を訪問する際には、敬意を表した服装と、慎み深い行動をお取りになりますよう、謹んでお願い申し上げます。
と、祝い事禁止要請は出していない。考えてみれば、ロイクラトンはタイの観光目玉の一つである。観光客だって王太后崩御以前に旅行予約を済ませているし、花火や飾りつけ業者もすでに準備作業は終えている。王様も過度の自粛は必要ないと言われているから、ロイクラトン・フェスティバルは例年通り行われるだろう。
■気力に欠ける
別に服喪期間だからというわけではないが、今年のロイクラトンはチェンライの茅屋に逼塞している。この時期、乾季真っ盛り、昔はバイクでロングツーリング、旅行に出かけることが多かった。今、バイクは1年の走行距離が3000キロ、1日当り10キロにも満たない。バイク仲間も自分と同じ年齢層だから、このところツーリングのお誘いがかからない。やはりみんなトシかなあ。
一昨年のベトナム旅行の写真を見返した。今、日本でもベトナム旅行が人気という。安くて美味しい、見るべき世界遺産もある。昨年の外国人観光客数は1780万人とアセアンではタイ、マレーシアに次いで3番目、訪問者内訳としては韓国(457万人)、中国(374万人)、台湾(159万人)、日本は71万人で第5位、増加率は高い。
ホイアン、ミーソン遺跡、ダナン、フエの写真を見ながら、やはりロイクラトンは地元以外、できたら異国の空の下で過ごしたいという気持ちになった。時間はまだある。豪華客船のクルーズはムリにしてもアセアン圏内なら、何時でも飛べる。乾季で雨も降らないのだから気が向けばフォルツァ350に跨って、国内何処にでも行ける。
でも昨今、写真を見ては思い出に耽っているばかり。踏ん切りがつかない。これも老化の兆しだろう。