チェンライの市場から

「市場に並べられた商品からその国の生活がわかる」と言われます。当ブログを通じてチェンライに暮らす人々の生活を知って頂きたいと思います。 チェンライに来たのは2009年から、介護ロングステイは2018年8月母の死去で終わりとなり、一人で新しい生活を始めました。

トーカティンに参列

ヴィアンカロン寺の本堂と建設中の仏塔

坊さんと善男善女の行進

本堂内

吊り上げられる九輪、宝輪ともいう。「五大如来+四大菩薩」を表すとか

同上

望遠で

読経と共に取り付けを見守る人たち

 

トーカティンに参列

■出安居で行動活発化

今年のオークパンサーは10月7日だった。オークパンサーとは「出安居」、坊さんは約3ヵ月のお寺に籠って修行をするがその修業明けと雨季の終わりを告げる日である。オークパンサーは旧暦11月の満月の日と決められているので年によって日が違う。来年2026年のオークパンサーは9月24日、2027年は10月14日となっている。

暦の上ではオークパンサーが雨季明けということになるが実際に乾季らしい天候になるのは次の満月の日、即ち陰暦12月の満月の日、ロイクラトンの日からというタイ人もいる。今年のロイクラトンは11月5日となっているからこの時はもう乾季真っただ中である。

ともあれ、オークパンサーが過ぎると市場やスーパーに坊さんの姿が目立つようになる。またあちこちのお寺で集金活動というか大規模な仏教儀式が執り行われる。

その一つがトーカティンだ。トーカティンとはオークパンサーから1カ月以内に坊さんに新しい法衣を献上する儀式である。トーカティンに参列すると有難いお経が聞け、大変なタンブンになると言われている。我が家の近くでも開催日が重ならないように各寺でトーカティンが行われている。

オークパンサー後には坊さんたちも活動を活発化させるが、ブアさんも早起きにしてあちこちの寺や朝市に行ってタンブンに励む。朝市の帰り、近くの用水池に寄って買ってきたばかりの鯰や田鰻を放す。タンブンをした日は晴れ晴れした顔をして機嫌がいいので、まあいいかと思っている。

■縁あって寺のメンバー

ブアさんは我が家に来て母の面倒を見る前、即ち十数年前になるがウィアンカロン寺でメーチー(尼さん)見習いで修行していた。ウィアンカロン寺は我が家から約100キロ、チェンライ県とパヤオ県の県境にある寺だ。昔は荒れ果てた小さな寺だったが今のロンポー(住職)がやり手で一代にして大伽藍、博物館、修行道場、火葬場、FM放送局などを含む地域一番の有力寺に育て上げた。また、久しく絶えていたウィアンカロン焼きを復活させて、その一部は寺の博物館に展示されている。

ブアさんにとってウィアンカロン寺は第2の故郷のようなもので、修行中のメーチーや坊さん、それにロンポーともいい関係を続けている。何度か通ううちに、ロンポーが親近感を持ってくれたようで自分を寺の「メンバー」にしてくれた。メンバーの特権は死に水を取るところから逝った後の葬儀一切の面倒を見てもらえることである。この話は何度か書いているので詳細は割愛。

■トーカティンと九輪取り付け

1週間ほど前からウィアンカロン寺のトーカティンに行こうとブアさんに誘われていた。朝8時出発ならテニスに行けないし、返事を保留していたのだが、ロンブの知り合いに車を出してもらうし、村の人も行く、今更、と脅迫されて仕方なく行くことにした。

思い起こせばウィアンカロンのトーカティンには何度か参列したことがある。今回も寺に行ってみると駐車場は満杯、お祭り会場のように露店がたくさん出ていて無料の食事やアイスを振舞っている。まるでチェンライ土曜市の賑わいだ。ただ寺の境内であるのでジェー、即ち、肉、魚を使わない菜食である。

ブロッコリーの炒め物、枝豆の食事を済ませた後、大本堂に向かう。本堂前には数十人の坊さんと法衣を捧げ持つ300人ほどの善男善女が整列していた。この集団はお経を唱えながら本堂を一周して本堂に入る。金ぴかのお釈迦様を前に1000人近い人が椅子に座る。本堂右手の張り出しに坊さんが3列になって座る。

そういえば本堂のお釈迦様を鋳型に鋳込む儀式にも本堂落成式にも参列したことを思い出した。境内ではメーチーに「ヒデキ、ヒデキ」と声をかけられたが、数少ない日本人だから顔を覚えられているのだろう。

トーカティンの儀式は十数人ずつ僧侶の前に額づいて法衣を渡す、受け取った法衣は寺男が回収し、また新しい法衣を僧侶の前に用意する。参列者のほぼ全員が法衣を寄進できた。儀式の後にまた読経が始まったが、タイでは参列者全員が読経に唱和する。多少の抑揚があり、1000人の読経は広い本堂に木霊して教会の讃美歌を思わせるものがあった。信仰心はないが人の宗教心には共感できるものがある。

2時間のトーカティンの儀式が終わったあと、大本堂に隣接して建設中のチェデルワン(仏塔)の尖塔に「九輪」を取り付ける儀式が行われた。この仏塔も30Mほどの高さがある。九輪を吊り上げるクレーンは日本製、高々と吊り上げる模様をドローンが撮っていた。善男善女に交じって九輪取り付けを最後まで見ていたので寺を出たのは4時過ぎになってしまった。