





令和の大修理
・エンジンがかからない
愛車のカリビアン(ジムニー)が壊れた。テニスが終わって帰宅する途中、エンジンの調子が悪く、時折エンジンが止まる。再始動で少しは動くが元気がない。いつもはLPGを燃料としている。もしかしてLPG供給部分に不都合が起こったのだろうか。LPGがだめならば燃料をガソリンに切り替えて走る。最近ガソリンを補給していない。丁度ガソリンスタンドがあったので車を入れて10リットルほどガソリンを入れた。会計を済ませアクセルを始動させるがどうしてもエンジンがかからない。諦めてGスタンド敷地内のコンビニの駐車場に一人で押していく。
ボンネットを開け、冷却水を見てみると水が足りないようだ。ポリ瓶でラジエターに水を注入する。すると水が車の下に流れ落ちる。車の下は水浸しだ。何度か注入を繰り返したがラジエターに水が溜まる気配がない。
LPGでもガソリンでもエンジンはかからない。こうなっては、車は単に鉄の塊にすぎない。日本ならJAFかロードサービスを呼んで修理工場に運んでもらうということになる。カリビはそういったサービスには入っていない。またその必要はない。
この中古カリビを購入したのは2011年だった。その時から我が家の近くのある自動車整備工場の社長チャンシーさんにお世話になっている。いつものように彼に電話した。どうしよう、とりあえずここのGSに来てくれませんか。15分後にチャンシーさん到着。苦しい時の神頼み、地獄でホトケ、彼に後光が差しているように感じた。
■人間でいえば90歳
カリビは1989年製、買った時にもうすでに22年落ち、今年で36年落ちの中古車だ。自分が乗り始めてからもう14年、15万キロは走っている。我が家に来る前の22年間に何十万キロ走ったかは分からない。
いくら日本製の車だからと言っても部品は摩耗、劣化する。時として考えられないような不具合が生じる。出先で動かなくなったことは何度もある。その度にチャンシーさんのお世話になっている。中古車とお妾さんは金がかかる、と聞いたことがある。修理代はかかるが14年も乗っていると愛着がわいてきて、実用車というより趣味の域に入っている。
我が家にはホンダのシビック、スズキのカリビの2台の車とフォルツァ350のスクータがある。今回の故障を見て、ブアさんがもうあの車は捨てろと言う。人間でいえば90歳を越えた老人だ、どこで重大事故を起こすかわからない、走るのは市内だけで間違っても山とかチャンマイには行くな、とうるさい。一人住まいなのに車2台とスクータ1台は贅沢ではないかという知人もいる。でもカリビは近場用、シビックは遠出用、スクータはチョイノリの買い物用と使い分けているし、兄や息子が我が家に逗留しているときは車が2台あると便利である。
テニスや市場、ブアさんの村に行くときはいつもカリビアン、ほぼ毎日乗っている。シビックは2,3週間乗っていないこともある。どうも「兄の車」という意識があって知らず知らずに使用を遠慮している感がある。やはりカリビ運転が気楽だ。
■エンジン交換?
カリビは冷却水喪失のためエンジンが焼き付いていた。「これはエンジン、ラジエータ取り換えだね」。実は10年前にアカ族の住む山に行ったその帰りにエンジンが焼き付いて、エンジンを取り換えたことがある。バンコクから中古エンジンが届くまでの3ヵ月、カリビはチャンシーさんの整備工場の片隅に置かれていた。あー、また3ヵ月か。
取り換え部品が4万円くらいになるがどうするか、と電話があった。もう一つの選択は「廃車」だ。迷うことなく「直してください」。
修理に最低1月はかかると思っていたが、1週間ほどしたら修理完了の電話があった。チャンシーさんがカリビに乗ってやってきた。ボンネットを開けて、ここをこう直した、ここは取り換えた、という説明をしてくれたが、よくわからない。長年の付き合いでチャンシーさんの誠実さと技量を信じているので、相槌を打ってコップクンカップというだけ。
エンジンは取り換えず、洗って組みなおしたとのこと。ラジエータも部品の一部取り換えで済んだ。車検代行料も含め、修理代は数万円だった。またどこかで故障した時のためにチップを500Bほど。決して多くないのにすごく喜んでくれた。チャンシーさん自ら運転して我が家への納車であったが、そのカリビで彼を家まで送っていった。エンジンの音が軽やかで動きが故障前よりスムーズになった。
我がカリビ、平成の大修理はエンジン取り換えであったが、今回の令和の大修理、これが最後の大修理になるのではないか。大事に乗りたい。