





国境での軍事衝突
■タイ、カンボジア銃撃戦
一般に国境を接する国同士は仲が良くない。タイとカンボジアも仲が悪い。昔から攻めたり攻められたりの歴史があるし、宗主国であったフランスが後々の紛争の種となるよう国境をはっきり決めなかったせいで未だに国境紛争が起こる。
今年の5月28日には以下の事件が起きた。
ニュースクリップ5月28日付から引用
東北部ウボンラチャターニー県チョンボックのカンボジア国境で5月28日午前5時45分頃、タイ軍とカンボジア軍の間で短時間の銃撃戦が発生した。両軍の地元部隊の司令官が停戦で合意、本格的な衝突は回避された。死傷者はなかった。
チョンボク一帯はタイ、カンボジア、ラオスの3カ国の国境が接し、観光誘致を目的に「エメラルド・トライアングル」と名付けられている、しかし、カンボジアとの国境の一部が未確定で治安が不安定な状態が続いており、一般人の入域は規制されたままとなっている。軍事的には「現状維持」で合意しており、タイ・カンボジア両軍は部隊の移動、建設、掘削などに関し、相手への事前通告を必要とする。
今回の衝突は、タイ軍がカンボジア軍の部隊移動と陣地形成の動きを察知し、部隊を巡回させたことがきっかけ。これにカンボジア軍が対応し、銃撃戦に発展。5時55分には停戦となった。タイ軍も通常の巡回ルートをたどっており、両軍による事実誤認だったと伝えられる。(引用終わり)
その後カンボジア側に1名の死者が出たことが報道されている。
■強硬姿勢
タイ外務省は6月11日、カンボジア国境一帯での電力供給とインターネット回線を遮断すると発表した。カンボジア側国境沿いの犯罪拠点の撲滅が理由で、今回の国境紛争を巡る政治的意図はないとしているが、どう見ても紛争が原因だ。
ペートーンターン・チナワット首相は6月11日、東北部スリン県のカンボジア国境を視察、国境警戒にあたるタイ陸軍第2軍管区の兵士らを激励した。有事の際には防衛の拠点となり得る同県カープチュン郡では、治安当局、政府機関、周辺県の県知事などと会合を開き、現地住民を訪問した。
ペートーンターン首相は、平和的手段を堅持し、安全保障と外交の両面でカンボジアとの交渉を続け、タイの国家主権を守り抜くと明言。皆が一致団結して国境問題を解決し、平和を回復していくことが重要と述べた。
ペートーンターン首相は6月4日、東北部ウボンラチャターニー県での軍事衝突に端を発したカンボジア国境問題で、「平和を愛するが、戦いも臆さない」と発言した。タイ国歌の一節を引用し、平和的解決を望みながらも万一の事態に備える姿勢を、国民にアピールした。
首相がこういった強硬な姿勢を取るには4月にカンボジアを訪問しタイ、カンボジアの友好関係を強調したばかりで、あれは何だったんだというタイ国民からの批判をかわす狙いもあるという。
在タイ日本国大使館が6月8日、カンボジア国境付近における軍事衝突に伴い、「カンボジア国境付近における軍事衝突に伴う注意喚起について」という注意喚起を発出した。
以下、大使館HPから。
1 当地報道によれば、5月28日、ウボンラチャターニー県のカンボジア国境付近において、タイ軍とカンボジア軍による軍事衝突があり、複数の死傷者が出たほか、現在も緊張状態が続いています。
2 これを受け、タイ政府はカンボジアとの国境地域の警戒を指示しており、一部国境の閉鎖、タイ人及びカンボジア人旅行者の往来を禁止するなどの措置を取っています。
3 つきましては、タイ・カンボジア国境付近では今後も不測の事態が発生する可能性が否定できないことから、報道などから最新の治安情報の入手に努め、上記地域へは当面の間、不用意に近寄らないよう十分ご注意ください。
■火種の素
タイ外務省は6月9日、カンボジアがタイ国籍者向けビザの滞在許可日数を60日から7日に短縮した件を巡り、タイも相互主義でカンボジア国籍者向けビザの滞在許可日数を同様の7日間に短縮したと発表した。
タイ、カンボジア国境のカンボジア側にはカジノホテルが林立している。お客はタイ人が主である。今、カジノは閑古鳥という。電気もWiFi も使えないのではそうなるだろう。
ペートーンターン首相が視察したスリン県には古代クメール王朝時代に建立された多くのヒンドゥー寺院遺跡がある。カンボジア国民にすれば、タイなんて今でこそ経済がちょっといいからと言って威張っているが、昔は野蛮な未開国、クメールのほうが歴史的にも文化的にも先進国だと思っていると思う。実は自分もアンコールワットを見学して以来、そう思っている。これからも紛争の全面解決は難しいのではないか。