





タムルアンからメーサイへ
■北タイは洞窟だらけ
タムルアン洞窟は2018年以前、即ち、奇跡の救出の大事件が起こる前は年間5千人ほどの観光客が訪れるどこにでもある洞窟公園だった。洞窟はタイ各所に存在している。国立公園となっている洞窟も多く、自分もいくつかの洞窟を訪れている。
北タイはその昔、サンゴ礁などが発達する暖かい海だった。石灰質の殻や骨格をもった生物の遺骸などが海底に厚く堆積した。その海底が地殻変動で隆起してタイに広がる石灰岩の山となっている。一般の岩石と異なり、主成分が炭酸カルシウムからなる石灰岩は、酸性の溶液に溶解する化学的性質をもつ。二酸化炭素を含む弱酸性の雨水や地下水による侵食(溶食)が始まる。
このような侵食(溶食)によって石灰岩体の内部に多くの空洞(洞窟)が生じる。石灰岩中の微細な割れ目等を満たした地下水(炭酸カルシウムが多量に溶解している)が洞窟内に滲出すると、炭酸カルシウムが方解石として晶出を始め、沈積して鍾乳石等の洞窟生成物が発達する。こうして洞窟内が装飾されるようになった洞窟を鍾乳洞という。
北タイには無数の洞窟がある。洞窟巡りが趣味という人もいる。洞窟内の水に満たされた部分を潜水するケイブ・ダイバーと呼ばれる人もいる。タムルアンの世紀の救出劇では英国人のケイブ・ダイバーが活躍した。
事件後、ひっそりとしていたタムルアン洞窟は年間140万人の観光客が訪れる大人気の観光名所となった。以前行った人は洞窟入り口だけしか見学できなかったが、今は駐車場や学習センターが整備され、乾季の間は洞窟内を歩くことができる。
■まだまだ無名
タイ政府観光庁のアメージング・タイランドというネットでは、チェンライの観光スポットとしてワットロンクン(白い寺)、ゴールデントライアングル、シンハパーク、メーサーロン、ドイトゥンの王母様庭園、メーサイ、チェンセーン、プーチーファ-などが紹介されている。他にもチェンライ観光スポット21選、お勧め観光スポット5選といった旅行代理店、旅行者のネット記事を見てもタムルアン洞窟は出てこない。チェンライ在住であるからチェンライ観光スポット21選は全部行ったことがある。
チェンライ観光の魅力は人工的な白い寺とかシンハパークよりもプーチーファ-やドイパータンなど自然の魅力にあると思う。ゴールデントライアングルも阿片の歴史もさることながら、恐怖と隣り合わせの小舟によるメコンクルーズのように自然と一体になれる観光のほうが旅の思い出になるのではないか。その意味でもタムルアン洞窟は洞窟内の広さ、濁流の痕跡、各種の鍾乳石などダイナミックな自然に触れることができる。この点でタムルアンはチェンライの観光スポットとして3本の指に入ると個人的には思っている。
■洞窟見学のついでに
タムルアン洞窟は国境の街メーサイまで7キロほどに位置している。洞窟を見学した日はメーサイに宿泊した。メーサイは、昨年9月にミャンマーとタイの国境を流れるメーサイ川が氾濫して大きな被害が出た。洪水の前に訪れたが国境が閉ざされていて、人はもちろん物品の出入りがないため活気のない寂れた街になっていた。メーサイからミャンマーのタチレクに渡り、バス停留所のようなしょぼいタチレク空港からマンダレーまで飛んだのはいつのことだったか。
今回は、外国人はダメだがタイ、ミャンマー両国民は国境を行き来できるようになっていた。国境のゲートには入出国を待つ人や荷物を満載した車が目白押し、道路沿いの屋台も復活して活況を呈していた。商店街で1ダース80Bの靴下と20Bでバイク用グローブを買った。これが我が初買いの品となった。
今回は行かなかったが洞窟の手前、検問所をメーサイに向かって左に折れるとワット・タム・プラーという寺がある。この寺には野生の猿がたくさんいて、暑い時期には猿が崖から寺の池にダイビングする。それを人が見物する。猿はそこら中に徘徊していて気を付けていないとお菓子とかアイスをひったくられる。アイスを猿に取られて泣いている子を見たことがある。この寺の隣、歩いていけるところにサオヒンパヤナーク洞窟がある。ここは雨季でも見事な鍾乳石や石筍の洞内を見物できる。洞窟前には大きな池があって、池の魚に餌やりのタンブンを施す、がタイ人の習わしだそうだ。
猿が飛び込みをするワット・タム・プラーも近くの洞窟もチェンライの観光スポット21選はもちろん、旅行者ブログにも出ていない。チェンライには、まだまだ知られていない観光スポットが一杯あるに違いない。