

王女の絵




タムルアン洞窟見学(3)
■王女の呪い
タムルアン洞窟のある山は全体としてタムルアン・クンナムナンノン国立公園と呼ばれている。クン・ナム・ナン・ノンとはタイ語で「横たわった女性」を意味する。なぜ、「横たわった女性」と言われるのか。チェンライからメーサイに向かう1号線から見ると山の稜線が女性の顔、胸、お腹に見えるのだという。彼女は妊娠しているのだ、いや、していないともいわれる。自分が見た感じでは顔ははっきり識別できるがオッパイとお腹はなあ、という感じ。
実はこの山と洞窟には「王女の呪い」という伝説がある
その昔、この地を治めていた王に一人の娘がいた。中国雲南省南部のシーサンパンナ(西双版納)の王国の王女という説もある。王女は身分の低い馬丁の若者と恋に落ちる。もちろん父親である王が許すはずもない。二人は駆け落ちするが王が放った追手に捕らえられ、若者は哀れ、斬首の刑に処せられる。王女はこの時、体内に新しい命を身ごもっていた。彼は恋人の死を悼んで髪飾りで喉を突き、流れ出る血の中で息絶える。山の洞窟は女性の胎内であり、流れる水は彼女の血の涙を表しているという言い伝えがあった。地元の人々は遭難事件が起こった時、ああ、これは子供の誕生を見ることなく亡くなった王女の呪いだと思った。
■洞窟に入る
駐車場でもソンテウが発着するサマン・グナン氏の銅像近くでも花束が売られている。もちろん銅像にお供えする人もいるが広場から数分階段を登った洞窟入口まで花を持っていく人も少なくない。入口にはタイの衣装を着た女性像が祭られていてタイ人女性が花を捧げて一生懸命お祈りをしている。女性像は無念の死を遂げた王女だという。
通常、タイの洞窟は寺を兼ねていて洞窟入り口にも寝釈迦像があった。でも王女に祈りを捧げる人のほうがずっと多い。タイ、特に北タイには仏教と違う精霊信仰があることがわかる。
洞窟の入り口には説明版や写真がある。また少年たちが乗ってきた泥だらけの自転車や救助隊の使用した酸素ボンベ等が展示されている。
洞窟に入ってみて驚くのは中の広さ、深さである。遭難当時、洞窟から水が溢れだしていたというが、入り口から見える穴底まで数メートルはある。要するに水深が数メートルあってそこを濁流が休むことなく流れていた。だから助かる確率は10%以下と作業を指揮したタイ海軍が思ったのは無理はない。
■入洞は期間限定
少年たちが発見された場所は入り口から数キロ奥に入ったところという。洞窟内にはところどころ照明があって、入り口から200Mほど奥まで歩いて行ける。中は鍾乳石や濁流で削られた穴があり、この辺りなら数十トンの濁流が流れていたのではないかと思った。救出には各国から200名のダイバーが集結したというが、視界のきかない水中、浮き上がれば息が吸えるとは限らない環境での捜索活動は軍関係者にとっては過酷だった。結局、英国の専門ケイブダイバーが少年たちを発見した。彼らは自分たちしか少年の発見は出来ないという使命感で援助を申し出たという。
200メートルとはいえ段差や石ころ、砂に足を取られ、サンダルできたことを後悔した。せめて運動靴でなければ、暗く足元のおぼつかない洞窟の中を進んでいくにはかなりの支障を感じる。足元に注意しながらも洞窟内の光景はかなりの感動ものだ。自然の美しさ、荒々しさを感じることができる。何十年も前、山口県、秋吉台の秋芳洞を見物したことがある。さすが秋芳洞はダイナミックな中にも洗練されていて美しく、景清洞とか百枚皿とかの命名もさることながら見どころは多い。
でもタムルアン洞窟は岩や通路に名前はついていないが中の広さ、鍾乳石の迫力には圧倒される。そしてこの広い空間が水で満たされる雨季の水量の凄まじさを想像するだけでもドキドキする。
それに秋芳洞は入場料1300円の他、駐車料金も掛かるようだ。タムルアン洞窟は無料駐車場からのソンテウ代、往復40B(160円)ポッキリで観光できるのだから、かなり良心的だ。入洞できるのは乾季の限定期間のみ。でも閉鎖された洞窟入り口まで行くと、同じような洞窟にはいれますよ、という客引きが来ると聞いた。
ソンテウは途中で一度乗り換える。初めに代金を払うがその時くれるカードを示せば黙って乗り換えができる。なぜ乗り換えるのか。実は洞窟と駐車場の間に池があり、池を訪れる人は乗換え場所で降りる。暑い時期はその池で水浴びができるとのこと。年初に行ったので気温が低くとても水には入れない。次回行くときは水着持参か。