日本から来てくれた(5)
■庭に出しておけば安心
娘一行が来たのは10月末から11月初めにかけての1週間であった。自分が運転手兼観光ガイドを務めたが、もっとあちこち案内できたらな、との反省はある。靴収納ケースに畳地の小さな草履が2つ置いてある。バッグが一杯になったからと娘が残していった孫の草履であるが、次回来るときにはもう履けないくらい大きくなっていることだろう。草履を見る度に庭を走り回っていた孫が思い出される。
我が家と隣のブアさんの家とは仕切りがないので、両家の庭を自由に行き来できる。朝の気温が20度位に下がると土の中の温度も下がって、これはたまらんとミミズが地表に出てくる。その数、5匹や10匹ではない。そのあたりをはい回るのだが男の子だから気持ち悪がる様子もなく枝で突いたり、指で触ったりしていた。
普段見過ごしているが11月に入っても当地ではトンボやチョウチョも飛ぶ。虫を見つける度に歓声を上げる。子供は好奇心の塊だ。
孫たちが喜んだ花に「鳳仙花」がある。ブアさんが好きな花で庭一杯に咲いている。鳳仙花と聞いて島倉千代子のヒット曲「鳳仙花」を思い浮かべる人はほとんどいないだろう。歌を知っていてもどんな花かはしらないという人もいる。歌詞に「日陰が似合う花だけど」とか「しあわせ短い一年草」とあるように華やかさはない地味な花である。
この花の実は、熟すと果皮の内外の細胞の膨圧の差によって弾性の力を蓄積し、弾けて種を遠くに飛ばす。自然に弾ける寸前となった果実は指で触るなどの些細な刺激でも容易に弾ける。丁度、果実が熟れている頃で孫は触るとクルリと弾ける果実に興味津々、何度も種を飛ばしている。自分もこういう純真な時代があったのだなあ。島倉千代子の「やっぱり器用に生きられないね」の歌詞が脳内を駆け巡るのはそれだけ人生、苦労したということか。
■クラシックカーで動物園へ
娘にとって叔母、自分から見て義妹も一緒だった。初めてのチェンライとのことであるから、タイも悪くはない、お義兄さんもしっかりやっているという印象を、と思っていたが中々そうはいかなかった。
メコンの遊覧ボートを終わって、メーサイから1号線を下って猿の寺「ワットタムプラー」に行こうとしたが道がわからなくなってやめた。この寺では暑ければ猿が池にダイビングするので有名、子供に野生猿を見せようと思っていた娘も失望したと思う。
また、象キャンプに行くとき、グーグルマップの入力を間違えて、未舗装の山道に迷い込んでしまい、車底を道路で削りながら引き返した。これには義妹も肝を冷やしたことと思う。1時間ムダになった、ガイド料返せ、と言われても(貰ってないが)仕方ないところだ。
シンハパークには無料動物園があってキリン、シマウマ、水牛、駝鳥などに餌やりができる。美味しいピザで知られたバーンハウスまでは車で行けるがその先1キロほど奥にある動物園へ行く道は進入禁止だ。2,3度来たことがあり、その時は同行者と一緒に歩いた。でも娘がこの炎天下、子供は長距離歩けないという。確かに。そういう客のためにここでバイクや自転車を賃借できる。自転車3台と思ったが荷台がないので子供はムリ。
係員の兄ちゃんが「ちとお高くなりますがクラシックカーがありますよ」という。この際、金に糸目はつけぬ、フェラーリでもポルシェでも持ってこい。出てきたのは我々5人がやっと乗れる電動カーだった。
動物園には確かにキリンがいた。キリンは高所に置かれた草を食んでいて寄ってこなかったが、代わりにシマウマが柵越しに餌をせがむ。皆、シマウマに餌をやるのは初めて。この後、小動物コーナーでウサギ、カメ、七面鳥、インコ、その他に餌をやって歩く。ほぼ貸し切り状態で子供も楽しんだようだ。
義妹がクラシックカーを運転してバーンハウスに戻った。義妹は今回の旅行でこの電動カー運転が一番楽しかったと言ってくれた。数百バーツでこれほど喜んで貰えれば接待側としてこれに勝る喜びはない。
■付き添いの義妹に感謝
義妹はブログの読者ではないので、ブログと同じ内容やギャグが使えた。少しでもウケるとこちらも嬉しい。それに久しぶりに会う親族である。別れたカミさんの話をそこはかとなく聞き出して、元気でやっているようだ、と安心もした。義妹はさっぱりした性格なのでお互い屈託なく会話出来てよかったと思っている。娘たちとチェンライを再訪してくれる機会が遠からずあることを祈っている。
チェンライ観光は1週間ではとても足りません。