釈迦像
同上
邦人観光客の減少など
■邦人観光客激減
チェンライは北タイの田舎都市である。メコン河、ラオス、ミャンマーを一望できるゴールデントライアングル(黄金三角地帯)、あるいは古寺ワット・チェデルワンなど見どころはあると思う。でも日本からの観光客はバンコク周辺、プーケット中心で3泊4日、せいぜい数日の滞在日数しかない。北タイにはタイの京都と言われるチェンマイがあるから行ってみようという人はいるが、チェンマイから180キロ離れたチェンライまで来てくれる奇特な人は少ない。
それでも感染症以前は山岳民族支援のNPOの人や学生さんがよく来ていた。市内のスーパーでは日本の男女が飲み物やカレーの材料等を買い込んでいる姿によくでくわした。少数山岳民族の寮を訪問するときはライスカレーを作る、が学生さんたちの定番だったようだ。また山岳民族の村を訪ねてレポートを書くと大学の単位が貰えるらしい。チェンライ空港でツアー客を待つアカ族のガイドと2名の女子学生の会話を聞くともなく聞いたことがある。彼女たちはアカ族の村を訪れて卒論の仕上げをするという。学部の卒論ならオジサンが代作するよ、と言いたかったが、もちろんそんなことは言わなかった。北タイの少数山岳民族が卒論のテーマになるのだな、と感慨深いものがあった。
でも感染症騒ぎ以降、チェンライで訪タイ邦人を見ることはほとんどなくなった。これは気のせいではなく数字でもはっきりしている。2023年の訪タイ日本人観光客数は80万人、2024年1-6月は47万人と少し回復傾向にはあるが、2019年には日本から180万人もタイに来ていた。だから今は最盛期の半分ほどだ。円安のせいとは思うがチェンライで邦人観光客を見かけないことはやはり寂しい。
■それでも兄が来てくれた
日本から兄がチェンライに来ている。約1月の「避暑」だ。今年の東京は猛暑で少なくとも6月以降はチェンライのほうが気温は低かった。チェンライに避暑に行くと言っても友人にはまともに取り合ってもらえなかったそうである。タイは熱帯という思い込みがあるのだろう。
兄は8月にやってきてチェンライの涼しさに改めて感心していた。まあ雨季で日が差さない日が多かったこともある。東京のような熱帯夜はチェンライにはない。ビルや舗装道路のような日中の太陽熱の蓄熱体があまりないせいか、夕方から朝にかけて気温が23-24度に下がる。東京ではクーラーを1日中つけっぱなしだったそうであるが、チェンライではクーラーなしで過ごせる日もあった。寒いくらいじゃないか、と喜んでいたが東京が異常だったのだろう。1日中家に籠っていれば暑さからは逃れられるが、買い物、飲み会などで外出する必要はある。家と外の温度差はやはり老体にはよくない。チェンライでも日中30度を越える日もあったが、気温30度は涼しいよという。今夏は日本人の体がすっかり熱帯仕様になったのではないか。
雨天の合間を見てテニスに精を出し、毎日のようにタイマッサージを受け、時にはかけ流しの温泉に通っている。兄弟共に後期高齢者であるから年相応に心身の衰えは感じる。根気も続かないし、腰が、歯がなどとお互いの老化を嘆き合っても、まあこの年でテニスができるんだからいいんじゃないのと前向き発言で終わりになる。一人住まいだと晩酌の回数、酒量も落ちる。でも二人だとビール瓶が何本か並ぶ。そのうち飲めなくなるのだから今のうちに飲んで置こうじゃないかのセリフも二人の伝統芸能となっている。
■コートの韓国人
テニスと言えば市営コートに来る韓国人の数が多くなった。夫婦も何組かいる。彼らはタイ人や我々とは別のコートで韓国人だけで固まってプレーしている。例年、乾季に鹿児島からテニス合宿にやってくるご夫婦がいる。ご夫婦の人柄に惹かれて何人かの邦人もコートに集まる。日本人の場合はタイ人、スイス人、英国人など我が常連メンバーに交じって楽しくプレーをしている。常連にもコリアンがいたが、今は新参韓国グループに合流している。同国人と大声をあげてプレーするほうが楽しいのだろう。
これまでコートに現れるコリアンは限られていたが、と2024年1-6月の訪タイ韓国人客の数を調べてみたら93万人強と同時期の日本人、47万人のほぼ倍となっている。観光地ばかりでなくテニスコートまで韓国人に凌駕されるのだろうか。韓国経済も決して快調ではないはずだが日本人より富裕層が多いのか。
管見とは竹の管を通してみるように見識が狭いことを指すが、コートの韓国人を見て日本は大丈夫か、などと思うことは正に管見と言われても仕方ない。