チェンライの市場から

「市場に並べられた商品からその国の生活がわかる」と言われます。当ブログを通じてチェンライに暮らす人々の生活を知って頂きたいと思います。 チェンライに来たのは2009年から、介護ロングステイは2018年8月母の死去で終わりとなり、一人で新しい生活を始めました。

北タイの露天風呂(3)

ナーンからボークルアへの山道

塩を製造している釜

品揃えが増えた

小分けされた古代塩

3キロ50B

ボークルアを流れる清流

 

北タイの露天風呂(3)

■アジアの温泉

タイには約100ヵ所の温泉があると言われている。日本の温泉郷のように開発されたところはなく、ジャングルの中の神秘的な湯とか、これこそ秘湯といった辺鄙な所に存在している。タイ人は、昔は川で、今はシャワーで1日何回となく水を浴びるそうだ。つまり熱い湯にどっぷり浸かって体を温めるという習慣は無かった。暑いから冷水で体を冷やす。北タイの田舎で、若い女性が水浴びをした後「ホラ、体が冷たくて気持ちいいでしょ」などと寝床に忍び込む。これで何人もの邦人男性が虜になってしまった、というレポートを読んだことがある。確かに風呂上がりの汗ばんだ体では「あっちに行け」となるだろう。

ベトナムにも30℃を超える湧き水が出る場所が200ヶ所以上確認されている。タイと同じく温泉というより温水プールといった施設が多いようだ。みな水着で、または着衣のまま入る。どうしても裸で、という人は個室を借りる。ラオスミャンマーにも温泉がある。ラオスの温泉はまさに秘境という奥地にあってよっぽどのもの好きでなければ訪れる場所ではないようだ。

ミャンマーの温泉といえばメーサイからタチレクへ渡り、タチレクからバスで行ったチェントン(チャイントン)を思い出す。市内からバイタクで15分ほどの場所にあった。2つあって、ひとつは公園の中の非常に健全な温泉、もう一つは陸軍の研修施設の真ん前にあって、個室がいくつかあって「湯女」を呼べる(とバイタクのおじさんが言っていた)温泉。健全な温泉の個室は大きな湯ぶねに消火栓ほどの蛇口があり、バルブを回すととんでもない量の湯水が噴出してあっという間に浴槽は一杯になった。

 

■裸を嫌う

東南アジアは熱い湯に浸かる習慣がなかったから、いくら日本人が温泉は、お風呂は、と言ってもなかなか日本風の露天風呂は浸透していないようだ。タイに進駐した日本軍の兵士はすぐ裸になるというのでタイ人に評判が悪かったそうだが、タイに限らず東南アジアでは宗教上の理由もあってあまり肌を人に見せない。露天風呂ではあるが温水プールに水着かムームー着用ではいる入浴施設が普通だ。プールであるからいつ水を入れ替えているのかわからないと言って敬遠する人もいる。でもラノーンの山の中で入った露天風呂はかけ流しで湯量が半端でなかったし、客はおらず貸し切り状態だったので衛生面で心配することはなかった。

日本の温泉だと脱衣場に「温泉成分分析表」が掲示されていて、打ち身、捻挫、切り傷、アトピー性皮膚炎、鬱病等への治療効果、また飲用による医療効果を知ることができ、温泉の有難みを一層感じる。タイで温泉の成分分析表は見たことがない。そういえば「湯治」という言葉もあったな、と思い出した。温浴習慣のないタイには「湯治」という言葉はないのではないか。日本と同じように農閑期になったら農家のおばさんたちが湯治を目的に北タイの温泉に長逗留、なんて日は・・・多分来ないと思う。

 

■ボークルアの露天風呂

温泉でなくても熱い湯に浸かると血行が促され、高いリラックス効果があるという。西洋バスでも構わないが眺望、空間が楽しめる露天風呂はないものか。ネットで探せばいくつかはある。タイ人がアウトバスでピースをしている写真もある。

北タイ、ナーンから約100キロ、ラオスに近い山間にボークルアという村がある。ボークルアとはタイ語で「塩の井戸」の意味。古生代に封じ込められた海水の井戸があり、この塩水を煮詰めた塩を売っている。我が家の塩はこの3億年前の海水から作られた塩だ。息子が在庫をあらかた持ち帰ってしまったので、ここで塩を買うことにしていた。初めてここを訪れた十数年前は売っているものは塩だけだった。今は塩を利用した石鹸、美容クリームもあるし、20gほど小分けした5本組塩セットも売っている。この村にはタイには珍しい渓流といってもいいきれいな川が流れている。清流にパラパラと餌を撒くと川の水が盛り上がる勢いで大小の魚の群れが寄ってくる。前から提言しているがこの魚を塩干にすれば名産品になると思う。でも目刺しやヒラキは売っていない。

キロ20Bの塩を購入した後、ラオス国境に近い露天風呂のあるリゾートを目指した。交通量は極端に少ない。やっとのことで見つけたリゾートは無人で、聞いてみると従業員はすべて畑に出てしまったという。電話くれれば部屋を開けといたのに、というがもう遅い。ボークルアに戻る途中にもホテル、リゾートがあったが、草茫々で人影がない。雨季のボークルアはローシーズン、泊り客などいないことにやっと気が付いた。