チェンライの市場から

「市場に並べられた商品からその国の生活がわかる」と言われます。当ブログを通じてチェンライに暮らす人々の生活を知って頂きたいと思います。 チェンライに来たのは2009年から、介護ロングステイは2018年8月母の死去で終わりとなり、一人で新しい生活を始めました。

微笑みのない国(4)

チェンライ土曜市、マンゴー5キロ100B

同上 プラニ

人出が多い

帽子売り場

へちまだけ売っている ひとつ30B

マスクの人もいる

 

微笑みのない国(4)

■長閑な風景

車窓から北京の風景を眺めていた。新緑が眩しく、藤の花も見えた。晩春、あるいは初夏の一番いい季節だったかもしれない。日曜の午前だったせいか、交通量もさして多くないし、大型車両も少ない。ベトナムのダナンからフエに向かった時は大型トラックやバス、ミキサー車などが行き交っていた。ダナンは国際貿易港だし、近郊には工業地帯があるから経済活動が活発なのだろう。北京空港に向かうバスからは産業を思わせる建物はほとんどなく、時折、中層のアパート群を見かけるくらい。道路の両側には緑の木立が続く。

日本の田舎にあるような川が流れていた。2、3メートルおきに釣り人が座っている。日本でも昔は川があれば釣りをしている人が見られた。北京の釣りはチェンライの釣り人と同じく趣味というよりは、貴重な蛋白源を得ることが目的だろう。昔、母が自分の釣ってきた川魚を焼いてくれたことを思い出した。数十年、もっと前になるのだろうか。

ガソリンスタンドをいくつか見かけた。自分の見た限りではEV充電設備は無いようだった。EVはどれくらい走っているのだろうと思って並走する乗用車を見た。ベンツなどの外車にはマフラーが付いているのでガソリン車と分かる。EVには排ガスを導くマフラーはない。でもバスの高さからは乗用車の後部がよく見えない。車高が低い車はEVだろうと思うことにした。

 

■観察

民俗学者宮本常一さんに「父の10箇条」がある。15歳の彼が周防大島を出るときに父親から贈られた言葉という。その第1条は次の通り。

  • 汽車に乗ったら窓から外をよく見よ、田や畑に何が植えられているか、育ちがよいかわるいか、村の家が大きいか小さいか、瓦屋根か草葺きか、そういうこともよく見ることだ。駅へついたら人の乗りおりに注意せよ、そしてどういう服装をしているかに気をつけよ。また、駅の荷置場にどういう荷がおかれているかをよく見よ。そういうことでその土地が富んでいるか貧しいか、よく働くところかそうでないところかよくわかる。

フィールドワークを志したことはないが、この「父の10箇条」の一部は心に残っている。だからどこに行っても目に入る風景、光景からなぜだろうと考え、根拠はともかく納得できる理由を探そうという傾向がある。慈円の「我には許せ、敷島の道」ではないが、別に人に迷惑をかけることでもないし。

でも昨年93歳で亡くなった社会学者、加藤秀俊さんは、車窓から見た風景の観察から1冊の本を書きあげている。書名は失念したが、確か北陸や関西の家の屋根の比較から説き起こしていた記憶がある。学者とはすごいものだ。プロとアマの格の差を感じる。

 

■北京空港にて

11時頃、北京空港に着いた。チェンマイ行きの出発時間は17時45分だ。数時間の余裕はあるが、出国まで何が起こるかわからないし、早めに出国手続きを済ませるに越したことはない。搭乗券は前日に貰っている。先ずは身体検査と携行荷物のチェック、国によってはベルトを外し、靴を脱ぎ、靴下も靴の中に入れての身体検査をされるが北京空港では靴も脱がず、金属探知機で体をこすられただけだった。

機内持ち込み品の検査ではPCはリュックに入れたままでOKだった。通常、PCは荷物の中から取り出してチェックを受ける。女性職員が自分のリュックを指さし「フード」、そしてジッパーを開けろという。中から短パンとシャツが出てきた。衣類の一部を台に残したまま、彼女はリュックを抱えて奥に引っ込んだ。土産用のチョコやクッキーが入っているが見られて困るようなものはない。ただギチギチに詰め込んであるので、再度の荷造りが面倒だな、と考えていたら、1分もしないうちに「OK」とリュックを返してくれた。中身は出さなかったようだ。

出国手続きはスムースに終わり、空港からサテライトがある建物まで5分ほど電車に乗った。電車の中には同じ髪型をしたCAが数人乗りこんでいたが皆、能面のように無表情だった。そういえば前日から微笑む人を見なかったことに気付いた。特にホテルはひどかった。

サテライトのある建物に到着したのはお昼を回っていた。幸い、カード付帯で中国国際航空のラウンジが利用できた。前日から碌な食事を摂っていない。ここでやっと料理らしい料理にありつきビールを飲んだ。3種類あった中国ワインも悪くない。北京の印象がよくなりかけたが、アステラス製薬の幹部社員は搭乗口前で逮捕されたことを思い出し、改めて周囲に目を配った。