チェンライの市場から

「市場に並べられた商品からその国の生活がわかる」と言われます。当ブログを通じてチェンライに暮らす人々の生活を知って頂きたいと思います。 チェンライに来たのは2009年から、介護ロングステイは2018年8月母の死去で終わりとなり、一人で新しい生活を始めました。

老後対策真っ盛り

チェンライ、花祭りから

同上

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老後対策真っ盛り

■市場としての高齢者

起業する場合、狙う市場は何処かをはっきりさせる。市場とは一般に「売り手(供給者)買い手(需要者)が商品、サービス、証券などを売買する場所」のことを意味する。もし、認知症が治る薬が発明された場合、何処を市場とするか。それは老人が沢山いて、認知症患者が多くいる国である。少子高齢化が社会問題化している先進国や中国は市場として有望だろう。お金を払ってくれるユーザーが沢山いるところが、市場規模が大きいという。今の日本は下流老人ばかりではなく、裕福な高齢者が多いから、サプリ、健康器具、健康食品のメーカー、出版、更にはオレオレ詐欺などが、高齢者を良き市場として日夜、営業活動に勤しんでいる。

2021年10-12月と調査時期はちと古いが、週刊誌の発行部数を見ると、週刊文春が50万部とトップであるが、週刊現代が、週刊新潮(31.2万部)、週刊ポスト(30.4万部)を抑えて堂々、36万部と2位となっている。週刊現代は「歩けない、食べられない。わからないをこうして防ぐ」、「この食品で寿命が縮む」、「間違いだらけの死後の手続き」、「70過ぎたらほ~ら、あなたも仁王立ち」と言った特集に見られるように、高齢者を市場としていることが特徴だ。あなたも仁王立ち特集では「道具を使ってイカせちゃおう」、「デフレ愛人を作ろう」とキャプションも過激である。俺は、私は、まだ若い、この元気を維持しなければ、と思っている高齢者をターゲットとした戦略は当たっているのではないか。

帰国していた時期、新聞をたまに読んだが、広告はサプリ、健康器具が多かった。新聞の読者も高齢者に偏ってきているのだろう。

 

■高齢者を狙ったユーチューブ

高齢者を対象にしたユーチューブも増えてきた。順不同でタイトルを並べてみる。

「縁を切るべき人と大切にすべき人の違い3選」、「ちょうどいい孤独 60代からはソロで生きる」、「80歳でも脳が老化しない人がやっていること」、「これで一生ボケない!老化や認知症を防ぐ「究極の習慣」3選」「【絶対食べるな】60才から老いが一気に加速する食べ物7選」、肌がツヤツヤになり、若返る食べ物5選」など。

高齢者の性についても女医さんや恋愛コンサルタントという方があけすけのない内容をアップしている。例えば、「熟女が悦ぶ最高の前戯とは?」、「中高年になってモテ始める男の特徴」、「女は60歳からがやりたい放題」、「行為は何歳までできるの?データを元に解説」、「女性が感じてしまう前戯が上手い男の特徴」などなど・・・。

孤独に慣れ、頑張らない生き方が大切と言いながら、その裏では80歳までセックスなどと煽り立てる。熟女ならこうしてバカ老人をひっかけろ、とかツバメで女の若さを保とう、といった女性対象のユーチューブは殆ど見かけない。それにしてもなんだかなあ、という気分になる。

 

■高齢者用書籍

「老後のために40,50から始めておくべきこと」、「60になったらやるべき『老い支度』」、「定年後も輝く人とダメになる人の致命的差」、「70代が『老い』の分かれ道、よぼよぼの80代にならないための過ごし方」、「好きなことだけやって寿命を延ばす!80代を生きるコツ」、などなど、時系列的にユーチューブのタイトルを見ていたら、自分の愛読した「蛍雪時代」の特集記事を思い出した。「志望校突破のための1年計画」、「夏休み、不得意科目はこうして攻略せよ」、「冬休み、今からでも間に合う科目別、20点アップ法」、「入試直前1カ月、これだけやれば合格圏内」・・・・。

 

入試直前1カ月をやったが第一志望には落っこちた。1年前からやったとしても落ちたと思う。老後対策も40,50歳代から始めても、長生きできるとは限らないし、70過ぎてヨボヨボ、認知症になったとしてもそれまでの準備が悪かったからとは言えない。40,50代から「老い支度」万端で暮らしていても60過ぎで死んでしまったら、その人の話は聞けない。長生きしたもん勝ちで、80,90まで生きたら「煙草と酒のお陰です」と言ってもみな、そうか、と聞いてくれる。

友人、知人が少なくなるように、高齢になれば頭も体の機能も次第に衰えていく、それを実感しながらも残っている能力を生かし、毎日を明るく過ごす。年下の医師や評論家の書いた「高齢者はこう生きろ」といった指南書を何冊も買うよりも、俺の人生経験のほうがよっぽど役に立つと自画自賛し、開き直って生きるほうが気持ちのいい老後が送れるような気がするけれど、やはり年を取ってもマニュアルに頼りたくなるのだろうか。