チェンライの市場から

「市場に並べられた商品からその国の生活がわかる」と言われます。当ブログを通じてチェンライに暮らす人々の生活を知って頂きたいと思います。 チェンライに来たのは2009年から、介護ロングステイは2018年8月母の死去で終わりとなり、一人で新しい生活を始めました。

選挙運動真っ盛り

 

 

60歳以上で死亡したら10万バーツ支給します

電気代、月450バーツ補助

市民カード所有者には一律700バーツ支給

タイ貢献党候補、字が読めない人は番号で投票

顔の部分が破かれたプラユット首相

年金を500から月3000バーツにします。



 

 

選挙運動真っ盛り

■4月8日から

ちょっと勘違いをしていた。プラユット首相やタクシン氏の次女、ペートンタンさんのタテカンが目立ち始めたのが3月の初め、そして3月20日に下院が解散された。そして下院選挙立候補の受付が4月3日から7日まででその後、選挙運動が開始され、5月14日の投票日の前日まで続くという。

タテカンはもちろん、候補者の名前を連呼するトラックが3月から走り回っていたので、3月から正規の選挙運動が始まっているものと誤解していた。実際は立候補受付終了の4月8日が正式な選挙運動の開始となる。日本の衆議院議員選挙では選挙運動期間は12日間であるが、タイの下院選挙では公示日から投票日まで5週間もある。立候補受付の1月前から各候補のタテカンがあったから、タイには日本のような公職選挙法がないか、あっても守られていないということだろう。

北タイは野党、タイ貢献党の牙城で現首相のプラユット氏はからきし人気がない。プラユットさんの顔写真の眼の部分が切り取られていた。先日見てみたら眼だけではなく顔全体がタテカンから破り取られていた。チェンライではタテカン破りの現行犯でも捕まらないのではないか。

 

■金持ちと貧乏人の争い

何度か書いているがタイでは総選挙で、過半数を制した最大政党が政権を担えるとは限らない。また過半数を取り、連立で政権をとっても憲法裁判所が、選挙の無効とか過去の法律違反を理由に首相を失職に追い込む、いわゆる「司法クーデタ」が再々起きる。司法や軍部、エリート層は、いくら総選挙でタイ貢献党が多数を占めようとも「選挙で勝てなきゃクーデタ」で政権転覆を謀ってきた。これがタイの政治だ。

今度の選挙で与党は下院500の内、130議席を取れば、政権維持ができる。対する野党タイ貢献党は500議席のうち310議席以上を目標としている。これだけ取れば、軍政の息のかかった上院の250票が与党支持に回ってもひっくりかえせると踏んでいるからだ。

タクシン元首相は「もし、タイ貢献党が政権を奪還するようなことになれば、私はタイに帰国して罪に服する」との覚悟を示した。2006年のクーデタで首相の座を追われた後、タクシン氏は、2008年に現職時代の汚職に対する裁判で本人欠席のまま有罪判決を受けた。タイに帰国すれば収監されるため、その後も海外を転々とする生活を続けている。妹のインラック元首相も有罪判決を受けて海外暮しだ。

もし、タイ貢献党が圧倒的勝利を飾り、ペートンタンさんが首班指名を受ければお父さんも叔母さんも帰国する。そして首相の恩赦があって二人は晴れて無罪の身となる。

8年続いた軍政より下院で多数を占めた政党による民政がいいに違いない、と日本人は思うだろう。金持ちであろうと貧乏人であろうと投じる1票は同価値で、総選挙の結果が民意だ、そう自分も思いたい。でも俺の1票とあいつの1票が同じなんて民主主義に反する、と信じているタイ人がいて、そういったグループがクーデタをおこしてきたのは事実だ。

中国でさえ、選挙をしているから中国は民主主義の国だと言っているし、アメリカだってまともな大統領選挙を行っていないことはみんな知っているのに、アメリカは偉大な民主主義国家である、といっている。もちろん、タイは今、軍事独裁体制下にあるがプラユット首相は、これはタイ式民主主義であると言っている。総選挙が行われることと民主主義は同義ではない。

 

■選挙公約

大っぴらに選挙運動が始まっている。トラックに巨大なスピーカを据え付けて、大音量の音楽と共に男の切羽詰まったような候補者の連呼が始まる。赤ん坊でもいたらひきつけを起こすような大音量だ。これだけはやめてもらいたい。

各候補の公約には1万バーツを全国民に配布します、がん治療と透析を無料にします、30B医療を全国に展開、月100Bの支払いを60カ月続ければ電動バイクを支給します、借金の返済猶予3年、60歳から月3000Bの年金といった露骨な利益誘導が目立つ。日本と違ってタイの候補者は結構、公約を律儀に守るようだ。

何年か前の選挙で「情けもあるがカネもある」と大きく書かれたポスターを見たことがある。タイの選挙民はこの政党、候補は自分たちにどんな現実的利益をもたらしてくれるか、を重要視する。金権選挙といわれるかもしれない。でもギブ・アンド・テイクがしっかり機能している点では米国や日本の選挙より公正といえるのではないか。

それにしても貧乏人とエリートの戦い、選挙結果によっては政治的、社会的混乱が起こる可能性もある。選挙だけでなくその後のタイ政治が注目される所以である。